青森県で縄文時代から食べられていたというサメとは?

一般的にサメは凶暴な「海のギャング」として知られています。しかしサメは日本各地で食べられ、青森県ではなんと縄文時代の遺跡からサメの骨が発見されました。今回は青森県のサメの食文化やレシピについてご紹介します。

青森県では縄文時代から食べられていたサメ

アブラツノザメは、北太平洋の温帯や、寒帯域の大陸棚付近に分布しているツノザメの仲間です。味は鶏肉のように淡白で、EPAやDHA、ビタミンB12・Eなどの栄養素を豊富に含んでいます。主な漁場は津軽海峡周辺で、青森県の他、北海道、宮城県で水揚げされています。特に青森県では古くからアブラツノザメが食べられていた歴史があり、青森県青森市にある縄文時代の大規模集落跡・三内丸山遺跡からは他の魚類や貝類に混じってアブラツノザメの骨が発掘されました。アブラツノザメは本来、水深200メートル下を回遊していますが、低温海域の北方では比較的浅い深度にも上がってくるため、青森では昔から獲られてきたのでしょう。当時の人々がどのようにアブラツノザメを食べていたのか詳しいことはわかっていませんが、青森や秋田ではお正月にアブラツノザメの飯ずしや刺身、お吸い物を食べる地域があり、伝統的な食材だということがうかがえます。

サメをよく食べる地方としては他にも、秋田県や山形県の山間部、「ワニ料理」で有名な広島県の備北地域がよく知られています。これらの地域でサメが食べられるようになった理由としては、冷蔵技術が未発達だった時代、新鮮な海産物がなかなか手に入らなかったため、と考えられています。腎機能が未発達なサメは、水揚げされると体内にアンモニアが生成されますが、反面、アンモニアが雑菌の繁殖を防いでくれるため、魚類の中でも特に腐りにくい魚です。海から遠く離れた山間部でも刺身やなます、煮つけとして食べることができるサメは、お正月のごちそうとしても重宝されました。しかし、青森県では海に近い沿岸部でもアブラツノザメが盛んに食べられており、特に津軽地方ではアブラツノザメを使った「サメのすくめ」が津軽料理遺産として認定されています。

青森県の伝統的なアブラツノザメのレシピをご紹介

前述したように、サメは死ぬと体内にアンモニアが生成されるため、臭みが強い魚と思われがちですが、漁獲後すばやく処理したものはほとんど臭いがなく、青森県ではスーパーやデパートの鮮魚コーナーで普通に販売されています。伝統的なサメ料理として、まずあげられるのは、「サメのすくめ」です。「すくめ」とは酢で包む、という意味で、作り方はアブラツノザメの頭をゆでて身をほぐし、大根おろしといっしょに酢味噌であえるだけです。大根おろしの代わりにキャベツを使うこともあります。さっぱりとした大根おろしとサメの淡白な味が酢味噌によく合い、津軽地方ではお正月料理としても食べられています。

また、青森でも深浦から鰺ヶ沢にかけての西海岸では、アブラツノザメの煮こごりがよく食べられています。作り方は、アブラツノザメの頭を醤油、みりん、酒、砂糖、ショウガで煮つけにし、熱いうちに身をほぐして煮汁といっしょに平たいバットに広げて冷蔵庫で冷やします。アブラツノザメはゼラチン質が多いので、プルプルとした食感の煮こごりができます。刺身こんにゃくのように切ってご飯の上に乗せるか、酢味噌で食べます。同じサメでもモウカザメ(ネズミザメ)では煮こごりができません。

青森の特産品アブラツノザメをお取り寄せしてみよう

アブラツノザメは産地でなければめったに店舗では販売されていませんが、お取り寄せという方法があります。青森のサメの専門店「有限会社田向商店」では、冷凍したアブラツノザメのフィレ肉の他、アブラツノザメのかば焼き、フカヒレの姿煮、煮つけなどの加工品をお取り寄せすることができます。食品以外にも、コンドロイチンやコラーゲンが豊富なアブラツノザメの軟骨を使用したサプリメントもあります。

青森県の伝統的な食文化のひとつとしてのアブラツノザメ

アブラツノザメは、青森県の伝統的な食文化を作り上げてきた食材のひとつです。冷蔵技術が発達し、山間部でも鮮魚が食べられるようになりましたが、食文化を守ることは大切なことです。サメ料理以外にも、地域の食文化をもう一度見直してみませんか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 青森県では縄文時代から食べられていたというサメは?

A.アブラツノザメ