溶けた氷水を飲んだり、額などに乗せて涼をとったりする、高校野球「夏の甲子園」の名物は?

夏の高校野球の大会期間中、スタンドで売り子さんたちがビニール袋入りの砕いた氷を売り歩いているのを見たことがある方は多いと思います。この商品を何と言うかご存知でしょうか?

夏の甲子園名物『かちわり』

『かちわり』は約20センチ四方のビニール袋に約400グラムのひと口サイズの氷が入っており、ストローが付いてきます。そのまま氷を食べたり氷水を飲んだりする他に、お茶やジュースを入れて楽しむこともできます。またビニール袋を頭や首に押しあてて、ほてった身体を冷やしたりと、熱中症対策にも一役買っているのです。

たったこれだけのシンプルな商品ですが、日中の気温がぐんぐんと上がる暑い甲子園では根強い人気を誇る商品の一つ。ちなみに『かちわり』は『かちわり氷』の略語です。

『かちわり氷』誕生秘話

このかちわり氷が初めて登場したのは1957年のこと。販売しているのは地元・西宮市にある梶本商店です。梶本商店はもともとは甲子園球場でかき氷を販売していました。しかし、かき氷は溶けると服を汚したり手がベタベタする、といったお客様の声にどうしたものかと初代店主が悩んでいました。そこへ息子さんが持ち帰った金魚すくいの巾着袋状のビニール袋を見て「これだ!」とひらめいたのが始まりです。

それ以前にも、砕いた氷は球場内の他にも販売されていましたが、かちわり氷は袋に入っていて食べたり飲んだりするだけでなく、身体にあてて涼を取れることから人気に火が付きました。

現在は砕氷機が氷を砕きますが、昔は金槌で叩いたり、アイスピックで割っていました。その時に響く「カチーン」という音と、「かち=勝ち、わり=打ち砕く」と掛けて『かちわり』と名付けられました。そのネーミングが多くのファンに親しまれ受け入れられて、今では夏の甲子園名物となっています。

80年代は1日1万個以上売り上げる日も多くあったものの、2000年頃からペットボトル飲料を冷凍させた商品が登場し、人気が押され気味になってきました。しかし甲子園名物を守ろうという動きがあり、かちわり氷のパッケージのデザインのTシャツやタオルも販売され、近年はまた好調に売り上げを伸ばしています。

甲子園あれこれ

『甲子園』とうい名前の由来は、球場が誕生した年に関係があります。甲子園球場が完成した大正13年は、十干の最初の「甲(きのえ)」と十二支の最初の「子(ね)」が60年ぶりに揃う年でした。そのため縁起の良いこの年にちなみ、この辺り一帯を「甲子園」、そして野球場を「甲子園球場(当時は大運動場)」と名付けられたのです。

そして、甲子園球場のシンボルでもあるツタ。平成18年の秋から始まった球場のリニューアル工事に伴って一旦伐採されたものの、新甲子園球場が完成した際、平成12年夏に高野連加盟校に贈られていた甲子園のツタの種子が「里帰り」で戻ってきて、そのツタと養生地で育成されたツタの再植樹が行われました。以前のような球場全体を覆うべく、ツタは順調に成長しています。

甲子園を支えるプロ集団

高校野球と言えば、熱い戦いの後、敗れたチームの球児達がグランドの土を持ち帰るシーンもまた甲子園ならではの風景と言えるでしょう。その土を整備し、甲子園のグランドを最高のコンディションにするグランド・キーパーがいるのです。知る人ぞ知る彼らの名前は『阪神園芸』。グランドを美しく整えるのはもちろん、雨が降って水浸しになったグランドを短時間で試合が開始できるよう修復する技術は「神業」と称され、選手やファンの間で絶大の信頼が寄せられています。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 溶けた氷水を飲んだり、額などに乗せて涼をとったりする、高校野球「夏の甲子園」の名物は?

A. かちわり