日本各地において、その土地の気候風土、土質などを活かして、様々な農作物が育てられています。時には特産品ともなるそれらの農作物ですが、長野県では「セイヨウカリン」とも呼ばれる果物が有名です。いったいどんな果物なのでしょうか。
マルメロとは
マルメロとは、バラ科マルメロ属に属している1種で落葉高木です。秋にかけて旬となる果実が実り、セイヨウカリンと呼ばれることもあります。セイヨウカリンと呼ばれることからも、果実や葉などがカリンに非常に似ていますが、カリンはカリン属に属しているため、明確には異なります。マルメロもカリンも卵型の深い緑色をした肉厚の葉をもつほか、初夏にかけて白や濃いピンク色の小柄な花を咲かせる高木です。よく見ると違いが判り、カリンの葉がふちに細かなギザギザがあるのに対して、マルメロの葉はなめらか、カリンの花が紅色なのに対して、マルメロは白や淡い色が特徴となります。
また、果実もカリンの場合はつるっとした表面に楕円形をしていることに対して、マルメロの果実は表面に産毛が生えているうえに洋ナシに似てごつごつしていることが特徴です。
マルメロはもともとイランやトルキスタンといった中央アジアが原産であり、各地へと伝わり、日本には1600年代の江戸時代に伝わったとされています。ボルトガルから長崎県へと伝来し、諏訪地方をはじめとして、信州地方各地・長野県には広く分布するようになりました。主な収穫時期は10月の下旬から11月ごろとされています。果実が黄金色に輝くように見えることから、縁起の良い植物とも言われています。
マルメロの果実は、黄色いレモン色で強く甘い芳香が特徴的です。生のままで甘い香りは強いですが、酸味が強く、渋く、固いためそのまま食べることはできません。主に加工して食べることが中心となります。カリンよりは柔らかいため、より広く使われることも多いです。
マルメロにはカリウムと食物繊維が豊富に含まれています。カリウムは高血圧の予防に効果が、食物繊維は整腸作用があるとされており、風邪や高血圧、動脈硬化に心筋梗塞の予防効果を期待されている果実です。
マルメロと長野県のつながり
マルメロと長野県には深いつながりがあります。マルメロが日本に伝来してきた江戸時代より、全国的に広がりましたが、長野県や青森県、秋田県などといった涼しい地域で良く育ちます。特に長野県は果実の栽培に優れており、マルメロの生産も生産量1位を誇っているほどです。基本的に生食には適さないので、加工品としても広く活用されており、様々な製品が作られています。厚さを5から10ミリメートル程度で輪切りにしていき、はちみつ漬けをつくったり、砂糖漬けを作ったり、果実酒を作ったりしています。咳や痰、のどの炎症に効くため、のど飴と類似して使われることも多いです。
加熱すると柔らかくなり、渋みや酸味も抑えられるのでジャムやゼリーとされることもあります。これらは一般家庭で作られることも多いですが、特産品として販売されていることも多いです。道の駅やスーパーなど様々な場所で販売されているほか、通信販売などでも取り扱われています。
また、長野県ではマルメロが広く分布しており、各地にマルメロの木を見ることができます。マルメロの木の並木道も県内にいくつかあり、観光の目玉となっている場所もいくつかあります。
信州の諏訪湖岸通りをはじめとして長和町国道152号線の通称マルメロ街道、安曇野の安曇野スイス村前のマルメロ並木などが有名です。
かわいらしくおいしいマルメロ
カリンに似てかわいらしく甘い香りが特徴のマルメロは、様々な加工品が生産されています。また、マルメロのかわいらしい花を見ることができる並木も長野県には複数あるので、観光の折によってみたり、マルメロのデザートを楽しんでみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 長野県が生産量1位の、「セイヨウカリン」とも呼ばれる果物は?
A.マルメロ
Q. 長野県が生産量1位の「マルメロ」は、何科の果物?
A.バラ科