羊肉以外の肉を含め、独特の味噌ダレで食べる「遠山ジンギス」は、何県の名物?

ジンギスカンといえば北海道を思い浮かべる人も多いでしょう。実は北海道以外の都道府県でも「遠山ジンギス」という独自のジンギスカン料理が人気となっています。信州ならではの味付けを加えた遠山ジンギスとは一体どんなものなのでしょうか。

コクのある味噌ダレが肉の臭みを消してくれるからジビエ肉もおいしく食べられる

長野県南部にあり山梨県と接している飯田市は、人口1万人当たりの焼肉屋の件数が最も多い「焼肉の街」として知られています。その数はコンビニより多いといわれ、また各家庭でも鉄板を常備して日常的に焼肉を楽しむというこの街で生まれたのが「遠山ジンギス」です。

遠山ジンギスの第一の特徴は、肉を味噌ダレに漬け込んでいること。味噌が名産の信州らしい味付けといえるでしょう。ジンギスカンといえば羊肉ですが、独特のにおいが苦手という人も多いかもしれません。味噌ダレにはそうしたにおいを消し去ってくれる働きもあるので、羊が苦手な人も安心して食べられます。

また、羊だけでなく遠山ジンギスでは一般的な鶏肉・豚肉、さらには猪・鹿・熊といったいわゆるジビエ肉が使われるのも大きな特徴です。遠山ジンギスの名前の元となった遠山郷(現在の飯田市南信濃・上村地区)には昔からこうした山の獣の肉を食べる文化があり、今でもお肉屋さんなどで販売されていて簡単に手に入れることができます。そうしたことも遠山ジンギス誕生の背景にあるのです。

地元に伝わる食文化と精肉店店主のアイデアで誕生した名物グルメ

遠山ジンギスは、遠山郷にある老舗精肉店で作り出されたメニューです。このお肉屋さんが創業した昭和30年代、地元では綿羊の飼育を盛んに行っていましたが、羊毛の売り上げが落ちてきたため、農協は食肉への転用を検討します。農協からこの相談を受けた店主の頭に浮かんだのは、戦時中発電所建設のために日本へ働きに来ていた朝鮮人労働者から教わった肉の味付けでした。

店主はその味付けを日本人の好みに合うよう改良し、独自の味噌ダレを開発することに成功します。これを羊肉に揉みこんで売り出したところ大人気に。特にそのタレは絶品であると評判になり、リクエストに応えて他の様々な肉も使用しバリエーションを拡げました。味のついた肉がパックになって売っているので、食べるときは焼くだけでOKと手軽なのもうけて、今では地元の名産品の一つに数えられています。ジビエ初心者の入門編としても最適です。地元スーパーのほとんどで取り扱っているほか、ネット通販もあるので手軽に購入できます。

自然豊かな信州の奥座敷!四季折々に豊かな表情を見せる遠山郷の魅力

遠山ジンギスが生まれた遠山郷は、天竜川の支流である遠山川に沿って広がる昔ながらののどかな集落です。豊かな自然を残す山間の集落は信州の奥座敷と呼ばれ、日本の秘境100選にも選ばれています。秘境といっても現在では集落を貫く2車線の国道も整備されており、飯田駅からバスも出ていてアクセスは良好。気軽に遊びに行くことができます。

遠山郷の最大の魅力はなんといっても雄大な自然です。しらびそ高原でのハイキングやキャンプ、遠山川での渓流釣りなどアウトドアアクティビティには事欠きません。遠山温泉郷は南信エリアでは貴重な天然泉で、春は桜、秋は紅葉、そして冬には雪景色を眺めながら体の芯まで温まることができます。湯上りにいただく郷土料理はまた格別です。

信州名産のそばや飯田名物のジビエ料理を楽しめるお店も多数あります。開発元のお肉屋さんとは別に、独自の味付けで遠山ジンギスを出している飲食店もいくつかあるので、飯田を訪れた際にはぜひ立ち寄りたいところです。お店によって異なる味を食べ比べてみるのも良いでしょう。

バリエーション豊富な遠山ジンギスを通販で手軽に楽しむ

古くからのジビエ文化と名産の味噌が合わさって生まれた遠山ジンギス。使用する肉によっても味わいが変わってくるので、飽きることなく楽しめそうです。信州の山々に思いをはせながら、野趣あふれるジンギスカンを味わってみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 羊肉以外の肉を含め、独特の味噌ダレで食べる「遠山ジンギス」は、何県の名物?

A.長野県