京野菜で、「辛味」「聖護院」の後に共通してつく野菜とは?

京都府で伝統的に栽培されてきた野菜を京野菜といいますが、中でも定番中の定番といえる野菜を2つ紹介します。同じ種類の野菜でありながら、姿形や味わいのまったく異なる両者の特徴を詳しく見ていきましょう。

辛味大根の特徴とは

辛味大根はその名が示すとおり辛味が非常に強いため、薬味として用いられることの多い大根です。通常の青首大根と比べるとはるかにサイズが小さく、手のひらにすっぽり収まってしまうものも少なくありません。見た目も大根というよりはカブのそれに似ていて、やや扁平な球形をしていることが多いようです。辛味大根は固くしまった肉質が特徴で、大根おろしにしてもほとんど汁が出ることはありません。そのため、料理の味をそのまま生かせるとしてうどんやそばの薬味として大変重宝されています。一方で、柔らかさや甘さが求められる煮物には向いていないと考えるのが一般的です。

大根おろしを作るときには、イソチオシアネートと呼ばれる芥子油の一種が生成されます。そして、辛味大根にはこの辛味成分が普通の大根よりも多く含まれているそうです。また、イソチオシアネートにはがんを抑制する作用や抗菌作用を期待することができます。辛味に加えてその爽やかな香りは、和食以外にもカルパッチョなどの洋食の味を引き立たせるために引く手あまたです。

聖護院大根の特徴とは

聖護院大根は真ん丸の形をした大きな大根で、冬の京都を代表する野菜です。その肉質はとても柔らかく、大根特有のくさみや苦みはほとんど感じられません。また、長時間炊いても煮崩れをしにくく、おでんやふろふき大根といった煮物に適した品種であるといえます。逆に、水分を多く含むため大根おろしには向かないといえるでしょう。洋食においても、ポトフのような長時間煮込んで作る料理でその特長が生かされます。また、豊富に水分を含んでいるため野菜スティックやサラダで生野菜として食しても美味しいそうです。

聖護院大根という名前は、この大根が現在の京都市左京区にある聖護院地区で育てられてきたことに由来します。元々は尾張の国(現在の愛知県)の長大根だったそうですが、聖護院で代を重ねるうちに今のような真ん丸い形になってきたようです。現在では亀岡市篠町と京丹後市弥栄町を中心に栽培され、京都府や大阪府の市場を中心に出荷されています。また、京都の冬の風物詩である千本釈迦堂の大根焚きには聖護院大根は欠かせない存在です。

そもそも京野菜とは

さまざまなシーンで見聞きする「京野菜」という言葉ですが、実はその明確な定義というものは存在しません。現在では京都府内で収穫された野菜を総称して「京野菜」と呼ぶことが多いようです。中には「京の伝統野菜」や「ブランド京野菜」という呼び名を目にしたことのある方も多いことでしょう。「京の伝統野菜」とは、明治以前より京都で栽培・収穫されてきた野菜を指す言葉で、市域のみならず京都府全域が対象とされています。このカテゴリーにはタケノコは含まれるもののキノコ類やシダ類(ワラビ・ゼンマイ)は含まれていないことには注意が必要です。

一方で「ブランド京野菜」とは、この「京の伝統野菜」の中でも高規格のブランド認証基準を満たしたものをいいます。その基準を満たすには、京都らしいイメージをもった野菜で質・量ともに優れていなければなりません。また、安心・安全で環境に配慮した生産方法に取り組んでいることも求められます。今回ご紹介した聖護院大根をはじめ、九条ねぎや堀川ごぼうなどが全国的にも有名な「ブランド京野菜」です。

他にも探せばあるかも?京野菜の大根

一口に京野菜の大根といっても、その種類や特徴はさまざまです。今回ご紹介した辛味大根や聖護院大根の他にも京野菜と呼ばれる大根は存在します。どのような特徴をもった大根があるのか調べてみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 京野菜で、「辛味」「聖護院」の後に共通してつく野菜は?

A.大根

Q. 次のうち、「京の伝統野菜」の定義に当てはまらないのはどれ?

A. キノコ類やシダ類を含む