鹿児島名物「さつま揚げ」は、現地では何と呼ばれている?

鹿児島のご当地グルメの「さつま揚げ」。実は「さつま揚げ」という呼び方は、他の土地からの呼び方なのだそう。では現地周辺では何と呼ばれているのでしょうか?

地元では「つけあげ」と呼ばれている「さつま揚げ」!

さつま揚げは、魚のすり身を丸や四角に形づくり、油で揚げた練り製品です。「揚げかまぼこ」に分類される鹿児島のご当地グルメではありますが、全国的にもスーパーなどで手軽に購入できる認知度の高い定番の郷土料理です。
お酒のお供に、晩御飯のおかずに、子供のおやつに…と、食卓でもお馴染みの一品で、特におでんの時期には欠かせません。冷やしたままでもおいしく食べられるので、冷やしうどんや冷たい蕎麦の付けあわせにもぴったり。夏の暑い時期にも重宝します。また、少し炙ってわさび醤油やしょうが醤油をつけて食べてみるのも大変おつなものです。
そんな身近な「さつま揚げ」。その地元鹿児島では「さつま揚げ」とは呼ばないことをご存知ですか?実は地元では「つけあげ」という名前で親しまれているのです。
そんな「つけあげ」こと「さつま揚げ」の魅力に迫ってみたいと思います。

「つけあげ」の歴史って?!

「つけあげ」は、中国の料理がまず琉球に伝わり、薩摩(鹿児島)を経由して全国に広がったことから「さつま揚げ」と呼ばれるようになったのだそう。
話はずれますがこのルート、「さつま芋」と同じ広がり方をしています。さつま芋も中国から琉球を通ってやってきた芋なので、鹿児島周辺では「唐芋」と呼んでいて、全国に広がる時に「さつま芋」と呼ばれるようになりました。
鎖国をしていた江戸の時代、中国~琉球~薩摩~全国という新しいものが広がるルートがあったのですね。
江戸の時代と先に記載しましたが、つけあげの始まりは、江戸後期の大名・島津斉彬が諸藩で人気となっていた「かまぼこ」を、高温多湿の鹿児島の風土にあうようにアレンジさせたとの説もあります。
当時から鹿児島(薩摩)で獲れる季節の魚をすり身にしていて、アジ、サバ、イワシ、トビウオ、タラ、そしてサメなど、なんでもすり身にしていたそうです。
そしてなんといっても「つけあげ」には醤油、みりんに加え、地酒や砂糖を多く入れて甘い味付けにするというポイントがあります。
冷蔵技術のない当時、砂糖を多く入れ甘く仕上げることで少しでも日持ちするようにしていたと同時に、おもてなしの意味をこめ、お祝いや歓迎の席で作られる、とっておきの一品だったようです。

「つけあげ」は愛情たっぷり!

「つけあげ」は、鹿児島のソウルフードです。鹿児島のスーパーや道の駅などではご当地ならではの新鮮でおいしい「つけあげ」が手に入りますし、給食のメニューとしても大人気です。
そしてかつては家庭の味でした。ぷっくりとした厚み、歯ごたえ、弾力、そして甘みに愛情込められ、それぞれの家庭での作り方や形などがあったのだそう。今ではなかなか家庭で作ることも少なくなったそうですが、おふくろの味が忘れられずお祝いの席では当時を思い出し、手作りしたり、子供に作り方を教えたりすることもあるそうです。
鹿児島県民の生活に根付いている「つけあげ」は、形もさまざまですが、具もさまざま。紅しょうがやねぎ、玉ねぎなどの野菜を練りこんだり、豆腐を練りこんだり、ゴボウやタコ、イカ、ゆで卵などを包んだものもあります。

「つけあげ」の呼び名もいろいろ!

地元・鹿児島で「つけあげ」と呼ばれる「さつま揚げ」ですが、九州、四国を始め、西日本の多くでは「てんぷら」と呼ばれているのだそう。そして広島のみなぜか「あげはん」「あげはんぺん」と呼ばれているのだとか。東日本では「さつま揚げ」が主流ですが、さらに東北に進むと「あずま揚げ」と呼ぶこともあるそうです。
呼び名がたくさんある「つけあげ」ですが、その「つけあげ」という名前も、そもそも沖縄、琉球の揚げかまぼこ「チキアーギー」が訛って「つけあげ」になったといいます。
名前は変われど全国各地に広がった「つけあげ」。今夜のおかずに足してみては?!
鹿児島ではご当地ならではの「つけあげ」がたくさんあります。現地でもぜひ召し上がっていただきたいのですが、お取り寄せできるショップも多くあります。おもてなしの意味がある甘い「つけあげ」。贈り物としてもいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q.鹿児島名物「さつま揚げ」は、現地では何と呼ばれている?

A.つけあげ