四国には愛媛県や香川県、徳島県、高知県の計4つの県があり、どの県にも魅力があることから多くの観光客が足を運んでいます。そのなかで、今回は徳島県について詳しく見ていきます。徳島県を旅した際に見逃せないのが郷土料理。「でこまわし」や「そば米雑炊」をはじめ、徳島県を代表する郷土料理はいくつかありますが、今回は、ダイコン、ニンジン、シイタケなどを三杯酢で和えた観光客から人気のある料理をご紹介します。
徳島県ってどんなところ?
徳島県は四国の東部にある県で、県庁所在地は徳島市です。以前の徳島県は北部が「粟国」、南部は「長国」と呼ばれていましたが、その後ひとつの国になって「阿波国」と付けられました。そして、讃岐国(香川県)や淡路国(淡路島)とあわせて「名東県」と呼ばれるようになったのです。しかし、1870年に起きた「庚午事変」という事件を機に淡路国は兵庫県に、その2年後には阿波国部分は高知県に編入されました。1880年に入ると、高知県から旧名東県が分離されたことで、現代の徳島県が作られたという歴史があります。
気候については、北部は瀬戸内気候となっており、一年を通して日照時間が多く雨はほとんど降りません。北部では以前までこの気候を活かして塩産業が盛んに行われていました。剣山をはじめとする高山地帯は雨が多く、冷え込みやすい日本海岸式気候となっています。冬になると雪がたくさん降るため、四国住まいの人たちが、スキーを楽しむためにこのエリアによく訪れています。南部は太平洋気候となっており、国内ではよく雨が降る地域として有名です。1981年から2010年までのあいだでは、木頭観測所と福原旭観測所の年平均降水量が特に多く、その量はおよそ3000mmとなっています。
徳島県には数々のパワースポットがあり、そのひとつが大麻比古神社です。大麻比古神社は鳴門市大麻町にある神社で、以前から「大麻さん」として地元民から親しまれています。桜の名所でもあることから、春になるとたくさんの人がこの神社に足を運んでいます。ほかにも、恋人峠も徳島にあるパワースポットとして有名です。恋人峠は美馬市穴吹町口山にある峠で、道路脇には「廉貞星宮殿」というフェンスが設置されています。このフェンスに南京錠をかけると愛が続くとされていることから、どの時期へ行ってもカップルの姿が目立ちます。
徳島県に新幹線は通っていないものの、飛行場があるのでアクセスの良さは確保されています。徳島飛行場にはJALとANAが就航しており、JALを使えば羽田空港や福岡空港、新千歳空港(夏季季節運航)から向かうことができます。ANAを利用する場合、羽田空港のみアクセス可能となっています。飛行場からは徳島駅や鳴門公園までの路線バスも運行しており、それぞれ40分程度で目的地へ向かえるでしょう。ほかにも、タクシーも出ているので徳島駅や鳴門公園へ早く行きたいなら、タクシーを使えば20分から25分ほどで行くことができます。
「ならえ」ってどんな料理なの?
