大阪府が全国の消費量の6割を占める、「鉄砲」の別名がある魚とは?

大阪府が全国の消費量の6割を占める冬の味覚をご紹介します。別名「鉄砲」と呼ばれる魚で、その深い旨味や切り身の美しさで古来から多くの人を魅了し続けてきました。今回はその魚と大阪の関わりについてご紹介します。

「天下の台所」大阪で庶民の味として親しまれてきた

大阪といえば「づぼらや」の名物看板、巨大なフグの提灯を思い浮かべる人も多いかもしれません。この看板に象徴されるように大阪府のフグの消費量は全国第1位、フグの消費量6割を大阪が占めているといわれるほどの人気です。フグといえば山口県下関市が有名ですが、これは天然、養殖フグともに一度下関市の南風泊市場に出荷され、それから全国に出回るからです。なぜ大阪ではフグがこれほど人気なのでしょうか?その答えの一つとして、江戸時代から大阪は「天下の台所」といわれるほど物流と商業の中心地だからということがあげられます。

日本におけるフグ食の歴史は古く、約2万年前の旧石器時代の遺跡からもフグの骨が発見されています。かつては「魚(な)の庭」が転じて「魚庭(なにわ、浪速)」と呼ばれるほど豊富な漁獲量を誇っていた大阪でも当然、フグは古くから食べてられてきました。しかし、フグの調理法があまり知られていなかった時代、フグ毒に当たって死亡する人も多く、豊臣秀吉の「河豚食禁止令」をはじめ、江戸時代に入ってからも各地でフグ食が禁じられました。ですが、当時すでにフグの一大消費地であった大阪では庶民、特に商人の力が強かったことからフグはひそかに食べ継がれ、庶民の味として根付いていきました。当たると死ぬ、という洒落でフグを別名「鉄砲」と呼ぶようになったのもこの頃からです。

大阪で公にフグが食べられるようになったのは昭和23年に「ふぐ販売営業取締条例」が制定されてからです。もののない時代でしたが、もともとは定食屋だった「づぼらや」がフグの身とアラに豆腐と青ネギを入れた「ふぐ汁」を店に出すようになると、その上品な味わいはたちまち人気になりました。大阪はフグの集散地である下関から地理的に近かったこと、また戦後も大阪は関西の商業の中心地として人が多く集まったことから、フグを扱う店が次第に増え、フグは再び庶民の食卓にのぼるようになりました。平成になると大阪のフグ料理を目当てに来る観光客が増加し、大阪のフグ料理は全国、そして海外でも有名になりました。

大阪でフグを味わうならココ!おいしいフグ料理の店をご紹介

大阪で有名なフグ料理店といえば、「づぼらや」は外せません。とにかく高級食材というイメージが強いフグですが、「づぼらや」では「てっちり」(フグのちり鍋)や「てっさ」(フグ刺)もリーズナブルな価格で食べられます。特に「てっちり」の漬けダレであるポン酢は、手搾りしたスダチの果汁を熟成させた「つぼらや」オリジナルのもので、これを目当てに来る常連も多いそうです。伝統的なフグ料理の他、「ふぐと白子のグラタン」や前述したふぐ汁にうどんを入れた「ふぐうどん」など、他店では食べられないユニークなメニューがあるのも「づぼらや」の特徴です。「づぼらや」は令和元年6月の時点では新世界本店と道頓堀店の2店舗で営業を行っています。

気軽にフグを楽しめる「づぼらや」に対し、昭和4年創業の「多古安」は東シナ海産の天然のトラフグにこだわった高級路線を歩んできました。下町の一軒家を利用した趣のある店内は、完全個室・座敷席という造り。コースは2万円からで、定番の「てっちり」や「てっさ」のほか、湯引きしたフグの皮を細かく切った「てっぴ」や「フグの煮凝り」など珍しい料理も味わえます。特に白子料理は絶品と高く評価されており、4~6キロ級のトラフグの白子を使った刺身や炭火焼、天ぷらは濃厚かつクリーミイで多くの人を魅了して止みません。こうしたフグに対する妥協のない姿勢が支持され、「多古安」は「ミシュランガイド京都・大阪+鳥取2019」で二つ星を獲得しました。

フグのおいしさは世界へ大阪から広がるフグ料理

外国人観光客が増加したことで、大阪のフグ料理は世界的に有名になりました。フグ不足などの懸念もありますが、これは喜ばしいことです。こうした需要に応えるためにも、今後は養殖や料理の技術の向上など、業界をあげての取り組みが期待されます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 大阪府が全国の消費量の6割を占める、「鉄砲」の別名がある魚は?

A.フグ

Q. フグを模した巨大看板が特徴の、大阪で有名なフグ料理店の名前は?

A.づぼらや