大阪市の『うさみ亭マツバヤ』が元祖とされるうどんの種類とは?

大阪の老舗うどん屋「うさみ亭マツバヤ」が元祖とされるうどんをご存じでしょうか。うどんのバリエーションのド定番といえるうどんです。いったいどんなうどんなのでしょうか?

店の心づくしと客の何気ない行動が生み出した

大阪府大阪市中央区の丼池筋(どぶいけすじ)、戦後、繊維問屋街として栄えたこの通りの一角にたたずむ「うさみ亭マツバヤ」こそが、きつねうどんの元祖の店だといいます。創業は明治26年(西暦1893年)、軽く120年を超える歴史をもつこのうどん屋では、素うどんに魚のすり身の天ぷら、甘辛く煮た油揚げを付け合わせに出していました。ところが、その付け合せをうどんに乗せて食べる客が多く見られたため、それではと最初から油揚げを素うどんに乗せて出すようにした。これがきつねうどん誕生のきっかけでした。誕生した当時は「きつねうどん」ではなく「こんこんうどん」と呼んでいたそうです。

客が店側が意図しないような食べ方をしたために、新しいメニューが生まれたというのはよくある話。ただうどんに煮た油揚げを乗せるだけではないかと言うなかれ。素うどんに油揚げを付け合わせに出すという店側の心づくし、そしてその油揚げを素うどんに乗せて食べるという何気ない客の行動が重ならなければ、きつねうどんは生まれず、現代の我々は赤い色のカップうどんで気軽に楽しむこともできなかったかもしれないのです。

うさみ亭マツバヤの元祖きつねうどん

きつねうどんといえば、うどんの上に油揚げを乗せただけの簡単なもの。でも、さすが元祖を名乗るだけあって「うさみ亭マツバヤ」のきつねうどんは一味違います。うどんは毎日店主が自ら打つ手打ち。熊本産の国産小麦粉で打つうどんは、もちもちとした歯ごたえで讃岐うどんとはまた違う味わいです。一見関東のうどんかと思ってしまうような濃い色のつゆは、しっかりだしが効いて薄口しょうゆで味付けされた正統大阪式です。だしの鰹節は屋久島から、昆布は北海道から取り寄せているといいます。

きつねうどんのもう一つの主役・油揚げの煮付けは、昆布だしの二番だし(じっくり煮出しただし)を使い、味付けは砂糖と塩のみ。しょうゆを使わず煮てあるので、うどんの上に乗せてもつゆの味とぶつかりません。その油揚げの上に、一見かまぼこのように見えるたこの切り身が乗っているのも他にはない特徴です。木の芽や柚子の皮など、季節ごとの香りを添えてあるのは、さすが老舗の心使いといったところですね。

もう一つの名物「おじやうどん」もおすすめ

元祖きつねうどんの店「うさみ亭マツバヤ」には、地元客に愛されるもう一つの名物「おじやうどん」があります。これは、南部鉄の四角い鍋で、うどんとご飯を半々に煮込んだものです。もともとは、戦争末期の食糧不足のおりに、使える材料をなんとか寄せ集めて生み出された、いわば戦時中限定メニューのようなものでした。しかし現在では、きつねうどんにも乗せる油揚げの他に、しいたけ、鶏肉、かまぼこ、さらには穴子まで乗ったごちそうになっています。仕上げにはタマゴが落としてあり、細切りのネギと、しょうがの甘酢漬けが薬味として添えられています。

また「うさみ亭マツバヤ」では、スパゲッティに使うデュラムセモリナ小麦を使ったうどんや、かた焼きそば風に揚げたうどんにあんかけした「ソフトうどん」など、新しいうどんも生み出されています。うどんだけでなく、うどん屋ならではのだしの技を活かした親子丼やカツ丼も評判です。きつねうどんだけで満足していてはもったいないかもしれませんよ。

大阪に行ったら元祖きつねうどんを味わってみてください

「うさみ亭マツバヤ」は、大阪の中心的な商店街である心斎橋の裏通りにあります。地下鉄心斎橋駅からは歩いて5分ほどですから、買い物や大阪観光のルートの中に組み入れて、元祖きつねうどんを味わってみてはどうでしょうか?

ザ・ご当地検定の問題

Q. 大阪市の『うさみ亭マツバヤ』が元祖とされるうどんの種類は?

A.きつねうどん

Q. 大阪の老舗うどん屋「うさみ亭マツバヤ」が元祖といわれる「きつねうどん」。誕生したときの呼び名は?

A.こんこんうどん