福岡県福岡市でよく食べられる「おきゅうと」とは、何を加工した食べ物?

福岡県・博多の名物「おきゅうと」をご存知でしょうか? 名前を聞いただけではどんな食べ物か全く想像つかないですが、福岡では各家庭の食卓によく並ぶソウルフードなのです。

独特の食感がおいしい「おきゅうと」

おきゅうととは海藻を使った加工品で、一見するとこんにゃくのように見えます。つるんとした喉ごしはところてんにも似ていますが、もっちりとした食感で口にすると磯の香りのふわりと広がります。福岡の朝ごはんのおかずに添えられることが多く、関東で言うなら納豆のような存在で朝ごはんの定番のおかずなのです。

昔ながらの一般的な食べ方だと、5~7ミリ程度の厚さに短冊切りにしたおきゅうとの上に、かつお節やおろしショウガ、すりごま、刻みねぎなどをのせ、しょうゆや酢じょうゆを回しかけて食べます。現在ではトッピングをさまざまに変えたバリエーション豊かな食べ方があります。

低カロリーでミネラル豊富

おきゅうとの成分は95%以上が水分で、残りはタンパク質、炭水化物、ミネラルとされています。カロリーは100グラムあたり約6キロカロリーとかなり低めなので、ダイエット食品として向いているかもしれません。また、おきゅうとは食物繊維を含んでいるため、便秘の改善に効果的な食品だと言われます。海藻からのビタミンや多種類のミネラルが含まれています。

おきゅうとの歴史

おきゅうとの歴史は古く江戸時代にまで遡ります。江戸時代の儒教者である貝原益軒が加筆し、書物にまとめた「筑前国属風土記」に、おきゅうとが「うけうと」という名で記されており、その頃にはすでに食べられていたようです。

おきゅうとは「お救人」「浮太」「沖独活」と書かれることがあります。もともとは福岡の博多地区で食べられていたようですが、やがて福岡全体に広がり、さらに九州各地に広がったようです。昭和の時代ではおきゅうとは福岡の朝食の定番のメニューでした。一昔前までは明け方になると、博多の街ではおきゅうとを売り歩く声が聞こえていました。現在ではおかずとしてだけでなく、お酒のつまみとしても親しまれ、居酒屋などでお通しとして出されることもあります。

「おきゅうと」という不思議な名前の由来は諸説あります。戦後、食べ物が少ない時代に食べられ始め、多くの人々の食を救ったということから「救人(きゅうと)」となった説、また原料の海藻がウドのように早く育つので「沖のウド」から「沖ウド」へ、そして「おきゅうと」となったという説、また作り方を沖の漁師が伝えたということから「沖人」から「おきひと」、そこから「おきゅうと」となった説などがあります。

おきゅうとの食べ方いろいろ

おきゅうとは様々な食べ方で楽しむことができます。おろしショウガに醤油でさっぱりといただくのが定番。お好みで刻みネギや大葉やミョウガなどを加えると彩りも良く、爽やかにいただけます。他にもちりめんじゃこやいりごま、大根おろしなどもよく合います。また、甘辛い酢味噌でいただくと刺身こんにゃくのような味わいになります。

おきゅうとを食べやすい大きさにカットし、レタス、水菜、かいわれ、コーンなどお好きな野菜とからめるとサラダに早変わり。おきゅうとのつるんとした食感と野菜の食感が良く合い、かけるドレッシングによって、イタリアン、中華風、和風と様々に変化します。野菜はどんなものでもOKですが、キュウリやトマト、オクラなどの夏野菜にさっぱりとした青じそドレッシングとの相性が抜群です。

何とおきゅうとデザートとして食べることができます。クセのない味なので、黒蜜にきな粉をかけると和菓子のようにいただけます。ダイエット時に罪悪感なく食べられるデザートとしても重宝しそうですね。

様々な食べ方で楽しめるおきゅうと、未体験の方も一度ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

ザ・ご当地検定の問題

Q. 福岡県福岡市でよく食べられる「おきゅうと」とは、何を加工した食べ物?

A. 海藻