鹿児島の名勝・仙巌園で名物となっている「両棒餅」。何と読む?

薩摩藩主島津家の別邸で19代島津光久によって築かれた「仙巌園(せんがんえん)」は、鹿児島を代表する観光名所です。この仙巌園の名物として親しまれているのが、薩摩武士にも愛されたという「両棒餅」。こちら、なんと読むかご存知でしょうか?

両棒餅(ぢゃんぼもち)って?

「両棒餅(ぢゃんぼもち)」は、もち米や上新粉で作った楕円状のお餅・団子に竹串を2本差して、とろみのある砂糖しょうゆのタレをかけて食べる、鹿児島県で古くから親しまれている郷土料理です。例えるなら、みたらし団子のようなもの。素朴な味が地元の人々だけでなく、観光客にも人気のスイーツです。

両棒餅の歴史と由来

両棒餅の由来は諸説あります。遡ること南北朝時代、後醍醐天皇の子である懐良(かねよし)親王が、鹿児島市にある谷山城に滞在していた際、城主の谷山隆信が親王を慰めようと餅に2本の串を差し、みそと黒砂糖を煮つめたものをかけて差し出したところ、名前を聞かれ、とっさに「両棒(ぢゃんぼ)」といったのが始まりという逸話があります。

江戸時代に入り薩摩藩主の島津氏に献上されると、そこから磯地域で両棒餅が広まりました。「両棒」とは、武士が大小(本差と脇差)を腰に差している姿を「両棒差し」といったことから、この格好に似た二本の竹串に刺さった餅が「両棒餅」と呼ばれるようになったとされています。また、鹿児島弁では日本刀のことを「ぢゃんぼ」と言い、これは中国語からきているといわれています。中国語(北京語)で「両棒」を発音すると「リャンバン」で、これが鹿児島で訛って「ぢゃんぼ」と読まれるようになったと言われています。

両棒餅を食べ比べてみよう

鹿児島には半径300m以内の距離に両棒餅が食べられるお店がいくつもあり、食べ比べをしながら散策できます。人気の両棒餅のお店をいくつかご紹介しましょう。

まずは仙巌園の中にある「仙巌園 両棒屋」。こちらの両棒餅はしょうゆ、みそ、黒糖きな粉の3種類あります。しょうゆとみそはタレがねっとりしており、香りも高く、ほんのり甘めな味わい。お餅はモチモチで食べごたえがあります。仙巌園はおよそ1万5千坪もの広さの中に雄大な桜島を築山、錦江湾を池に見立てたスケールの大きな庭園です。四季折々の花々が咲き誇り、大名家ならではの催しも行われます。ガス灯の実験に使用された鶴灯籠や、全国でも珍しい猫を祭った猫神、江戸時代の正門である錫門(すずもん)など、見どころが満載。散策の合間の小腹が空いた時に両棒餅をどうぞ。

「中川家」は、慶応元年創業で両棒餅の元祖と言われているお店。親子三代に受け継がれた秘伝のだれは絶品で、県内外にたくさんのファンがいるという両棒餅です。伸びるタイプのお餅はやわらかく、きつね色のどろっとしたタレはやさしい味わい。映画「男はつらいよ」の最終作にも登場したのだとか。目の前の海には海が広がり、桜島を一望できる絶景スポットでもありますよ。

145年の歴史がある「平田屋」は白味噌のたれの両棒餅です。冬はこたつでぬくぬくしながら、桜島と錦江湾の絶景とともにやさしい味が楽しめます。焼かれた餅は香ばしく、パクパクと食べられます。こちらも目の前に桜島を望む鹿児島湾沿いにあって、窓際に座ると絶景を眺めながら両棒餅が食べられます。

「桐原家両棒餅店」の両棒餅のお餅は、餅米をついた生餅で、作り置きをせず注文が入ってから焼いているので、焼き立てを味わうことができます。みたらし味のたれに使われている砂糖は、てんさい大根から作られたてんさい糖に、くず粉でとろみをつけているので、あっさりとして何個でも食べられますよ。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 鹿児島の名勝・仙巌園で名物となっている「両棒餅」。何と読む?

A. ぢゃんぼもち