鯨の肉を干して作った、千葉県南房総の郷土料理とは?

千葉県南房総の郷土料理をご紹介します。ほかの地域では食されておらず、独自の食文化として根付いている食品です。地元の人に愛されているこのグルメは、いったいどのようなものなのでしょうか。

南房総の市民にはなくてはならない味

鯨のたれは、鯨の肉をたれに漬け込んで干した千葉県南房総の郷土料理です。見た目は炭や海苔のように真っ黒で、木の皮のようでもあります。南房総の鮮魚店や物産品売り場で、真空パックされ薄くスライスされた形状で販売されています。たれは醤油ベースと塩ベースのものがありますが、どちらも色が黒いことには変わりありません。味は独特のクセがありますが、お酒の肴やおかずにぴったりです。鯨のたれに使用される鯨は大型のものではなく、体調12メートルほどのツチクジラという種類です。大型の鯨とは違い国際捕鯨委員会が管理の対象とするか議論が交わされている種類で、日本では独自の捕獲量を設定して捕鯨されています。

鯨は昭和の時代までは盛んに漁が行われており、庶民の食べ物でした。一般家庭でも頻繁に食卓に並べられていた食材で、冷蔵庫の無い時代の保存食として鯨のたれが作られたと言われています。鯨のたれという名前は、鯨をたれに漬け込んで干すことが由来といわれているほか、家の軒先に吊るしたからという説もあります。南房総の市民にはなくてはならない味で、他県に移り住み里帰りしてきた人は、みんな鯨のたれを買って帰るのがお決まりだとのことです。

鯨のたれの種類と食べ方

鯨のたれは、昔ながらのものはたれに漬け込んだ後すぐに天日で干してカラカラに乾燥させた固い食感ですが、食べやすいソフトタイプも販売されています。乾燥タイプは火で炙ってから食べるのが一般的ですが、ソフトタイプはそのまま食べられるので便利です。しかし、保存期間の長さでは乾燥タイプに軍配が上がります。

乾燥タイプの鯨のたれの炙り方は、まずガスコンロの上に網を置きその上に鯨のたれをのせて弱火で焼きます。色が黒いので焼き加減を目視で確認するのは難しいですが、焼きすぎは禁物です。油がたれの表面でじくじくと踊りだしたら、裏面もサッと焼いていただきましょう。炙った後は手で割いてそのまま食べるのも美味しいですが、マヨネーズとの相性も抜群です。また、お酒の肴だけでなく、お茶請けにも合うと評判です。

千葉県南房総の観光スポット

鯨のたれが名産の千葉県南房総は、海と山の両方を備え大自然を満喫できる観光スポットが豊富です。中でも、東京周辺で最も近い棚田として有名なのが大山千枚田です。狭い山間のスペースに375枚の棚田が広がっており、春は水を湛え、秋にはライトアップされて異なる景色が楽しめます。特にLEDキャンドルでライトアップされた棚田は幻想的で、現実とは思えないような美しさです。訪れる時間によっても印象が変わるので、繰り返し訪れたいスポットでしょう。

また、南房総の春を満喫したいなら、小湊鐵道があります。JR内房線の五井駅から大多喜町の上総中野駅までの間を運航しており、春は一面菜の花が咲き誇る美しい草原の中を走り抜けることができます。駅も電車も昭和初期にタイムスリップしたかのようなレトロな作りで、ノスタルジックな気分に浸れるでしょう。その他にも、動物との触れ合いが楽しめるマザー牧場やイルカやアシカのショーも楽しめる鴨川シーワールドなど、大人から子供まで楽しめるレジャースポットもあります。千葉県南房総は、鯨のたれとともに観光も楽しむことができるでしょう。

一度は味わってみたい鯨のたれ

黒い木の皮のようなインパクトのある鯨のたれは、話の種にも一度は味わってみたい食べ物ですね。鯨漁の規制も厳しくなっていますが、鯨は江戸時代から続く日本の食文化でもあるので、このままずっと食べ継がれていってほしい郷土料理です。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 鯨の肉を干して作った、千葉県南房総の郷土料理は?

A. 鯨のたれ

Q. 千葉県鴨川市にある、375枚もの棚田が広がる観光スポットは?

A.大山千枚田