三重県で昔から作られてきた保存食「きんこ」は、何を乾燥させたもの?

三重県の名物に、あまり聞き慣れない「きんこ」というものがあります。一体きんことは、どのようなものなのでしょうか?伊勢志摩の海に囲まれた地域だからこそ生まれたきんこ。その由来とに人気の秘密について紹介します。

きんこの名前の由来

三重県の伊勢志摩と言えば、伊勢海老をはじめ美味しい魚介類が食べられることで知られています。さらに真珠の産地でもあり、海には貝を獲る海女さんたちの姿が多数見られます。昔から伊勢志摩には、多くの漁師と海女が活躍していました。漁村が多く、厳しい自然の中、漁師や海女は仕事をします。体力仕事であり、体が資本なのです。

肉体労働である漁師や海女さんは、こまめに栄養を摂取しなければなりません。食べやすく海にも持って行けて栄養も豊富な食べ物として、干しサツマイモがありました。ねっとりと甘くて美味しい干し芋は、いつしか三重県の名物「きんこ」となったのです。きんこという呼び方は、干したナマコ「金ん子」と形が似ていたからと言われています。伊勢志摩の漁村で生まれたきんこ芋は、漁師や海女さんのミネラル源としてだけでなく、今や子供から大人までみんなが愛する美味しい三重名物となりました。

三重県独特の伝統的な干し芋製造法

きんこはほかには見ない珍しい製造法にて作られています。サツマイモ本来が持つ甘味を活かして、余計な糖分や化学調味料はほとんど加えずに煮込み、蒸らし、セイロに丁寧に並べていきます。この時点でサツマイモは非常に柔らかい状態ですが、それをさらに岬で天日干ししていくのです。何度も天日干しを繰り返すことで、サツマイモはさらに甘くなり、上質の煮切り干し芋になります。サツマイモの皮を剥く作業から始まり天日干しが完了するまで、時間や温度などをこまめに調整しながらの作業が続きます。こうして、三重県名物のきんこ芋が出来上がるのです。

きんこ芋の材料には、べにはるかやハヤト芋と呼ばれるサツマイモが使われることが多いです。これらのサツマイモが持つ濃い甘味を、さらに引き立てるきんこ芋は、ねっとりとして食べ応えのある味わいです。スイーツには勿論、食事のおかず、さらに保存食としても人気の三重名物です。

素朴な甘味と栄養豊富な「きんこ」は保存食にも!

サツマイモを使って作るきんこ芋は、非常に栄養豊富です。漁師や海女さんがこの干し芋をパワーの源にしていたのも納得できることでしょう。まずビタミン類がたくさん含まれており、特にビタミンC・ビタミンE・βカロチンが凝縮されています。βカロチンは目の疲労を緩和する働きもある上に、抗酸化作用が高いことでも注目されている栄養成分です。体内の活性酸素を抑制してくれるので、老化防止にもつながるといわれています。さらに食物繊維が多いので、腸内環境も整い便秘の予防にも。人間が元気に活動するために欠かせないミネラル成分も多いですし、とにかくバランス良く栄養が補給できるのです。天日干しすることで、さらに栄養価が高まるそうです。

きんこ芋のさらなる魅力は、保存食にもなる点です。伊勢志摩でも、漁師や海女さんに限らず、保存食としてい一般家庭でもきんこ芋が作られていたそうです。伊勢志摩の地元の人だけの食べ物ではなく、広くきんこ芋の良さを味わってもらおうという地元の人の思いから、今や三重名物となりました。そのまま食べるのは勿論、アイスクリームやヨーグルトをかけて食べるのもまた違った美味しさを実感できます。

干し芋セットを入手すれば家庭でも美味しいきんこ作りが可能に!

作り方を聞くだけで美味しそうなきんこ。「干し芋セット」も販売されているそうなので、これを入手すれば家庭でもきんこ芋が作れます。魅力いっぱいの三重名物きんこの美味しさにハマったら、是非家庭でもきんこ作りにトライしてみましょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 三重県で昔から作られてきた保存食「きんこ」といえば、何を乾燥させたもの?

A.サツマイモ