三重県で農耕神事にお供えされてきた「ふきだわら」。ふきの葉でくるまれているのは?

お米の豊作を願い、各地では昔から様々な農耕神事が行われています。三重県西部に位置する伊賀地方では、ふきだわらを作ってお供えする風習があります。ふきと大豆、お米があれば簡単に作れるので、ぜひ紹介するレシピを参考に作ってみてください。

ふきだわらの作り方

ふきだわらは、豆ごはんをおにぎりにして、生のふきの葉で包んだものです。ふきは茎付きのまま綺麗に洗い、乾燥させておきましょう。乾燥大豆を使う場合は、綺麗に洗ってから大豆の8倍ほどの水に8時間程度浸して戻しておきます。もし硬めの豆が好みなら、水に浸けずに洗ってからすぐ使っても構いません。米2合に対して、大豆は60gくらいがいいでしょう。洗った米と大豆、塩小さじ1を炊飯器に入れて、通常のコースで炊きます。炊き上がったらおにぎりを作り、熱いうちにふきの葉で包みます。口を縛るのに、ふきの茎の筋を使うと良いです。最後に米俵のような形に整えて完成です。食べるのはおにぎりのみで、ふきは食べません。

香ばしさが出るので、大豆を炒ってから炊くのもおすすめです。洗った大豆をフライパンで中火から弱火で乾煎りするか、紙袋に入れて電子レンジで数分加熱するかして、炒り大豆を作ります。炒り具合は、手で容易に皮が剥けるくらいになるまでです。炒った後は、たっぷりの水を張ったボウルに入れて皮を剥きます。そのまま30分くらい水に浸けてから使ってください。

豆ごはんには、「大豆並みの大きなお米が沢山収穫できますように」との願いが込められています。山にいる田の神に祈る農耕神事で、作るのは田植えの日です。稲の苗を育てる田んぼである苗代の水戸口に、お盆へ載せたふきだわらをお供えします。そして、「け(き)んづい」と言われる10時頃に食べ、田植えが終わった後は、苗にふきだわらを載せて田植えが無事に終わったことを田の神に伝えます。豆ごはんは、田植えの日以外でも農作業の休憩中のおやつとして食べられてきたと言われています。ふきの茎を持ち手にすればお弁当箱不要で洗い物が出ないという点に、生活の知恵も感じられますね。ふきには殺菌効果があると言われるため、おにぎりが傷む心配も少ないです。

三重特産のお米と大豆

三重県を代表するお米の銘柄はコシヒカリですが、伊賀米や結びの神、みえのみえなど、この土地ならではの品種も栽培されています。伊賀米は昼夜の寒暖差が激しい中山間地域の伊賀地方を中心に作られているお米で、品質と食味が良質だと評判です。そして三重県で開発した三重23号の中でも選りすぐりのお米が、結びの神というブランドとして販売されます。粒が大きく、もっちりとした食感が好評です。さらに、みえのみえも三重県の開発品種です。ひとめぼれと山形41号をかけ合わせ、それぞれの持ち味を引き出しました。甘みも粘りも光沢も良く、バランスに優れています。

三重県では近年大豆の作付け面積が増加傾向にあり、生産量は全国で15位前後です。栽培される品種は、フクユタカが主流です。フクユタカはタンパク質が豊富で、豆腐や油揚げなどの大豆加工品に使われています。「畑の肉」と称されるほどタンパク質が沢山含まれていますが、脂質が少ないので、カロリーを気にせずに食べられるのが利点です。また、アミノ酸スコアというタンパク質中の必須アミノ酸の含有比率を評価する数値が、肉同様に最高値の100となっています。

その上、大豆のタンパク質は消化吸収率も良いため、効率良くタンパク質が摂取できます。大豆にはこの他、女性ホルモン様作用が期待できる大豆イソフラボンや、善玉菌のエサになるオリゴ糖、細胞の構成を助ける大豆レシチンなど、嬉しい成分が豊富です。春にふきが葉を広げ始めたら、三重県のお米と大豆を使ってふきだわらを作ってみてはいかがでしょうか。

ふきだわらを持ってピクニックへGO!

ふきだわらは田植えの日に豊作を願い、田の神にお供えするものです。大豆にはお米が大きく実りますようにという意味が込められています。豆ごはんをふきの葉で包むことで傷みにくくなるので、ピクニックのお弁当にもおすすめです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 三重県では昔から田植えの農耕神事にお供えされてきた「蕗俵(ふきだわら)」。フキの葉でくるまれるご飯は?

A. 豆ご飯