千葉県のご当地グルメ「ひしこ押し寿司」の「ひしこ」とはどんな魚?

同じ魚でも地方によって呼び名が違うことがありますよね。地域によってはクロダイがチヌと呼ばれたり、カワハギがつのぎとなるのが代表的な例です。今回は千葉県でひしこと呼ばれている魚と、ひしこを使った名物料理を紹介します。

「ひしこ押し寿司」とは

カタクチイワシは上あごが大きく目立つのですが下あごは小さいので、片方の口だけしかないように見えるからその名がつけられました。カタクチイワシをひしこと呼ぶ千葉県は、その水揚げ量が全国でも高い水準となっています。平成30年度のデータでは10,557トンと全国5位。過去にはカタクチイワシの漁獲量1位だった時期もありました。さて、千葉県ではなじみ深いカタクチイワシですが、実は生の状態だと消費者には敬遠されがちです。その理由は料理するのが大変だから。カタクチイワシは小さな魚にしては小骨が多いという特徴があります。食べやすいようにさばいて小骨を処理していたらとても手間がかかってしまいます。

江戸時代は庶民の味として親しまれていましたが、物流が発達してたくさんの食材が手に入るようになった現代では、カタクチイワシの人気が落ちてしまったのです。せっかく全国屈指のカタクチイワシの水揚げ量を誇るのだから、何とかして多くの人に食べてもらいたい。そんな思いを胸に地元の人々はカタクチイワシを使ったさまざまなメニューを考えました。そこで開発された料理の1つが「ひしこ押し寿司」です。ひしこ押し寿司では、カタクチイワシを三枚におろして、特性の漬けダレに入れて味を付けながら小骨を柔らかくします。タレがなじんだら、冷めてもおいしい鴨川産の長狹米の上にたくさんのカタクチイワシを乗せて押し寿司にするのです。

ひしこ押し寿司はアルガマリーナが販売している

ひしこ押し寿司は、千葉県南房総市にある水産加工会社アルガマリーナが製造・販売をしています。アルガマリーナは、カタクチイワシを中心に加工品を製造しています。アルガマリーナの商品は、農林水産大臣賞などの数々の賞を受賞したり、飛行機のファーストクラスのメニューに採用されるほど評価が高いです。また、食処「なむら」という直営の食堂も経営しています。アルガマリーナのひしこ押し寿司には、醤油とみりんベースのタレに漬けた「赤漬け」と、ゆずの風味が特徴的な「酢漬け」があります。このうち「赤漬け」は、第19回全国水産加工品総合品質審査会で全水加工連会長賞を受賞しました。

アルガマリーナはこだわりを持ってひしこ押し寿司を作っています。仕入れたカタクチイワシは加工する前に品質をチェックされます。身が傷ついているものなどは押し寿司には使用しません。チェックの基準は厳しく、全体の3分の2を除外することもあるそうです。材料にもこだわりをもっていて、すし酢は地元千葉県産の米酢、塩は深層水塩を使用。最後に北海道南茅部の白板昆布で包むことでさらにうま味を与えます。アルガマリーナの押し寿司には、小鯛を使ったものもあり、ひしこ押し寿司と小鯛押し寿司が半分ずつ詰められた「竜宮押し寿司」という商品もあります。

また、直営食堂の「なむら」でもひしこ押し寿司が出されています。「ひしこ押し寿司定食」は同食堂の人気ナンバー1となっています。「なむら」では、他にもイワシを使った料理を多く提供していて「イワシ漬け丼」も高い人気を誇っているようです。観光等で南房総市和田町に立ち寄ったときは、食事に寄ってみてはどうでしょうか。ひしこ押し寿司のテイクアウトもできるので、お土産に購入して帰るのもいいでしょう。

カタクチイワシのおいしさを堪能しよう

カタクチイワシはカルシウムやDHAがたっぷり含まれる青魚、それを食べやすくしたのがひしこ押し寿司です。カタクチイワシに味がついているので醤油をつけないで食べるのが一般的だそうです。千葉の海の恵みと職人の技をおいしくいただきましょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 千葉県のご当地グルメ「ひしこ押し寿司」の「ひしこ」とはどんな魚?

A.カタクチイワシ