日本各地、いえ海外からも温泉客がやってくる日本有数の温泉地である有馬温泉。その温泉水を利用したおいしいお菓子があります。お土産にも大変な人気があるこのお菓子をご紹介しましょう。
シュワシュワするおせんべい?
『炭酸せんべい』は有馬温泉の温泉水を使用して作られます。「炭酸」と言うからには、食べると炭酸水のようにシュワシュワっとするのかと思われますが、そうではなく、かじるとパリッとして、さくさくとした歯ごたえ。一般のおせんべいのように固くもありません。
『炭酸せんべい』は炭酸水で小麦粉や砂糖、でんぷんなどを練って作られます。炭酸水を使うことによって、このパリッとした食感と素朴な味わいのおいしいお菓子になるのです。
賞味期限5秒!?『なま炭酸せんべい』
『湯の花堂本舗太閤通り店』のお店の前では、職人さんが一枚一枚、ていねいに炭酸せんべいを作っており、焼き立ての炭酸せんべいが味わえます。焼き立てはせんべいの型から剥がしてすぐ食べると、柔らかくぐんにゃりしています。そしてみるみる乾いていき、パリパリと変化していく食感が楽しめるのです。焼きたてのたった5秒の間だけという、柔らかい『なま』の状態の炭酸せんべいが食べられるのは現地だけ。ぜひ訪れて食べてみたいですね。
炭酸水のルーツ
炭酸せんべいに使われる炭酸水は、「銀泉」の炭酸を含んだ炭酸泉です。この泉源から湧き出る炭酸ガスを吸った鳥や虫が死んでいるので、昔の人々はこの銀泉の温泉水を「毒水」として恐れていました。しかし、明治8年に内務省が調査を行い、浴用はもちろん飲用もできる良質な天然水と証明されました。
明治34年にはこの炭酸水に砂糖を入れてサイダーが作られ、飲まれていました。今でも炭酸泉源の横に飲用の蛇口があって、いつでも飲めるようになっており、天然の炭酸水を味わうことができます。
日本を代表する温泉の一つ、有馬温泉
有馬温泉は日本三古泉(有馬・白浜・道後)と日本三名泉(有馬・草津・下呂)の2つに名を連ねる名高い名湯です。神代の昔、大已貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)の二神が有馬を訪れた時、三羽のカラスに導かれ、発見したのが始まりと言われています。日本書紀には時の天皇が温湯宮に立ち寄って、入浴を楽しんだという記述があり、戦国時代には豊臣秀吉が歴戦の疲れを癒しました。江戸時代になるとさらに繁栄し、1000軒もの宿が建ち並び関西屈指の湯治場として賑わい、温泉番付では西のトップにも輝きました。
世界的にも珍しい温泉
有馬温泉のお湯は、環境省が療養泉として指定をしている9つの成分のうち7つの主成分(単純性温泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、硫黄泉、放射能泉)が含まれているという世界的にも珍しい温泉です。
有馬温泉は『金泉』と『銀泉』があり、鉄分を含む含鉄強塩泉は、元々は無色透明ですが、空気に触れることによって酸化し、独特の赤茶色に変化します。これが『金泉』と呼ばれ、一方で空気に触れても、変化することがない二酸化炭素泉などを『金泉』に対比して『銀泉』と呼ばれています。
『金泉』は海水よりはるかに塩分濃度が高く、舐めてみるとかなり塩辛く感じる泉質です。その塩分がお肌に薄い皮膜を形成して、体を芯からほかほかと温めます。さらに殺菌力が強いので、皮膚の疾患に効果があります。そのまま温泉から上がると、皮膚がヒリヒリすることになってしまうので、忘れずに上がり湯を浴びましょう。
『銀泉』は、無味無臭で無色透明なお湯で、微量のラドンを含んだ放射能泉と二酸化炭素泉とに分かれます。とろりとした金泉に対し、銀泉はさらさらとしています。発泡性の二酸化炭素泉は酸味があり、シュワシュワとした爽やかな喉ごしが楽しめる炭酸水で、食欲増進の効果があります。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 有馬温泉や宝塚温泉の名物となっている、これらの温泉水を利用することから泉質の名を冠したお菓子は?
A. 炭酸せんべい