トマトの生産量が意外と多い!北海道

熊本や宮崎など、夏の暑さが厳しい地方で生産量が多いイメージがあるトマト。しかし、冷涼な北海道でも他の都道府県に負けない生産量があります。北海道のトマトの生産量が多い理由と栽培の歴史、おいしいお店をご紹介します。

北海道のトマトの生産量が多い理由

代表的な夏野菜の一つとされるトマトですが、原産地は南アメリカのアンデス山脈高原地帯(ペルー、エクアドル)です。当地の気候は冷涼な乾燥地帯で、日照時間が長いことが特徴です。一般的に、「野菜を育てるときは、原産地の気候風土を知るとよい」といわれており、トマトもこのような気候条件を好みます。北海道は、地域にもよりますが、春から夏にかけての日照時間が長く、朝晩の寒暖差が激しく、湿度が低いという点で原産地の気候とよく似ています。湿度が低いので病気になりにくく、冬が長くて厳しいので害虫の被害が比較的少ないこともトマト栽培には大きなメリットです。

トマトを乾燥した状態で育てると、トマトの茎や花の表面に「トライコーム」という細かい産毛のようなものがびっしりと生え、空気中の水分を吸収します。結果、トマトの果汁が濃縮され、糖度の高い、おいしいトマトができるのです。また、「トライコーム」は細かくてちくちくしているので、アブラムシ程度の害虫を寄せ付けないという効果もあります。つまり、北海道はトマトの栽培に最適な気候であり、道内各地でトマトが栽培されています。

北海道のトマトの一大産地・平取のトマト栽培の歴史と取り組み

北海道のトマトの生産量の順位は全国第2位、なかでも日高地方の平取町の生産量は道内1位という、国内でも有数のトマト産地です。しかし、平取町でトマト栽培が始まったのは昭和47年と、それほど古い歴史を持っているわけではありません。きっかけは昭和40年代に始まった減反政策で、それまで稲作中心だった農家は別の作物への転作を迫られました。平取町は雪が少なく、気候も北海道の中では比較的温暖なので、ビニールハウスによる野菜栽培、特にトマトに着目し、最初は6戸の生産者が試験的に栽培を開始しました。その後、国や道の補助事業の活用により、栽培農家が徐々に増え、昭和54年には46戸にまで増加しました。

しかし北海道の他の地域と同じように、平取町でも人口が昭和35年をピークにその後は減少傾向が続き、それとともに農業就業者数も減少しました。トマトは収穫後、大きさや色、糖度などを選別し、箱詰めして出荷しますが、個人農家が選別から箱詰めまで行うのは労働力に限界が生じ、トマトの作付面積の拡大も頭打ちになりました。そこで平取町は昭和57年に野菜集出荷施設を建設し、農家の選別作業の負担を軽減しました。生産作業に集中できるようになった分、平成に入ってから生産量は飛躍的に伸び続け、平成23年には販売金額がついに40億円に達しました(JAびらとり調べ)。また、選別の段階でどうしても出てしまう規格外品については、トマトジュースをはじめ、トマトピューレ、ケチャップやドレッシングなどに加工する工場をたちあげることで新たな需要と、地域の雇用を創出しました。平成24年には北海道の地域団体商標として「びらとりトマト」が登録され、地域ブランドとしての地位を確立しました。

北海道産のトマトを思いっきり味わう!すてきなレストランをご紹介

北海道産のトマトを味わうなら、平取町を訪れるのが一番でしょう。平取町のレストランの数店舗では、新ご当地グルメとして地場産品をふんだんに使用した「ニシパの恋人ランチ」を提供しています。価格はすべて税込980円で、統一メニューではありませんが、メニューにはすべてびらとりトマトを使用する決まりになっています。「びらとり和牛専門店くろべこ」、「びらとり温泉ゆから」をはじめ、各店舗で平取町の特産品・びらとり和牛や黒豚を使用した料理にトマトソースをあわせたり、トマトのアイスクリームや生搾りトマトジュースをつけたりなど、創意工夫をこらしたメニューを用意しています。夏・冬でメニューが異なり、また開催期間も限られているので、訪れる際は平取町観光協会のHPなどを確認することをおすすめします。

北海道のトマトのさらなるおいしさを追求して生産者の努力は続く

生産者の努力の甲斐あって、北海道は全国屈指のトマト産地になりました。しかし生産者は現状に満足することなく、トマトの品種や栽培方法、土壌などを日々研究し、改良しています。さらにおいしい北海道産トマトが食卓にならぶ日も近いかもしれません。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 次のうち、北海道が生産量1位ではない野菜は?(平成24年)

A.トマト