大きな皿に刺身などの料理を盛り付けた、高知県の宴会料理は?

高知県にはお正月や婚礼などお祝いの席に、必ずと言っていいほど登場する郷土料理があります。大きなお皿にたくさん盛り付けて、来客をもてなした料理を何と言うでしょうか?

土佐の味と彩りの集大成

高知県の代表的な食文化『皿鉢料理(さわちりょうり)』です。30センチ以上の大皿にお刺身やカツオのたたき、お寿司、そして山の幸、海の幸を贅沢に盛り付ければ、皿鉢料理の完成です。『皿鉢料理』とは特定の料理を指すものではなく、料理の様式のことを言います。

高知県では客を招いて宴会を催すことを「おきゃく」と呼び、現在でも「おきゃく」文化が根付いています。その「おきゃく」で振る舞われるのが『皿鉢料理』です。『皿鉢料理』は一皿に三人前くらいの量で作られ、食べて料理が料理が減ってくると補充されます。皿鉢の枚数で「おきゃく」が、どれくらいの規模がわかるのです。

『皿鉢料理』の歴史

『皿鉢料理』の始まりは江戸時代までさかのぼります。武家の本膳料理に彩りを添えるため大皿に盛った料理が出されていました。明治になり、裕福な商家や富農が競うように九谷や伊万里、有田焼などの高価な大皿を買い求め、宴席に並べるようになりました。それが現在の『おきゃくスタイル』になっていったとされています。

ごちそうがいっぱい『皿鉢料理』

『皿鉢料理』は、生(刺身)と組み物(盛り合わせ)のセットが基本となって構成されています。老若男女問わず同じ席で楽しめるように様々な料理が盛り込まれます。お刺身やカツオのたたき等、旬の生ものの皿鉢や「姿ずし」や「田舎ずし」などのすしの皿鉢、組み物と呼ばれる、すしと煮物、和え物、揚げ物、甘い物、果物などを盛りつけた皿鉢、そのほかに「蒸し鯛」やそうめん、ぜんざいといった一品盛りの皿鉢があります。これらを通常は真ん中が高くなるよう盛り付けます。お祝い事は高くなるように、法事など不祝儀では低く盛り付けました。

皿鉢いろいろ

高知県の中でも、地域よって個性が違う様々な皿鉢料理があります。

嶺北地域は吉野川が流れるところ。ここでは鮎やうなぎ、手長エビなどの川の幸、ウドやぜんまい、イタドリなどの山の幸が豊富にあります。海の方から運ばれてくる魚介類も、地元で採れる米も貴重だった頃から調理に工夫を重ねてきました。サバずしやウド酢味噌和え、「りゅうきゅう」と呼ばれるはすいもの酢の物、ぜんまいの煮物、イタドリの煮物、しし肉煮などが盛り付けられています。

室戸はクジラ漁やまぐろ漁の基地だったこともあって、この2つは必ず入っています。高さの競われることがあり、直径約50センチの皿に、すしが30センチ以上もの高さに盛り付けられることも。クジラの竜田揚げ、流れ子煮付けやまぐろの腸・卵の煮付け、イカの天ぷらなどが入ります。

香長(かちょう)平野が広がる農業が盛んな南国市では、かつて豪農が数多くいました。競うように豪華な皿鉢を購入したという皿鉢料理のルーツのようなところでもあります。昆布巻き、高野づけ、サバずしや巻ずし、稲荷ずし、酢ごぼう、柿、ようかんなどが盛られています。

津野町の菊ずしは「現代の皿鉢料理」と言えます。しそで赤色を付けた大根に、緑の大葉、黄色い卵の3色で菊の花に形作られたすしが、その華やかさが引き立つ器に入れられています。おすしに欠かせられない「ガリ」は、バラの花に見立てられ、テーブルが彩りを添える一皿となっています。

大月町・柏島の海岸には小さな入り江がいくつもあって、多くの種類の魚が獲れます。柏島の皿鉢は地元の人が大好きというアジやブリの姿ずしが必ず入れられますもう一つ忘れてならないのが、高野豆腐と魚のすり身を煮付けた『高野づけ』というもの。ごぼうなどの野菜の他、海岸で採れる「ふのり」を揚げた『つき揚げ』など、島特有の料理が数多く盛られています。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 大きな皿に刺身などの料理を盛り付けた、高知県の宴会料理は?

A. 皿鉢料理