徳島県の郷土料理のひとつでもある「ならえ」は、人参やレンコン、大根といった根野菜をはじめ、こんにゃくや干ししいたけなどを使った酢の物です。奈良県から伝わったことから「ならあえ」、7種類の材料を使用するので「ななあえ」といわれることもあります。徳島県では法事や彼岸などの精進料理に利用されるほか、正月料理として出す家庭もよく見られます。
栄養満点!ならえは健康にはもってこいの料理
ならえにはさまざまな食材が使われており、そのうち人参にはカロテン(ビタミンA)が多く含まれています。カロテンには皮膚や粘膜の健康状態を保つ働きがあるため、細菌感染を起こしにくくなり、風邪を引くことも少なくなるでしょう。人参には食物繊維も含まれており、腸の働きをよくす効果を期待できるので便秘の悩みを解決しやすくなります。カリウムは体内の塩分を外に出す作用があり、血圧の上昇を予防できるでしょう。
レンコンに関しては、ビタミンCがたくさん含まれており、肌の成長のサポートや疲労回復を早める働きがあります。なお、レンコンはビタミンCを保護するデンプンが豊富なので、火を通してもビタミンCは壊れにくくなっています。それから、タンニンもレンコンに含まれる成分で、ポリフェノールの一種です。タンニンには収れん作用が備わっており、腸に働きかけて、下痢が生じた際に便をかためやすくなります。
大根には「ジアスターゼ」というでんぷん分解酵素がたくさん含まれています。この成分は胃もたれや胃酸過多が生じた際に胃の調子を整えることから、胃薬にも使われているのです。ほかにも、水溶性ビタミンのひとつでもある葉酸も含まれており、この成分はビタミンB12とともに血液を作ります。葉酸が不足すると、悪性貧血(巨赤芽球貧血)を起こしやすくなるので注意しましょう。さらに、大根に含まれる辛み成分として、イソチオシアネート(辛子油)があります。天然に100種類以上存在するイソチオシアネートですが、ダイコンには数種類のみ含まれています。この成分は、すりおろすことで辛みを増すといった特徴がありますが、ならえでは固形の大根を使うので辛みはそれほど感じないでしょう。
こんにゃくにはカルシウムが多く含まれているため、ならえを食べれば、丈夫な歯や骨が作られやすくなります。なお、こんにゃくに含まれるカルシウムは酸に溶けやすいので、人体に効率良く吸収されやすいです。ほかにも、セラミドを多く含んでいるため肌の乾燥予防も期待できます。アトピー性皮膚炎の人はセラミドが少ない傾向があるため、ならえを食べることで症状の悪化を防げるでしょう。
干ししいたけに関しては、ビタミンDが豊富なことで知られています。この成分は食事からも摂取できますが、日光に当たると体内で生成することも可能です。免疫機能を調節する働きを備えているので、摂取することでインフルエンザや風邪にかかりにくくなります。それから、アミノ酸の一種でもあるグアニル酸も干ししいたけにたくさん含まれる成分です。グアニル酸は、かつお節に含まれるイノシン酸や、昆布に含まれているグルタミン酸と合わせて「三大うま味成分」ともいわれています。栄養成分とともに旨味も十分に感じられるため、ならえには欠かせない食材のひとつと言えるでしょう。
ならえの作り方はずばりこれだ!
2人分のならえを作る場合、主な材料として人参を20g、レンコンを20g、大根を80g、こんにゃく30g、干ししいたけを2つ用意します。ほかにも、油揚げを1枚、醤油・酢・酒をそれぞれ20cc、砂糖を20g、サラダ油・すりゴマを少量準備しましょう。準備ができたら、まずはレンコンを半月切りにして酢水にさらし、こんにゃくは茹でてから短冊切りにします。干ししいたけを除いた残りの食材は、短冊切りにしてから茹でることがポイントです。次に、鍋にこんにゃくを入れて熱で水分を飛ばしてから取り出し、油揚げを鍋で炒めます。そのあとは、油揚げを鍋から取り出し、サラダ油を加えて干ししいたけとレンコンを炒めていきましょう。
ある程度炒めたら、ほかの食材を入れて油がなじむよう炒め、食材に熱が通ったのを確認したら調味料を加えます。炒め終わったら火を止め、容器に盛り付けてすりゴマを添えればならえの完成です。
現地に行かなくても大丈夫!ならえのレシピを覚えて自宅で作ってみよう
徳島県に行った際に、郷土料理として味わう人が多い「ならえ」。ならえには根野菜やこんにゃく、干ししいたけなど、栄養成分が豊富な食材が多く使われているので、健康のためには良い料理と言えます。なお、ならえを徳島で食べたくても、現地に行く機会がない人もいるかもしれません。そういった人は、レシピさえ覚えてしまえば現地に行かなくても味わうことができます。調理をする際は工程の順番に気をつけながら、ならえを作ってみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q. ダイコン、ニンジン、シイタケなどを三杯酢で和えた、徳島県の郷土料理は?
A.ならえ
Q. 次のうち、徳島県のパワースポットとして注目されている神社は?
A. 大麻比古神社
Q. 次のうち、徳島県の郷土料理ではないものは?
A.あごちくわ