山形県にはさくらんぼ、お米、ラ・フランスなど、たくさんのおいしい名物があります。では、山形県の伝統野菜『だだちゃ豆』はご存知ですか?あまり聞き馴染みのないこの野菜の名前、一体、どんな野菜なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
だだちゃ豆の由来は?
「だだちゃ」とは、庄内地方の方言で「お父さん」「親父さん」のことを指します。昔、庄内藩(現在の鶴岡のあたり)のお殿様が大変な枝豆好きだったようで、「今日はどこの″だだちゃ”の枝豆か?」と訊ねたことから、この地方で採れる枝豆は、いつしかだだちゃ豆と呼ばれるようになったのだそうです。では、お殿様も唸るだだちゃ豆とは、果たしてどんな枝豆なのでしょうか。
山形県名物である『だだちゃ豆』とは、江戸時代から山形県の庄内地方で栽培されている枝豆の一種です。さやの表面が茶色い産毛で覆われており、くびれも深いというその見た目は、決して良いわけではありません。しかし、たっぷりのお湯でゆであがった豆を食べてみると、これが驚くほどおいしいのです。噛めば噛むほど甘みと旨味が口いっぱいに広がって、食べ始めると止まらなくなってしまいます。そのおいしさから、だだちゃ豆は「日本一の枝豆」「プレミアム枝豆」とも呼ばれるほど、特別な枝豆なのです。
昔のお殿様はもちろん、今でも鶴岡に住んでいる人たちは、だだちゃ豆をどんぶり一杯食べるとか。「枝豆をどんぶり一杯」というとかなりの量で、にわかには信じられませんが、だだちゃ豆のおいしさなら、それも納得できてしまうほどです。
だだちゃ豆は、わがままな豆!?
だだちゃ豆は、主に山形県鶴岡市で栽培されている品種です。7月下旬から9月にかけて収穫されますが、最盛期は8月中旬から下旬とされています。だだちゃ豆のおいしさの秘密は、なんといっても土です。だだちゃ豆の種子を他の土地で栽培しようとしても、そのおいしさは消されてしまうと言います。
気温に関しても、暑すぎても寒すぎてもだめ、肥料をあげすぎても、伸びすぎてしまってすぐにだめになってしまうのだとか。生産者にとっては、種まきから収穫を終えるまで、気が抜けない日々が続くのです。花が咲いたり、実がなったりすれば、そのたびに豆に声を掛けながら(ほめながら)育てるという生産者の方もいるそうです。栽培できる土地が非常に限られていることから、当然、収穫できる量も限られます。とても貴重な品種なのですね。
江戸時代からこの地方で大切に守り育てられてきただだちゃ豆というのは、非常にデリケートで「わがままな豆」なのですね。
だだちゃ豆には疲労回復効果が。
そのおいしさが多くの人を虜にしてしまうだだちゃ豆。それには、驚きの栄養成分も含まれています。山形大学農学部の発表によると、だだちゃ豆には『オルニチン』という成分が、一般的な枝豆の最大約5倍も含まれているとのことです。このオルニチンはアミノ酸の一種で、肝機能改善や疲労回復効果があるとされ、美肌・若返りに効果的な成長ホルモンの分泌促進をする働きもあります。オルニチンが多く含まれる食品のひとつにシジミがありますが、だだちゃ豆はそのシジミの3倍から5倍ものオルニチンを含んでいると言われています。
また、だだちゃ豆の特徴でもある濃い旨味。この旨味の秘密は、アミノ酸の一種アラニンです。このアラニンという旨味成分が、ほかの枝豆と比べて、だだちゃ豆には2倍から8倍も含まれることも分かっています。
だだちゃ豆とは、おいしいだけでなく、栄養も豊富な、なんとも優秀な野菜と言えるのですね。
山形県に行ったらぜひだだちゃ豆を!
山形県の中でも限られた場所でしか食べられない、だだちゃ豆。そのおいしさは、一度食べたらやみつきになること間違いなし。だだちゃ豆を使った土産物は、道の駅やお土産屋さんでも手に入れられます。庄内地方を訪れた際には、ぜひ一度探してみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 山形県名産の枝豆「だだちゃ豆」の「だだちゃ」とは、どういう意味?
A.お父さん