昆布やするめ、数の子が入ったお正月などに食べる「松前漬け」は北海道の漬物。では酒粕に軟骨の入った「松浦漬け」は、一体どこの都道府県の漬物でしょうか?
佐賀・呼子の「松浦漬け」は・・・鯨の上あご?!
漁業が盛んな佐賀県唐津市呼子。新鮮な海産物、中でもイカの活造りや、日本三大朝市と称される「呼子の朝市」が有名で観光客も多く訪れる港町です。そんな呼子の郷土料理「松浦漬け」をご存じでしょうか?
「松浦漬け」は、鯨の上あごの軟骨(かぶら骨)を酒粕に漬けたもので、地元の企業、松浦漬本舗の一社で製造・販売をしています。地元のローカルCMで長く放送されているレトロな缶が有名ですが、パック売りもあります。日本珍味五種の一つとされており、農林・厚生・労働大臣各賞を受賞しています。
「松浦漬け」を開けると真っ白な酒粕に軟骨が漬かっているのですが、初めて見た方はこの酒粕を洗い流すことがあるようです。しかし、そのまま酒粕ごと頂くのが正解です。芳醇な香りと口の中に広がる甘み、コリコリとした食感は一度食べたら病みつきになること間違いなし。
ご飯のお供にも、お茶漬けにも、少し醤油を加えたり、葉物野菜と一緒にあえたりしても美味しく頂け、そしてお酒のつまみとしても人気です。
捕鯨が盛んだった呼子のふるさとの味!
江戸時代から明治初期にかけて、国内有数の捕鯨基地として栄えた呼子。さらに古くは松浦党などの水軍の拠点や、朝鮮出兵の際にも拠点となった海にまつわる歴史のある土地です。
当時から、かつては日本の重要な産業だったと言われている捕鯨がこの辺りでは盛んでした。特に呼子のように海沿いの村や浦では「鯨一頭で七浦光る」と言われ、鯨はまさにこの土地の宝だったようです。
そんな鯨を、余す所なく利用していた昔の人も、どうしても「かぶら骨(上あごの骨)」だけは上手に使えず捨てていたそうです。しかし、どうにか利用できないかと試行錯誤を重ねて出来上がったのが、酒粕に漬ける「松浦漬け」。まさに「鯨は捨てるところがない」を表した、もったいない精神の賜物が呼子のふるさとの味になりました。
江戸時代から始まった捕鯨も現在では禁猟とされ、調査捕鯨のみになったことから価格が高騰したそうですが、昔から食べていた地元の人には忘れられない味で、しかも、全国のどこを探してもこの呼子でしか食べられないというレアなご当地グルメなのです。
一子相伝の秘伝の味!
呼子の珍味「松浦漬け」は有限会社松浦漬本舗の一社で作られており、一子相伝でレシピは門外不出とのこと。この不思議な食感や甘みの強い酒粕特有の風味は秘伝の味として、代々口伝えのみで受け継がれているそうです。
松浦漬本舗は明治25年に創業されており「松浦漬け」の他にも、海鮮しゅうまいや西京焼きなど海産物加工食品の製造・販売をされています。「松浦漬け」に使われる酒粕は、広島県の酒造メーカーから仕入れたこだわりの酒粕を使用されているそうです。
CMでお馴染みのレトロな缶やパックでの販売が主ですが、有田陶器の河童型の壺に入ったお土産もあり、とてもキュートな一品となっています。
見所いっぱい!呼子観光
漁業の町、呼子には観光名所が多数あります。新鮮な海産物を召し上がったら、お土産に「松浦漬け」を、そして各名所を見回ってみてはいかがでしょうか。
- 呼子大橋
呼子本土と加部島をつなぐ全長728mの斜張橋。青い海に映える優美な二つのハープのシルエットは、夕日を背景にすると尚美しく、呼子の新しい絶景ポイントとなっています。 - 呼子の朝一
日本三大朝市と言われる「呼子の朝一」は、大正初期に始まり現在でも続いています。朝7時半から11時位まで松浦町商店街で行われ、地元の魚介や旬の野菜などが通りに並びます。 - 七ツ釜
玄界灘の荒波を長い年月にわたって受けた海蝕洞窟で、玄武岩の断崖絶壁にまるで7つのかまどを並べたような姿は雄大で圧巻です。間口は約3mで、奥行きは110mほどあるそう。 - 旧中尾家屋敷
江戸時代から明治にかけて捕鯨業で富を築いた鯨組主中尾家。その繁栄は当時の唐津藩の財政にも大きな影響力を持ったとされています。平成14年に呼子の重要文化財に指定され、現在では捕鯨の歴史を学べる場所となっています。
ザ・ご当地検定の問題
Q.「松前漬け」といえば北海道の漬物ですが、「松浦漬け」といえばどこの都道府県の漬物?
A.佐賀