長崎の名物「ざぼん漬け」。砂糖漬けにされるのは「ザボン」のどこの部分?

長崎の名物に「ざぼん漬け」がありますが、この「ざぼん漬け」で砂糖漬けにされるのは「ザボン」のどこの部分でしょうか?

「ザボン」の皮を甘くした「ざぼん漬け」!?

長崎の名物はさまざまありますが、柑橘類の「ザボン」を甘くした「ざぼん漬け」をご存じですか?お茶請けにもおやつにも実はお酒のおつまみにもぴったりの「ざぼん漬け」は古くから人気の名物です。
食べると爽やかな甘さの中に程よい酸味が残る、柔らかくて、弾力があり、白く透明な「ざぼん漬け」は、ザボンの実の部分ではなくザボンの皮の部分を使っています。
ザボンの実は柑橘系の果実の中でも大きく通常500gほどで、大きいものだと2kgほどの重さになるものもあるそうです。薄い外皮から中の果肉に至るまでに2~3cmほどの厚みのある中皮(アルベド)の部分があります。このスポンジ状の中皮部分を砂糖漬けにしたものが「ざぼん漬け」です。
果肉は爽やかなグレープフルーツのようで、みずみずしいのが特徴です。
アルベド(白い内側の部分の中果皮)の部分は通常そのままでは食べません。食べてみても苦味が強いのとアルベドの繊維が強くて噛みにくく飲み込みづらい部分です。
しかしこのアルベド部分こそが、ひと手間かければキラキラと輝く甘い宝石に変わるのです。

砂糖で煮て、砂糖をまぶす、「ざぼん漬け」!!

「ざぼん漬け」はご家庭でも作れますのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
作り方は簡単ですが日をまたいだ方が美味しく作れますので、時間を要します。
〇作り方
・ザボンを適当な大きさに割る。
・果肉部分を取り、外皮部分を削り、中皮だけにする。
・中皮を食べやすい大きさにカットする。
・透明になるまで15分ほど茹でる。
・中皮が透き通ったら冷水で冷やし、一晩水につける。
・ざるに上げ水を絞り、今度は砂糖を入れて煮つめる。
(コップ2杯の水に対し砂糖1kgほど)
・皿などに広げ、冷ます。
・砂糖又はグラニュー糖またはハチミツをまぶす。
・作りたてはしんなりしているので、噛み応えなどを出すには天日干しにするとよい。
お好みの固さにして、できあがりです。

ザボンとブンタンは実は同じもの?!

長崎のほかに大分・別府でも「ざぼん漬け」を名物としていますが、鹿児島では「ぶんたん漬け」が名物として上がります。
実は、この「ザボン」と「ブンタン」は同じものです。同じ果実でも呼び方が違うのはなぜでしょうか?
それは日本に入ってきたルートが違うので名前が違っている、ということです。
ザボン・ブンタンの原産地は、東南アジアや中国方面です。一説によると、江戸時代に、広東と長崎を行き来する中国の貿易船が難破して鹿児島の阿久根に漂着し、その土地の漁師に助けられ、そのお礼にと積み荷のザボンを貰ったのが始まりだそうです。その時の船長の謝文旦という名前からその果実を「ブンタン」と呼ぶようになったのだそう。
一方で、長崎にはポルトガル船などとのルートがあり「ザボン」として日本に輸入されてくるのですが、この「ザボン」もポルトガル語のザムボア(ブンタン)が訛ったものです。
セイロン(今のスリランカ)では、ブンタンのことを「ジャムボール」と呼んでいましたが、ポルトガル人が聞き取って発音し「ザムボア」となり、そして長崎で「ザボン」になったとのことです。同じ果実でも名前が大きく違うのは面白いですね。
ちなみに、南九州のお土産に「ボンタン飴」がありますが、この「ボンタン」もまた「ブンタン」のことです。
「ザボン」=「ブンタン」=「ボンタン」。こうしてみると九州の広い地域でザボンやブンタンを用いた名物がありました。

実は晩白柚もグレープフルーツも…「ザボン」の親戚?!

柑橘類の中でも果実が巨大で皮が厚い「ザボン」ですが、世界最大の柑橘類とされる晩白柚(ばんぺいゆ)はザボンの仲間です。直径20cmを超え、25cmの大きさにまで育つものも珍しくないとのこと。晩白柚も中皮のアルベド部分に厚みがあるので、砂糖漬けに適しています。
またブンタンはいろんな柑橘系の祖でもあると言われていますが、実はグレープフルーツはブンタンとオレンジの自然交配でできたものといわれています。
酸っぱさと爽やかな美味しさに夢中になるのは、ザボンやブンタンがもともと世界中で広く愛されているからかもしれません。

ザ・ご当地検定の問題

Q.長崎の名物「ざぼん漬け」。砂糖漬けにされるのは「ザボン」のどこの部分?

A.皮