京都「篠田屋」の人気メニュー「皿盛」。普通のカレーに見えて実はご飯にかかっているのは…?

日本のカレーライスというのはインドからイギリス経由で伝わった食べ物ですが、今や老若男女問わずに愛される国民食になっています。国民食となったことでご当地で色々なカレーがあるのですが、その中で京都府で人気になっている篠田屋のカレーを紹介します。

ドロドロではなくとろとろした食感が特徴のカレー

京都府の京阪電車の三条駅から徒歩約一分の位置にある篠田屋で提供されているカレーというのが皿盛というメニューです。皿盛は大きな平らの皿の上にご飯を盛りつけた後に、店内で丁寧にした処理をした後に小麦と卵そしてパン粉を付けて黄金色になるまで揚げたとんかつを切って乗せます。そしてとんかつを乗せたご飯の上に、篠田屋特製のカレーをかけて完成する料理です。

この段階であれば平らの皿を使ったカツカレーという印象でしかないのですが、なぜ全国のカレー好きがこぞって高評価に挙げているのかというと篠田屋独特の作り方にあるからです。通常の日本のカレーの作り方というのは、大きな鍋にバターもしくはオリーブオイルなどの種由来の油を多めに入れた中に弱火で小麦粉を炒めます。炒めた小麦粉の粉っぽさを抜くために黄金色に色着くまで炒ったら、その炒った小麦粉の中に調合していたスパイスを加えて混ぜることで特製のルーを作ります。

カレーのルーが完成したら、別の鍋で具材を炒めた後にコンソメベースの出汁を加えて煮込んだ後に作っておいたルーを加えて完成という流れです。ルーの中には小麦粉が入っているので、小麦粉の中に入っているグルテンが強い粘着力のあるとろみを生み出すのでスプーンで掬い上げた時にドロドロとした感じになります。

その点、篠田屋のカレーは、ドロドロではなくトロトロとした食感をしています。そして、一口食べた時にお吸い物を飲んだ時のような風味が口の中で広がります。篠田屋の皿盛はどんな作り方をしているのかというと、店内で質の良い昆布とかつおだしを使って濃厚な出汁を作ります。その濃厚な出汁を一食分の鍋に適量移したらその中にカレースパイスを溶け込ませ、最後に小麦粉ではなく水溶き片栗粉でとろみをつけるのです。要は篠田屋の皿盛で使われるカレーというのは、蕎麦屋で提供されるカレーうどんの出汁を使っているのです。

お客の無茶ぶりに応えた店主の心意気が生んだ料理

なぜ皿盛という料理が生まれたのかというと、その始まりはお客の無茶ぶりに応えた店主の心意気でした。篠田屋がある京都府の三条駅周辺というのは、鴨川や京都市に隣接していることによって京都の営業マンが多く出入りしています。篠田屋は創業100年を超える老舗ですが、別にカレー屋というわけではなく本業はうどんやそばそして中華そばを提供する麺料理店なのです。

ある日、篠田屋でお昼ご飯を食べていた営業マンが、長年通うことでさすがにうどんやそば、そして中華そばに対して飽きが生じてしまったことを店主に伝えます。店主は困りましたが、お客の要望に何とか応えたいと、賄い食として作っていたカツに、店内で作っていたうどんの出汁にカレースパイスを混ぜて丼に盛り付けて提供したのです。

即興で作ったメニューではあったのですが、その料理を提供したところ、とてもおいしいと高評価を得ます。その高評価を得たことによって自信を得て裏メニューとして提供したのですが、その後同じお客から別の要望が伝えられるのです。それはお昼の短い時間で食事をとるのに、トロトロとした食感は口に運びやすくて良いが、時間がない中での食事で熱くてかきこめないという要望でした。

そこで温かい料理を提供するのがお店の醍醐味ではあったのですが、お客の要望を聞いた店主が食べやすいようにするにはどうすればよいのか考えた時に、盛りつける容器を変えることを思いつきます。丼提供を変更し、円形の広いお皿に盛り付けて提供したのです。円形の広いお皿に盛り付けたことで、空気に触れる面積が大きくなり冷めやすくなったことで食べやすくなりました。この時に平たい皿に盛りつけたことが、篠田屋名物「皿盛」というメニューになった理由です。

篠田屋の皿盛に感じる、京都の文化

篠田屋の皿盛が人気の理由は手軽に食べられるというだけでなく、やはり純粋においしいからです。京都は出汁の文化といわれ昆布やシイタケそしてかつおだしを使って料理を作りますが、篠田屋のカレーは、食べた時にこの出汁文化を感じられる絶品カレーです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 京都『篠田屋』の人気メニュー「皿盛」は見た目は普通のカレーライスですが、ご飯にかかっているのは?

A. カレーうどんの出汁