幅広の麺を根菜類とともに煮込んだ、埼玉県深谷市の郷土料理とは?

埼玉県深谷市の郷土料理は、地域によって「おっきりこみ」と呼ばれることもあります。幅広の麺を根菜類とともに煮込んだこの料理の特徴は、深谷市の特産である深谷ネギを使うことにあります。この郷土料理は、どのようにして生まれたのでしょうか。

煮ぼうとうの誕生

この郷土料理の名前は「煮ぼうとう」といいます。埼玉県深谷市と言えば明治時代、日本の近代化に多大な貢献をした渋沢栄一の出身地として知られており、特産の深谷ネギも有名です。煮ぼうとうは深谷市の郷土料理で、この深谷ネギを使った名物料理のことです。なぜ煮ぼうとうという料理が生まれたのでしょうか。かつて深谷地域一帯は小麦の産地であり、小麦粉を容易に手に入れることができました。小麦粉に加え、ネギも多く収穫されていましたので小麦粉とネギを使った料理が考えられるようになりました。

深谷ネギは一年中収穫できるのですが、旬は12月頃だと言われています。そして、小麦粉と旬のネギを使い寒い冬の時期に身体を温められるようにと考案されたのが煮ぼうとうというわけです。ほうとうと言うと、山梨県の名物だという人も多いかもしれませんが埼玉県の煮ぼうとうとの違いは、煮ぼうとうが醤油味であるのに対してほうとうは味噌味です。また、煮ぼうとうには使われないかぼちゃがほうとうには使われているといった違いがあります。

煮ぼうとうの作り方と栄養

さて、このようにして生まれた煮ぼうとうはどのようにして作られるのでしょうか。まず、昆布や干し椎茸を水に入れ出汁を作ります。この出汁を沸騰させその中に深谷ネギや大根、ニンジンやゴボウ、しめじなどの野菜を入れます。ひと煮立ちさせたら鶏肉を入れ火が通ったら生麺を入れます。煮ぼうとうの特徴であるとろみは、この生麺から出ているのです。そして麺がほぐれたら火を止めて蓋をし、数分蒸らしたら出来上がりです。名産の深谷ネギを最大限楽しむのであれば冬の時期が良いです。

煮ぼうとうにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。まず、ねぎの独特な香り成分のアリシンが含まれています。これは、疲労回復や血行改善、食欲増進や解毒作用などの効果があるといわれています。さらに、ビタミンCがあります。美容に良いとされているビタミンCですが肌の老化の防止や、しみやしわを抑制してくれる働きがあります。また、生活習慣病の予防にも効果的です。さらに、βカロテンが含まれています。これは、がんや肌荒れ、皮膚の乾燥の予防に働くそうです。このβカロテンは体内でビタミンAに変わりますので、これが不足すると夜盲症になるとされています。このように、煮ぼうとうには多くの栄養が含まれており身体を温めるだけでなく健康にもつながる料理なのです。

深谷市の歴史と見どころ

深谷市はかつて武蔵野国に属していました。15世紀に上杉氏がこの地域に深谷城を築きそこに城下町が形成されたことで深谷市の基礎が出来上がりました。江戸時代に入ると、参勤交代の影響から宿場町として整備され大いに発展したと言われています。19世紀末に様々な地域が合併し深谷町が成立すると、2006年にさらに合併が行われ深谷市となるのです。このようにして成立した深谷市には、様々な見どころがあります。

まず、渋沢栄一記念館・八基公民館です。渋沢栄一は深谷市出身の実業家です。渋沢は、第一国立銀行をはじめ多くの株式会社や鉄道会社などを創設したことから日本資本主義の父とも言われており、日本が西洋列強に対抗するための基礎を築いた人物です。この記念館では、渋沢の功績を資料と共に確認することができ多くのファンが訪れます。また、わんぱくランドがあります。ここは屋外遊園地で、バッテリーカーを目当てに多くの家族連れが訪れる人気のスポットです。

深谷ネギととろみを特徴とする埼玉県深谷市の名物、煮ぼうとう

このように、埼玉県深谷市で生まれた煮ぼうとうは特産の深谷ネギと土壌が育んだ小麦粉、さらに環境によって生まれた郷土料理とも言えます。寒い冬に、旬の深谷ネギの甘みを感じながら身体を温めるとより一層美味しく感じられるかもしれません。

ザ・ご当地検定の問題

Q.幅広の麺を根菜類とともに煮込んだ、埼玉県深谷市の郷土料理とは?

A. 煮ぼうとう