奈良県などで「お粥」を意味する方言「おかいさん」といえば、どんなお粥を意味する?

お粥のことを差す『おかいさん』という言葉は聞きなれない方が多いと思いますが、これは昔から奈良の人々に食べ継がれてきた伝統ある料理。お粥と言えば病気の時などに食べるイメージですが、奈良では朝食として食べられてきました。一体、どんなお粥でしょうか?

『おかいさん』って?

昔から奈良では『おかいさん』と呼ばれる茶粥がよく食べられてきました。茶粥は名前の通りお茶で炊いたお粥のことをいいます。多くはほうじ茶を使って炊きますが、番茶や緑茶なども使われます。作り方は白いお粥を作るのと同じで、そこに茶袋に入れたほうじ茶を入れ、うすく塩で味をつけます。ゆっくりと煮立て、炊き上がった時には顔が映るくらい水分の多いのが特徴です。サラサラとした茶粥はお茶づけのように味わうことができます。またトッピングにお新香や梅干、おかき等入れて食べてもおいしく、ほうじ茶の匂いが何とも言えず素朴な味わいです。夏には冷たくしていただきます。

1200年も前から食べられてきた茶粥

二月堂修二会とも言われる「お水取り」は毎年東大寺二月堂で行われ、観光客も多く訪れる伝統行事ですが、お水取りの時、伝統法会で行にこもる練行衆の毎日の食事の献立に『ごぼう(ごぼ)』というものがあります。行の後で宿所で食べられる食事の『ごぼう』は番茶を使った茶粥で、お水取りの伝統食です。『院士日誌』で修二会中の食事の献立を記したものの中には、『ゲチャ』や『ゴボ』といった記録が残されており『ゲチャ』とは茶粥を煮て汁を取ったもの、『ゴボ』は茶粥の汁の多いものをさします。違った名前が付けられていますが、お水取り(修二会)は752年から現在に至るまで途絶えることなく続いてきた行事なので、奈良では1200年も前から茶粥が食べられていたと考えられています。

茶粥を味わおう

朝食として食べられてきた茶粥も、最近は作る家庭も少なくなってきているようですが、奈良ではおいしい茶粥を出すお店もたくさんあります。いくつかご紹介しましょう。

まずは、江戸時代の末期から明治時代にかけての町家の面影を残す人気の観光エリア、ならまちにある町家カフェの『環奈(かんな)』。ここで食べられるのは、奈良県産の大和茶のほうじ茶で炊いた「大和の茶がゆ」です。特徴的なのは、茶粥に自分であぶったかきもちを入れる食べ方。しょうゆを塗ってあぶったかきもちと一緒に茶粥を食べると、香ばしくほうじ茶の味も引き立ちます。奈良漬けなどの漬物と一緒にいただいてもおいしく、サラサラと食べられます。

そして、こちらのお店はスイーツのメニューも充実しています。おすすめなのは『環奈の小箱』。抹茶のガトーショコラ、抹茶ゼリー、二種類のアイスクリーム、みたらし団子、吉野葛の葛餅…と、様々な種類のスイーツが三段のお重に入っていて、色んなものをちょっとずつ食べたい女子にはぴったり! お抹茶もついています。

優雅に茶粥を味わいたい方は、奈良ホテルにどうぞ。奈良ホテルは奈良公園の荒池の湖畔に佇む、関西の迎賓館とも呼ばれる格式高いホテルです。そのメインダイニングルーム『三笠』で、朝食としていただけるのは『茶がゆ定食』。由緒あるホテルの朝食ということもあり、ひとつひとつの器にもこだわりが感じられる贅沢な仕上がりになっています。こちらの茶粥は品良く香り高い緑茶で炊かれたもの。緑茶の爽やかな香りが漂い食欲がそそられます。茶粥の他には野菜の炊き合わせや焼魚、小鉢や味噌汁、香の物が付きます。高級感あふれるダイニングルームの窓からは、国宝の興福寺・五重塔を望むことができ、歴史と伝統を感じながら茶粥を味わうことができます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 奈良県などで「お粥」を意味する方言「おかいさん」といえば、どんなお粥を意味する?

A. お茶のお粥