瀬戸内海産の小魚からとったダシが特徴の、広島県のご当地ラーメンは?

広島のご当地グルメと言えば、広島風お好み焼き、牡蠣、汁なし担々麵…などたくさんありますが、ご当地ラーメンとして、全国的にも有名なラーメンもあります。特にラーメン通というわけではなくても、食べた方も多いであろうラーメンです。

やさしい味で多くの人を魅了

広島県備後地方に位置する尾道市を中心とした、ご当地ラーメンとして有名なのが「尾道ラーメン」です。瀬戸内の小魚からとったダシと鶏ガラで取った澄んだダシにしょうゆを合わせたスープがベースになっており、表面には豚の背脂のが浮いています。麺は平打ちでやや細めのものが多く使用され、具はシンプルにチャーシュー、メンマ、ねぎの3種類です。ダシの配合や麺の種類など、お店によってそれぞれこだわりや違いがあるので、さまざまな味わいを楽しむことができます。

今では一般的な「尾道ラーメン」は、瀬戸内海産の小魚のダシを加えるので、独特の風味がスープに感じられます。元々「尾道ラーメン」という名前は、広島県福山市のとあるメーカーがお土産で販売していたラーメンに付けたものが始まりだったとされています。このラーメンを売り出す際に、より尾道をPRできるものはないかと考えて、瀬戸内の小魚のダシを用いたことから「尾道ラーメン」は現在のスタイルになったと言われています。

背脂ミンチが最大の特徴

「尾道ラーメン」の最大の特徴といわれる背脂ミンチはぷるぷると柔らかく、さらりとしたどちらかと言えばあっさりめのスープを濃厚なコクのあるスープへと変わっています。背脂ラーメンと言えば、関東地方の背脂チャッチャ系ラーメン(煮込んだ豚の背脂をスープにコクを出すために丼の上から網でチャッチャッと漉しながら振りかけたラーメン)を思い浮かべる方も多いでしょうが、それとは食感も風味も違ったものになっています。

尾道ラーメンの背脂ミンチは、大きな塊でスープの表面に浮いています。このミンチは油で揚げたり、ねぎで香りづけしたりなど、それぞれのお店でこだわりの工夫されているのです。このミンチが、味にも見た目にも大きなインパクトを加えられ、「澄んだ醤油スープのラーメン」とは一味も二味も違う「尾道ラーメン」というご当地ラーメンを確立させました。

尾道ラーメンの歴史

尾道ラーメンは、地元で80年以上の歴史があるとされています。昭和の始め頃、尾道で「支那そば」として、屋台などでチャルメラを鳴らして売って歩いていたのが、「尾道ラーメン」の始まりと言われています。尾道ラーメンのスープは、当時は豚骨と牛骨でとったスープで白く濁った色をしていました。尾道は造船の街で、戦前や戦中に大陸から来た大勢の人々が造船業に携わっており、戦時中には物資の不足で一時中断していましたが、戦後になり造船業が衰え、代わって中華そばの屋台を引く者が現れるようになりました。尾道のラーメン人気の礎を築いた『朱華園』の創業者、朱阿俊氏もその一人だったそうです。残念ながら『朱華園』は2019年6月に閉店しています。

見どころいっぱい尾道

尾道は風情ある路地と坂道、そして猫好きなら「猫の細道」という何とも魅力的なスポットもある、美しい街です。広島方面へ旅行へ行くことがあるなら、ぜひ尾道も立ち寄りましょう。尾道と言えば、映画『転校生』や『時をかける少女』、NHK朝の連続ドラマ『てっぱん』、アニメなど数々の作品の舞台になった街としても有名で、そのロケ地巡りを目的に多くの人も訪れます。昭和レトロの雰囲気が残った商店街やその街並み、渡り船が行き交う瀬戸内海、細い坂道に路地に、思い思いに過ごす猫たち。港町の情緒があふれる景色が楽しむことができるのです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 瀬戸内海産の小魚からとったダシが特徴の、広島県のご当地ラーメンは?

A. 尾道ラーメン