カレーは定番メニューであると同時に様々なアレンジが可能な万能メニューでもあります。そうしたことから、全国各地に個性豊かなご当地カレーが存在しますが、中でもユニークな静岡県磐田市のご当地カレーをご紹介します。
コラーゲンたっぷりで女性に人気!
おもろカレーの「おもろ」とは静岡県磐田市で戦後に誕生した名物料理で、豚足を砂糖と醤油で甘辛く味付け、とろとろになるまでよく煮込んだものです。酢味噌をつけたり表面をこんがり焼いて食べるとおいしく、お酒のおつまみにぴったりだということで屋台などでよく食されていたといいます。
おもろカレーにはそんなおもろがたっぷりと入っています。とろりとした舌触りのおもろとカレーの相性は抜群で、また豚足にはコラーゲンが豊富に含まれているとあって女性の人気も上々です。
磐田市内では数多くの飲食店がこのおもろカレーを扱っていますが、店ごとにアレンジが加えられていて多彩なバリエーションが楽しめます。野菜たっぷりのカレーやスープカレー、フルーツをふんだんに使ったカレーなどに加え、おもろの味付け自体をスパイシーに変えたものもあり、一つとして同じおもろカレーは存在しないといっても良いほどです。
ただいずれもおもろのとろとろ感が魅力であることには違いはなく、まさに個性豊かなカレーの中に地元の味が溶け込んだ逸品といえます。
ルーツはあの横須賀海軍カレー?おもろとカレーをつないだのは「日本造船の父」
おもろカレーは地元の有志が町おこしのために考え出したメニューです。しかしなぜ磐田名物のおもろと「カレー」を組み合わせようと思ったのでしょうか。これには磐田市ゆかりの歴史上の偉人が関係しています。
幕末から明治・大正にかけて日本の海軍創設や造船業の発展に尽力した赤松則良という人物がいます。江戸に生まれた彼は海外留学も経験し、造船など様々な西洋の文明を学んで帰国、その後は横須賀で海軍司令官や造船所の所長などを務めました。そして彼が終の棲家として選んだのが磐田の地だったのです。
赤松が後半生を過ごした赤レンガの立派な邸宅は、後に静岡県と磐田市の指定文化財となりました。現在では「旧赤松家記念館」として多くの貴重な資料も展示し、人気の観光スポットとなっています。
ところで横須賀といえば、こちらもご当地カレーとして「横須賀海軍カレー」という人気メニューがあるようにカレーとは切っても切れない縁のある土地です。赤松がそんな横須賀と縁が深いこと、また彼自身も日本で初めてカレーを食べた人物として伝えられていることから、カレーと磐田、ひいては磐田名物の「おもろ」がつながったというわけです。
歴史を語る建物のそばにおもろカレーあり!街を歩きながらご当地カレーを堪能したい
おもろカレーを提供している店は磐田市内の各地にあります。観光地に近い場所もあるので、観光のついでに立ち寄っても良いでしょう。ここでは近くにおもろカレーの店がある観光スポットを紹介します。
おもろカレーといえば外せないのが「旧赤松家記念館」です。明治20年代に作られた門や蔵、庭園などが美しく、歴史や古い建物が好きな人なら見逃せないスポットです。
また、旧赤松家のすぐ近くには「磐田市埋蔵文化財センター」があります。市内で出土した土器などが展示されていて、さらに深い歴史に触れることができます。
「旧見付宿脇本陣大三河屋門」は宿場町として栄えた当時を彷彿とさせる貴重な建築物で、初の実測日本地図を作った伊能忠敬も測量の旅の途中でここに宿泊しました。
ここからは明治時代に建てられた「旧見付学校」も近いのでぜひ訪れたいところです。白亜の美しい洋風建築は磐田市のシンボルとして親しまれています。
他では味わえない美味はまさにご当地カレーならでは。カレー好きなら一度は味わうべき!
和風のおもろとスパイシーなカレーが絶妙にマッチしたおもろカレー。テレビで取り上げられたこともあり、いまや静岡県磐田市のご当地カレーとして定着しています。歴史ある街並みを楽しみながら、おいしいカレーに舌鼓を打つのもよさそうですね。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 次のうち、静岡県磐田市で提供されているご当地カレーは?
A.おもろカレー
Q. 明治に作られた門や美しい庭園が特徴の、静岡県磐田市の観光地は?
A. 旧赤松家記念館