兵庫県の淡路島を原産とする、「幻の果実」とも評される柑橘類は?

淡路島には、島内だけで栽培され生産量が少なく、ほとんど島外に出荷されることがないという果物があります。誕生してから約300年もの栽培の歴史を持ち、香り高いこの果物をご紹介しましょう。

入手困難な果物

ナルトオレンジは爽やかな酸味とほろ苦さ、そして果皮には強い香りがあるのが特徴です。ほとんど淡路島で生産され夏まで収穫できます。かつては高級品として大都市にも出荷されていましたが、出荷量は1970年代半ばをピークに激減しました。オレンジの自由化や高齢化などの理由により生産者が減少し、出荷量が少なく「幻の柑橘」と呼ばれています。

ナルトオレンジの歴史

昔から淡路島では柑橘類の栽培が盛んで、かなりの広さの柑橘園がありました。様々な柑橘類が植えられていましたが、そのなかでも、淡路島を代表する柑橘がナルトオレンジ(またはナルトみかん、鳴門蜜柑)です。鳴門蜜柑は約300年前、当時淡路国を治めていた蜂須賀家の藩士が唐橙(ダイダイ)の実を食べたところ、非常においしかったので、その種を洲本の屋敷の庭に植えて栽培したことが始まりと言われています。

淡路島にしかないオレンジなのに、名前に「ナルト(鳴門)」と付くのはなぜなのでしょう? 淡路島は現在では兵庫県に属していますが、江戸時代は徳島藩の領地でした。藩主である蜂須賀家・十四代斉昌に実を献上したところ、斉昌は『天下無比の物なり』と絶賛し、こんな素晴らしいものが無名のままではいけないとして、領内を流れる鳴門海峡から名前をとって「鳴門」の名を与えたとされています。

ナルトオレンジは加工品がたくさんあります

ナルトオレンジは独特な香りをしており、その香りはお菓子や料理に使うと、食材の美味しさをよりいっそう引き立たせます。そのため、ジュースやジェラード、マーマレード、マフィン、羊羹といったスイーツをはじめソーセージといったものまで様々な加工品が作られ、販売されています。中でも珍しいのが、ナルトオレンジが入った「茎わかめの佃煮」と「昆布の佃煮」。柑橘類の佃煮なんてあまり聞きませんが、ナルトオレンジの独特の香りがマッチしていておいしいのだそう。白いごはんの上にナルトオレンジの皮の琥珀色が映えるのも綺麗で、お土産にもぴったりですね。

世界三大潮流の1つ鳴門の渦潮(うずしお)

ナルトオレンジの名前の由来にもなった鳴門海峡。そこで見られるのは言わずと知れた渦潮です。春と秋の大潮時に最大となり、直径20メートルにも達する渦潮の大きさは世界一と言われているほど。鳴門の渦潮はイタリアの「メッシーナ海峡」とカナダの「セイモア海峡」と並ぶ世界三大潮流の1つに数えられています。

なぜ渦潮が発生するのか

鳴門海峡は中央にあたるところが、かなり深くなって約100メートルほどあり潮流は抵抗なく速く流れ、この流れを本流と呼びます。一方で、本流の両岸は流れが緩やかな浅瀬になっています。渦潮はこの本流と両岸の緩やかな流れの境目のあたりで、本流の速い流れに巻き込まれるような形で発生するのです。渦潮は大きなものになると直径20メートル以上にも達します。渦は数秒から数十秒が巻いていますが、現れては消え、消えてはまた新たな渦が発生するというのを繰り返します。

渦潮を見るための観潮船に乗船すれば、かなり間近まで近づき大迫力の渦潮を見ることができます。また水面下1メートルの展望室から水中の渦潮を見られる船もあり、こちらもぜひ体験したいところ。渦潮の見頃は大潮(毎月陰暦の1日~3日(新月のあたり)、16日~18日(満月のあたり))の日がおすすめです。1日のうちで潮流が最も速くなる時間帯に迫力ある渦潮が発生します。潮の流れない時間帯には渦潮を見ることはできないので、見に行く時は忘れずに「潮見表」をチェックしましょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 兵庫県の淡路島を原産とする、「幻の果実」とも評される柑橘類は?

A. なるとオレンジ