米粉、砂糖、水、山芋を混ぜ合わせてふかして作る、お土産としても人気が高い鹿児島の定番和菓子とは?

鹿児島県の名産品として全国的にも有名なお菓子をご紹介します。鹿児島県に旅行した人から、これをお土産としてもらったという人も多いでしょう。日本のお菓子のなかでは少し変わった風味なので、もう一度味わってみたいと感じることも多いようです。ここでは、そのお菓子の歴史や味、おすすめのお店、家庭でも作れるようにレシピなどを紹介します。

いったいどんなお菓子?

かるかん(軽羹)とは、鹿児島県の特産で棒羊羹の形をしたお菓子のことをいいます。原材料は、かるかん粉(うるち米粉)と自然薯(山芋)と砂糖です。饅頭などの和菓子に比べ、ふっくらと柔らかく白いのが特徴です。かるかんは蒸しあがり直後や切り分けたときに羊羹と形が似ているため、羊羹を軽くしたという意味で、かるかんと呼ばれるようになったという説があります。

かるかんの味の基本は、砂糖と米の甘さに自然薯の風味が加わり、ほかのお菓子では味わうことのできない独特なものになっています。蒸す製法で油を使うことがないため、あっさりした食感で、米によるもっちり感や自然薯によるふっくら感も特徴です。甘さは、製造しているお店によって違いがあります。原材料の自然薯は、滋養強壮や疲労回復、食欲増進などの効果があるとされています。かるかん自体も人気がありますが、かるかん生地の中にこしあんを仕込んだ「かるかん饅頭」の人気がとても高いです。かるかん饅頭のカロリーは、50グラム1個で約109キロカロリーになり、2個でご飯1膳弱のカロリーになるので、食べ過ぎには注意しましょう。

かるかんのなかでも「新芋かるかん」は、秋から冬にかけてしか味わうことができません。かるかんの原材料となる自然薯が、秋から冬にかけて旬を迎えるためです。この季節のかるかんは、栄養価が高く滋養にもよいといわれています。

かるかんの歴史は古く、江戸時代の前期の元禄年間(1688~1704年)に薩摩藩主の島津家20代当主である綱貴の50歳の祝いの席にかるかんが用いられたというのが最も古い記録です。それ以後、ほかの大名家の祝い事にもかるかんが登場するようになります。将軍家と島津家の縁組や琉球の中城王子を迎える接待でも、かるかんが出されています。江戸時代に婚礼や年始、賀儀などの大切な日に用いられたかるかんは、格式が高く高級なお菓子だったのです。藩内で原材料の自然薯が獲れたことや砂糖の産地である奄美・沖縄地方と近く比較的、砂糖も手に入りやすかったことが、薩摩藩でかるかんが創作された要因になったようです。かるかんの製法は、かるかんの発祥以前から薩摩藩にあった「ふくれ菓子」の製法の影響を受けたといわれています。

家庭でも作れるかるかんのレシピ!

かるかんのレシピは、まず準備として自然薯の皮を剥き、型に薄めにサラダ油を塗ります。蒸し器のお湯は沸騰させ、蓋にさらしを巻きます。自然薯は、大和芋や長芋でも代用が可能です。自然薯をすりおろしてからボウルに入れ、砂糖を3回に分けて加えます。砂糖を加えるたびに、泡だて器で混ぜ合わせるのがコツです。卵白は別のボウルに入れ、ハンドミキサーで泡立てます。

自然薯と砂糖を混ぜ合わせたら卵白を泡立てたボウルに入れ、泡だて器で混ぜ合わせます。これに、かるかん粉を加えてゴムベラで混ぜ合わせますが、上新粉でも代用可能です。水を3回に分けて入れながら、ゴムベラで混ぜ合わせ型に流し込みます。型を蒸し器に入れ中火で20分程度蒸したのち、竹串を刺して生でないことを確認してから取り出して冷やします。適度な大きさに切り、盛り付けて完成です。

美味しいかるかんのおすすめのお店!

かるかんの鹿児島県での人気店には、「明石屋」「薩摩蒸気屋」「国分とらや」「風月堂」「富久屋」などがあります。お土産としてだけでなく、地元の人からの人気も高いお店です。明石屋は、創業が江戸時代の安政元年(1854年)です。薩摩蒸気屋のかるかん饅頭は、明石屋よりかなり甘めになっています。国分とらやは、鹿児島の地元の人に人気のお店です。風月堂は「さつまどりサブレ」で有名ですが、かるかんも販売しています。富久屋のかるかんも地元で人気があり、国生さゆりさんが紹介したことでも有名です。

鹿児島県ってどんなところ?

