大分土産としても人気のびん詰め「やまのまりも」。入っているのは、まりもではなく何?

「まりも」と言えば、もこもこした緑色のまるっこい形のちょっと不思議な植物。北海道や青森といった寒冷地に生息していますが、南国の大分にある「やまのまりも」は、ちょっと違うのです。

『やまのまりも』の「まりも」の正体は?

北海道の阿寒湖のまりもは国の天然記念物なのに、そんな大事なものをびん詰めにしていいの? と疑問に思ってしまいますが『やまのまりも』に入っているのは、もちろん本物のまりもではなく大分県の名産品の「かぼす」です。

『やまのまりも』は、成長の過程で初夏の頃に摘果された小さな「早どりかぼす」をじっくり10日間かけて煮込み、瓶詰めしたものです。和菓子の餡のようなクリーミーな甘さで、もっちりとした食感が味わえます。なんと種まで食べられてしまうというから驚きです。

大分県のかぼす

大分県は全国の生産量の9割以上を占めるかぼすの産地です。そのルーツは、竹田や臼杵地方の民家の庭薬用として栽培されたのが始まりとされています。竹田では家庭の庭や畑などに1本はかぼすの木が植わっているというくらい、かぼすの栽培が一般的でした。そのため国の政策で米の生産調整が行われた昭和40年代の半ば頃から、米の代わりとしてかぼすが選ばれ、水田として利用するには不便である山間地をかぼす畑に転作することになりました。

かぼすは料理の名脇役

かぼすはレモンやすだち、柚子などの仲間である香酸柑橘類に分類されます。柚子よりひとまわり小さく、色はすだちと同じく緑色ですが果肉は黄色です。味は柑橘類のなかでも甘みとミネラルのバランスがよく、酸味や苦味・雑味が少ないためどのような食材の味も消すことがありません。そのため食材の良さを引き立てる料理の名脇役となります。

かぼすの酸味は「まろやかな酸味」と言われ、どんなものにもかけることができます。ポン酢をはじめとして酢のものに使われ、唐揚げや天ぷら、焼き魚との相性は抜群です。また郷土料理の「だんご汁」のようなおみそ汁にも入れられます。大分県は麦焼酎の産地としても有名ですので、チューハイやお湯割りにも重宝されています。最近ではドレッシングなどにも使われ、かぼすのまろやかな酸味がよく合います。ちょっと変わった使い方としては、お刺身や焼きそばにかけてもイケますよ。

ミネラルが豊富なかぼすはお刺身や漬物などに、しょうゆの代わりにかけることで減塩効果が期待されており、さっぱりとおいしくいただけます。

見どころいっぱい竹田

かぼすの産地である竹田は大分県では南西部に位置し、北のくじゅう連山と西の阿蘇山、南の祖母山系などの山々に囲まれています。豊富な湧水や温泉にも恵まれ、また江戸時代から変わらない景観の城下町の魅力的な街です。

城下町に入る前に、行っておきたいのは「岡城址(おかじょうし)」。瀧廉太郎が作曲した有名な歌曲『荒城の月』のモチーフとなったところです。岡城址で必ず見ておきたいのは石垣で、特に三の丸の石垣は急な石垣の斜面を緑の苔が覆い、「地獄谷」とも呼ばれています。吹き抜ける風に吹かれた松の葉音は「岡城跡の松籟(しょうらい)」として、環境省の「日本の音風景100選」にも選定されました。

岡藩時代の面影を色濃く残した、格式ある武家屋敷が立ち並ぶ「歴史の道」を歩くと、今なお残る白壁や仏閣が当時の隆盛を感じることができます。また古民家を再生させた趣のあるギャラリーやレトロな雰囲気がどこか懐かしいお店もあり、そぞろ歩きにもぴったりです。

白山国立公園内の原生林に囲まれたなかにある白水の滝は、大野川の源流とする美しい滝です。「大分県百景」の一つにも選ばれ、下流の陽目渓谷は野外レクレーション地となっており、春は新緑、夏はキャンプ、秋には紅葉を楽しむことができます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 大分土産としても人気のびん詰め「やまのまりも」。入っているのは、まりもではなく何?

A. カボス