長崎でよく売られている中華菓子のひとつに「唐人巻」があります。お土産にもおやつにもと昔ながらの人気の揚げ菓子です。細長く伸ばした生地をひねって作った、その見た目・形状からついた「唐人巻」の愛称は何でしょうか?
長崎の中華菓子、「よりより」?!
横浜、神戸と並ぶ日本三大中華街のひとつ、長崎新地中華街。そのお土産物として長く親しまれている中華菓子の「唐人巻(とうじんまき)」があります。麻糸をよりあわせたような形から「よりより」とも呼ばれる揚げ菓子です。
麻糸の束をひねった形で、かわいらしい揚げパンのような見た目ですが、ぼりっぼりっ、ごりっごりっとした強い歯ごたえ。素朴な味わいですが、噛めば噛むほどに甘味を感じてやめられないおいしさ。一度食べるとまた食べたくなってしまう、不思議な魅力を持った中華風のかりんとうです。
長崎新地中華街を中心としたランタンフェスティバルでは、一日に何万本も売れるという代表的な売れ筋商品です。
「麻花(マーファ)」→「唐人巻」→「よりより」?!
この「よりより」は、今も中国で食べられている伝統的な中華菓子「麻花(マーファ)」というお菓子が伝わったものです。中国北部では「麻花兒 (マファール)」、中国南部では「火把 (ホオバー)」とも呼ばれているのだそう。
中国から渡ってきたお菓子で、長崎新地中華街では昔から馴染みがありましたが、戦後になって華僑の人だけではなく地元の人にも食べられるようになりました。漢字が難しいため「唐人巻(とうじんまき)」と名付けられましたが、それもまた呼びやすい愛称の「よりより」に変化して長崎のお土産、地元のお菓子として親しまれてきました。
この「よりより」は、小麦粉、砂糖、塩の3つの材料だけでも作ることができるというシンプルなお菓子です。お店によってはここに老麺という中国の天然酵母(麺種)や、唐灰汁(とうあく)というかん水(アルカリ塩水溶液)を加えたりして、それぞれ独特の味や硬さを追求しています。小麦粉のみならより油切れ良くカリっと仕上がり、麺類などにも使われる唐灰汁が加われば、そこに弾力や柔らかさが加わります。
そんな作り手のこだわりが詰まった生地を平たくのばして板状にしたら、細い紐のように切りわけ、一本一本をさらに伸ばしてよっていきます。ひとつひとつ職人の手作業で、綺麗によってひねった麻糸の束ような形に整えます。
それをたっぷりの菜種油や大豆油などで揚げていくと、薄いきつね色が香ばしく、さっぱりとした甘さとカリっと歯ごたえがたまらない「よりより」が出来あがります。
長崎で作られる「よりより」には九州産の小麦粉を使っているものもあり、中国生まれですが、すっかり長崎に根付いたなじみ深いお菓子になっているようです。
「よりより」の最初の伝来は遣唐使?!
実は、そんな「よりより」が日本に伝わったのはとても古く、遣唐使によって持ち込まれたという説もあります。唐の時代ですので、618年〜907年頃。日本は、飛鳥・奈良・平安時代で、実に1400年前も昔に日本へ入ってきた可能性があるのです。
それは「麻花(マーファ)」ではなく「索餅(さくべい)」と呼ばれるもので、素麺やうどんの祖といわれる食品です。縄状の形で、「麦縄(むぎなわ)」とも呼ばれていて、七夕に食べる風習が今でもあるそうです。確かに「よりより」にそっくりの風貌です。
長崎では、戦国時代の末期に中国人が移住してきます。江戸時代に鎖国となっても、なお中国との交易は続けられ、その移住してきた中国人により「麻花」は伝えられたとされています。戦時中は、中華街との交流などは禁止されていましたが、戦後、民間の人たちとの行き来が始まると、その素朴な味と独特の食感で人気となりました。
この「よりより」は、お土産としても、おやつとしても人気ですが、パンのかわりに朝食などにいただくツウな食べ方も。牛乳やコーヒー、スープなどと一緒に、またはそれに浸して食べれば柔らかくなり、いつもと違った食感で美味しさも増します。
年々規模が大きくなる「長崎ランタンフェスティバル」など長崎新地中華街にお越しの際はこの「よりより」などを食べ歩きするのも楽しみ方のひとつ。他にも肉まんや角煮まん、海老のすり身の揚げパンやミルクセーキアイスなど楽しくて美味しい食べ歩きメニューが豊富です。長崎新地中華街で「よりより」を片手に新たな発見をしてみませんか。
ザ・ご当地検定の問題
Q.長崎でよく売られている中華菓子「唐人巻」。細長く伸ばした生地をひねって作ることから付いた愛称は?
A.よりより