鹿児島県は九州の最南端に位置し、南北600キロメートルに及びます。面積は約9189平方キロメートルで、全国で10番目の大きさです。離島の面積は、2476平方キロメートルで全国1位になっています。2015年国勢調査による鹿児島県の人口は164万8000人、県庁所在地は鹿児島市です。鹿児島県は東京よりも韓国や中国と近い距離にあり、ソウルまで約750キロメートル、上海まで約860キロメートルになっています。

鹿児島県の気候は南北の距離が長いため、積雪地域や亜熱帯地域など多様です。県本土は温帯気候ですが、北部と南部では気候に違いが見られます。北部の伊佐市の1月の平均最低気温は氷点下1.2度で、山形県酒田市と同じくらいの寒さです。一方、南部の指宿市の1月の最低気温は4.3度で、菜の花が咲くような暖かさになっています。九州最高峰の山がある屋久島は冷温帯気候で、山岳地帯では積雪があります。奄美群島は亜熱帯気候で、1年を通じて温暖な気候です。鹿児島県には夏から秋にかけて台風が接近することも多く、特に奄美群島やトカラ列島では被害を受けることも少なくありません。

鹿児島県の歴史を見ると、1871年の廃藩置県により、旧薩摩藩の範囲で鹿児島県が成立しました。1909年には鉄道の鹿児島本線が、門司まで全面開通しています。1945年には太平洋戦争の終結で、北緯30度以南の地域が米軍軍政下に置かれ日本とは切り離されました。1952年にトカラ列島、1953年に奄美群島が、日本に復帰しています。2011年には九州新幹線の鹿児島と博多間が、全面開通しました。

鹿児島県の県民性として、男性は「ぼっけもん気質」「焼酎気質」が挙げられます。ぼっけもんとは鹿児島の方言で、勇敢、大胆という意味です。焼酎気質とは、熱しやすく冷めやすいことを指します。鹿児島では、勇敢で大胆な「薩摩隼人」が理想とされているようです。女性は、優しさ、気立てのよさを備え、なおかつしっかりしている「薩摩おごじょ」が理想とされています。真面目で控えめですが、芯は強いのが鹿児島県の女性の特徴と言えるでしょう。

鹿児島県は江戸時代末期から明治維新以後、多くの有名人を輩出しました。2018年NHK大河ドラマの主人公、西郷隆盛をはじめ、第2代内閣総理大臣の黒田清隆、大久保利通などは鹿児島県出身です。経済界では、京セラ創業者の稲盛和夫、川崎重工創業者の川崎正蔵などが出ています。作家では、海音寺潮五郎、勝目梓などが有名です。芸能界では、長渕剛、哀川翔、稲森いずみなど多数が活躍しています。

鹿児島県の代表的な観光スポット!

鹿児島県は、豊かな自然に恵まれ県内全域に多数の観光スポットがあります。「桜島」は海に浮かぶ活火山として、世界的にも有名です。「知覧特攻平和会館」は、太平洋戦争の悲しい歴史を伝えています。世界遺産である「屋久島」には、九州最高峰の宮之浦岳があり、縄文杉が有名です。このほかにも鹿児島県には、「霧島温泉」「指宿砂むし温泉」「奄美のマングローブ」など数々の観光スポットがあります。

かるかんはお土産だけでなく家庭でも味わえる!

かるかんは鹿児島県に旅行したときなど、お土産としておすすめのお菓子です。原材料の自然薯は滋養強壮や疲労回復などに効果があるとされ、甘さも控えめでとてもヘルシーになっています。日本の他地域のお菓子とは一風変わった味わいや食感なので、お土産としてもらった人にもとても喜ばれるでしょう。かるかんを購入する際には、いくつかの有名店があるので食べ比べてみるのもおすすめです。また、家庭でかるかんを作ることもできるので、料理好きの人はチャレンジしてみるとよいでしょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 米粉、砂糖、水、山芋を混ぜ合わせてふかして作る、お土産としても人気が高い鹿児島の定番和菓子は?

A.かるかん

Q. 鹿児島の定番菓子「かるかん」の材料ではないものは?

A.カスタードクリーム

Q. 鹿児島の方言で「ぼっけもん」は、どんな意味?

A.大胆