日本各地にはその土地特有の汁物料理があります。今回は宮城県の仙南で食べられている汁物料理をご紹介します。醤油味の汁に野菜と温麺を入れて、片栗粉でとろみをつけた料理です。
栄養満点の汁物料理
おくずかけは、主に宮城県の仙南地域で食べられている郷土料理です。野菜がたっぷり入った汁物なので栄養満点で、各家庭で具材や味付けも異なることからおふくろの味と言える料理です。もともとは精進料理として作られており、盆や彼岸などの季節になると各家庭で食べられています。また、宮城県名物のずんだもちと一緒に仏壇にお供えされるのが習慣となっています。おくずかけは家庭によって具材が違うので、入れられる食材は根野菜やナス、干しシイタケ、こんにゃく、油揚げ、豆類などさまざまですが、共通して使われるのが白石温麺です。宮城県白石市で作られているそうめんに似た麺ですが、そうめんより太く短いという特徴があります。
宮城県では学校給食としておくずかけが出ることもあります。野菜を細かく切ってとろみをつけているので、野菜嫌いの子供でもスルスルと食べられて人気です。また、県内の飲食店でも、おくずかけを提供している店があります。おくずかけはそれほど宮城県内に浸透している料理と言えるでしょう。同じ宮城県内でも美里町では「すっぽこ」という名前で親しまれています。
どこの家でも作れる!おくずかけのレシピ
おくずかけは特別な材料が必要ないため、どこの家でも作ることが可能です。白石温麺だけは全国的に出回っている商品ではありませんが、ネット通販を利用すれば入手できますし、ひやむぎなどで代用することもできます。具材は家庭によって異なりますがスタンダードなものをご紹介します。4人分の材料は次の通りです。
サトイモ 80g・ニンジン 40g・ゴボウ 35g・ササゲ 4本・干しシイタケ 4枚・油揚げ 1枚・高野豆腐 半丁・糸こんにゃく 50g・豆麩 適量・白石温麺 1束・水 800cc(干しシイタケの戻し汁を加えて)・粉末ダシ 5g・醤油 大さじ2・塩 小さじ1・片栗粉 大さじ1・片栗粉用の水 大さじ2
作り方は以下のとおりです。
1.サトイモは1口大に切って塩水につけておきます。ニンジンはいちょう切り、ゴボウはささがきにして水にさらします。ササゲはさっと茹でて三~四等分程度にしておきます。ササゲはマメ科の植物で、手に入らない場合はインゲンでも代用できます。油揚げは細切りにして、高野豆腐はさいの目切りにしましょう。干しシイタケは水で戻してから細切りにします。豆麩はいったん水でもどして余分な水分を絞り出しておきます。
2.材料が切れたら煮込みに入ります。干しシイタケの戻し汁を加えた水を火にかけ、粉末ダシを入れます。沸騰してきたらサトイモ、ニンジン、ゴボウを入れて煮込みます。
3.ササゲ以外の残りの材料を入れてひと煮立ちさせます。食材に熱が通ったら火を止めて、水溶き片栗粉でとろみをつけます。
4.白石温麺は別の鍋で茹でます。茹で上がったら流水で麺をしめてから器に盛りつけます。
5.器に汁を入れて、最後にササゲを添えれば完成です。
おくずかけは仙南の豊かな自然の恵みがくれた料理
仙南とは仙台市より南の宮城県の地域を指す言葉です。仙南には白石市や蔵王町など9つの自治体があります。仙南地方は自然が豊かな土地で、桜の名所や温泉地、雄大な山々が存在します。それに伴い、農業も盛んです。川崎町では仙人シイタケ、蔵王町では蔵王はるかという具合に、各自治体はブランド農作物を生産してます。木材を生かした工芸品もあり、特に白石市ではこけしが伝統工芸品として有名です。おくずかけはこうした緑豊かな自然に囲まれた土地だからこそできた料理と言えるでしょう。
暑いときでもおいしく食べられるおくずかけ
夏場は冷たいものを食べすぎたり飲みすぎたりしますが、摂取しすぎると内蔵機能の低下を招き、夏バテになってしまいます。そうならないように、温かいものを食べて夏を元気に夏を乗り切りましょう。おくずかけは栄養たっぷりなので夏バテの予防にもなります。
ザ・ご当地検定の問題
Q. とろみのある醤油味の汁で野菜やうーめんを煮込んだ、宮城県の郷土料理は?
A.おくずかけ