お祝い時のごちそうメニューと言えば「すき焼き」が全国各地で定番ですが、そのすき焼きに入れるお肉は、だいたい「牛肉」と決まっていますよね。ところが、奈良では違うお肉を入れるのです。何のお肉でしょうか? 簡単においしくできる作り方もあわせてご紹介します。
天神さまのご冥福を祈って
奈良では月の中旬に天神さま(菅原道真公)のご冥福を祈るために、天満宮に氏子総代が参列して、神主による祭儀が秋祭りとして行われます。牛は天神さまと深い関係があるため、牛肉の代用として、鶏をつぶして「かしわ(鶏肉)のすき焼き」を作って、親族などに振る舞っていました。奈良では「かしわのすき焼き」がお祝いの時に出されるごちそうだったのです。
かしわのすき焼きの作り方
かしわのすき焼きは、焼いたお肉に砂糖としょうゆで味付ける関西風に作るのが基本です。
材料は鶏肉(地鶏がおすすめ)、焼き豆腐、白ネギ、春菊、しめじ、椎茸、マイタケ、糸こんにゃくを用意しましょう。まず最初に、熱く熱したすき焼き鍋に鶏の脂を引きます。これはおいしく仕上がるコツになるので、忘れず引きましょう。そこに鶏肉を入れ、多めの砂糖を鶏肉全体にふりかけ、砂糖が熱で溶けるまでよくからめます。砂糖が溶けたら、濃口しょうゆを鶏肉全体に回しかけるように注ぎます。しょうゆはすぐに煮立つので、焦げない程度に鶏ガラスープ、もしくは日本酒を少々加えます。味は好みによりますが甘辛めの方があいます。最後に野菜類を入れていきます。そして、煮えたものから順番に溶き卵につけていただきます。後から鶏肉や野菜を追加する時は、味が薄くならないように上から砂糖、しょうゆを交互にかけて味を調えましょう。
菅原天満宮(すがわらてんまんぐう)をお参りしよう
天満宮は全国で約12,000社もあるとされており、奈良の菅原天満宮は、天穂日命(あまのほひのみこと)、野見宿祢命(のみのすくねのみこと)、菅原道真の菅原家三神を祀る、日本最古の天満宮と言われています。
蓮の花などで有名な喜光寺の近くにあり、西大寺の南方にあたる「菅原エリア」に位置しています。この神社のある「菅原」地区は、奈良に都が置かれた平城京ができる以前から存在する由緒ある地名です。「日本最古のダム」という表現でも紹介される蛙股池(かえるまたいけ)は、日本書紀に登場する『菅原の池』ではないかと言われるほど重要な地域であったと考えられています。
菅原天満宮の創建時期ははっきりとはしておらず、神社の由来としては菅原氏の祖先である『土師氏』が菅原エリアを本拠地にしていた為、その祖神を祀ったことが創建の由来と考えられています。
『盆梅展』で珍しい梅が見られる
中国から奈良の都にもたらされた梅の花。道真は梅の花を愛したことで知られています。菅原天満宮では毎年、梅の花が咲く2月から3月頃に『盆梅展』が開催されます。丹精込めて育てられた約130種・約200鉢の盆梅がずらりと展示され、芳醇な梅の香りが辺りに漂います。菅原天満宮ならではの品種は『菅原八宝梅』というもの。この梅は一本の幹から本紅梅、裏紅梅、淡紅梅、白梅一重(小輪、青軸青性)、などなんと8種類もの花が咲き乱れるのです。
春分の日に開催されるのが「奈良筆まつり」です。筆塚にて書の上達と使い古された古い筆に感謝の祝詞を奏上し、護摩壇にて使い古した筆を浄火で焚き上げる神事です。参拝者は古筆を新しい筆と交換してもらうことができ、筆・墨の製造実演や体験も行われます。道真が太宰府に流された際に牛に乗って行ったという故事にちなんで、境内には七体の牛の像が祀られています。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 奈良県でお祝いやお祭りのときによく出されたごちそう「かしわのすき焼き」。牛肉の代わりに何の肉を使っている?
A. 鶏肉