早朝にしか買うことができない、群馬県高崎駅の人気駅弁とは?

いわゆる駅弁というと、持ち運びに備えておかずやご飯がしっかりと詰められているイメージがありますが、群馬県には「おかゆ」の駅弁があるのです。おかゆがお弁当とは意外ですね。

午前7時頃から9時頃までしか販売されない

このお弁当は名前のとおり、おかゆそのものです。特製の発泡スチロール容器にドーンとおかゆが入っています。具材は3つで、プリッとした海老に、甘みの効いた栗、そしてシラスが少々です。おかゆ本体はシンプルな味つけで、お米自体の風味を味わえます。お好みで味を調整できるように、大根の味噌漬け、梅ペースト、塩が付いています。

製造元は「高崎弁当株式会社(通称、たかべん)」で、発売年は上越新幹線が開通した1981年です。新幹線で職場へ向かう通勤客に、少しでも体に優しいお弁当を提供したいという思いから「おかゆ」が選ばれました。たしかに、おかゆといえば調子の悪いときにも食べやすい食事の代表格ですね。

温かいうちに食べてもらいたいという思いから、早朝午前7時頃から9時頃までしか販売されていません。さらに100個限定の販売で、売り切れたらおしまいです。そしてやはり冷めてしまうからという理由から、群馬県高崎駅以外では販売されていません。このように入手が難しいことから「上州の朝がゆ」は「幻の駅弁」とも言われています。

ただでさえ「幻の駅弁」である「上州の朝がゆ」ですが、販売終了が決まっています。この商品自体は今でも人気があるものの、販売のきっかけだった「通勤客への優しい朝食」というコンセプトに対するニーズが減ってきたためです。販売当初よりも新幹線を通勤に使うお客さんは減り、また、電車の中で食事をする人も少なくなりました。2019年5月末頃までの販売予定ですが、売り場の混乱を避けるために大々的な告知はしない方針のようです。長年愛されてきた商品が消えるのは残念ですが、時代に合わせて変わっていくことで、新たなるロングセラーが生み出されるのかもしれません。

「たかべん」って、どんな会社?

「上州の朝がゆ」を生み出した「たかべん」は1884年(明治17年)創業という歴史の長い会社です。おにぎりの販売から始まりましたが、「鶏めし弁当」を皮切りに、地元群馬の特産や名産を盛り込んだお弁当作りを続けていて、群馬県からも「地産地消推進店」として認定されています。駅弁フェアなどでお馴染みの「だるま弁当」も「たかべん」の商品で、郷土色豊かなお弁当を数多く生み出しています。

「たかべん」のお弁当はどこで買えるの?

残念ながら「上州の朝がゆ」の販売は終了ですが、「たかべん」のお弁当は高崎駅構内に3店舗ある弁当販売所で購入できます。いくつかのお弁当は、東京駅・上野駅・大宮駅、そして上越自動車道の「横川サービスエリア(下り線)」でも取扱いがあります。

また、高崎市倉賀野町にある「たかべん」本社の隣には「たかべん食堂」があり、ドライブインで食べられるような食事や、お弁当も数種販売されています。

「たかべん食堂」が接している旧中仙道は「東国文化歴史街道」と呼ばれる観光街道なので、散策してみるのもよいかもしれません。食堂から1kmほど東へ向かうと浅間山古墳があります。4世紀末から5世紀初頭の築造とされる巨大な前方後円墳です。そこからさらに1.6km先には「高崎市倉賀野古商家おもてなし館」があります。古商家を復元した休憩所で、かつて東京や信越方面を結ぶ水運の川岸舟場として栄えた街の面影がうかがえます。

なお倉賀野町は、ロックバンド「BOØWY」のベーシスト松井常松さん、ボーカリスト氷室京介さんの出身地でもあり、BOØWYファンの聖地巡礼先にもなっています。

「上州の朝がゆ」は永遠に

優しさにあふれた「上州の朝がゆ」の販売終了は残念ですが、ラインナップ豊富な「たかべん」のお弁当は高崎駅で購入できます。今後もどんな発想で群馬のお弁当界を彩ってくれるのか興味は尽きません。時代に合わせて変わっていく駅弁に注目です。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 早朝にしか買うことができない、群馬県高崎駅の人気駅弁は?

A. 上州の朝がゆ