見た目はちょっと怖いけど美味しい深海魚ゲンゲとは?

ゲンゲという魚をご存じでしょうか?深海魚の一種で日本海でとれる魚です。深海魚と言えば奇妙奇天烈な見た目の魚が多いですが、ゲンゲもご多分に漏れません。しかし、ゲンゲは見た目がグロテスクなだけで本当はおいしい魚なのです。

ぬめりがすごいゲンゲ

ゲンゲは漢字で「幻魚」と書きます。ベラやアイナメのように長細い体形をしていますが、それ以前に目を惹くのがぬめりです。その身体はゼラチンで固めたのではと思うほどのゼリー状。さわるとぶよぶよとした触感が伝わってきます。ゲンゲは水深200メートルに住む深海魚で、深い海底谷がある富山湾にも数多く生息しているのです。富山県のほかにも、鳥取県、新潟県、秋田県などでも水揚げされます。
ゲンゲは回遊もせず深海をゆらゆらと泳いでいるだけの魚なので、一年を通して水揚げされます。ただ、富山湾でとれるのは底曳き網漁を行う9月から5月の間です。
ゲンゲは今では漢字で書くと幻魚と、非常に希少価値のありそうな名前ですが、1970年代までは網にかかったところでどうしようもない「下の下」の魚ということで、ゲンゲと呼ばれていました。

ゲンゲは鮮度が落ちるのが早い魚で、昔は市場にはほとんど流通しておらず漁師たちの間で食べられているくらいでした。ですが、保冷技術や流通が発達したことで日本海側のスーパーを中心に出回るようになりました。
あまり食欲をそそる見た目ではないゲンゲですが、見た目だけで判断するのは大きな間違いです。ゲンゲには臭みがなく、煮物にしてよし、てんぷらにしてよしの魚なのです。脂がのっているのにくどくなく、上品な味わいが特徴で、天ぷらにするとふわふわの触感に仕上がります。スーパーでは安価な値段で販売されていますが、高級料亭のメニューとしても出されるという、料理をしたら化ける魚なのです。

ゲンゲを使ったユニークな加工食品

プルプルとした身のゲンゲには、コラーゲンがたっぷりと含まれるということで注目が集まりました。美容ブームを手伝って、ゲンゲのコラーゲン成分を抽出したサプリメントが登場することになったのです。サプリメントにすれば鮮度を気にする必要がなくなるので、多くのゲンゲが加工されるようになりました。
サプリメントではなく、食品に加工することでゲンゲの良さを広めようとしている商品があります。それが「幻魚せんべい」です。富山にあるお菓子メーカー「田中屋」の商品で、せんべい生地にゲンゲと昆布をたっぷりと混ぜ込んだせんべいになります。ほのかな塩味と昆布の香りを楽しむことができ、富山県の土産物としても有名です。

家でもできるゲンゲのお吸い物

ゲンゲは本当においしい魚です。スーパーで見かけたら、ゲンゲを使った料理にチャレンジしてみませんか。もっとも手軽にできる料理は、ゲンゲを使ったお吸い物です。4人分で必要な材料は次のものです。
ゲンゲ 4匹・白ネギ 1/3本・三つ葉 適量・カット昆布 1枚・水 600ml・酒 大さじ3・薄口しょうゆ 大さじ1・塩 小さじ1/2。
まずは、ゲンゲをさばいていきます。ゲンゲは頭を落として腹を裂いて内臓を取り出してください。内臓を取り出した後はきれいに水で洗って、ぶつ切りにしていきます。

ネギは千切りにして、三つ葉も食べやすい大きさにカットします。
鍋に水と昆布を入れて火にかけます。煮立ってきたら昆布を取り出して、ゲンゲと酒を入れて弱火で火を通していきます。5分ほど煮たら、しょうゆと塩で味付けをしてすぐに火を止めます。
あとはお椀に盛り付けてネギを三つ葉をかければ完成です。お好みで七味唐辛子といった薬味を加えてもいいでしょう。これだけで高級料亭の味が家でも再現できるのです。

高いポテンシャルを秘めたゲンゲを食べてみよう

ゲンゲはその外見とは裏腹においしさを秘めた魚です。今までスーパーで見たけたことはあったけど、見た目で敬遠していたという人は、一度は買って調理してみてはどうでしょうか。ゲンゲは、食わず嫌いにしておくのはもったいない魚です。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 富山湾で水揚げされる魚「ゲンゲ」。漢字ではどのように書く?

A.幻魚