あの人気ドラマにも登場した金沢名物「じろあめ」

金沢で人気のお土産に「じろあめ」があります。あめと言えば砂糖を使うイメージですが、「じろあめ」の原料は良質の米と大麦のみ。実は高視聴率をマークしたあのドラマにも登場している有名なあめなのです。

古くから伝わる「じろあめ」の製法とは

じろあめの歴史は天保元年に始まりました。乳飲み子を抱えた母親が母乳が出ず困っているのを見て、何か栄養価の高いものを作れないかと考えられたのが、じろあめです。まるで水あめのようにとろっとしており、棒にクルクルと絡ませて食べます。

じろあめは麦芽の酵素で甘みを引き出すため、作り始めてからお客さんの口に入るまで4日を必要とします。まず1日目、米に水分を十分に吸収させるため、数回水を変えながら一晩寝かせます。2日目、その米を蒸し上げ、麦芽を混ぜ合わせたらお湯を足して糖化させます。そして、よく混ぜてから数時間後、糖化の具合をみます。温度や麦の良し悪しで糖化の状態が決まるため、この瞬間がとても緊張するといいます。次に米と麦芽の抜け殻と糖化液を分けるため搾取し、糖化液を一晩寝かします。

3日目、今度は糖化液を蒸発釜に移し蒸発させます。こうすることで水あめのようになり、徐々に完成の形に近づいてきます。最後に仕上げ釜に入れ加熱します。季節の温度や湿度の変化に影響されやすいため、蒸気を止める見極めには熟練した技術が必要なのだそうです。仕上げは「船」と呼ばれる大きな入れ物に入れ均一にした後、一晩寝かせます。こうして、やっとじろあめが完成するのです。4日目にしてやっと店頭に並べられるのですね。

そのまま食べるだけではもったいない!「じろあめ」活用術

石川県金沢市のお土産として人気のじろあめ。棒に絡めながら食べるのもいいのですが実は他にも利用法があるのです。地元の方のおススメは料理にプラスすること。煮物には最後に大さじ1杯をプラスするとコクがアップします。酢豚や南蛮漬けの場合は酢に負けないよう少し多めに入れるのがいいですね。つやが出て見た目も美味しそうです。煮魚に使えば、魚の身を引き締め臭みが気にならなくなります。また、スイーツにもいかがでしょうか?大学芋に水あめの代わりとして使ったり、寒い冬には甘酒もいいですね。酒粕と水を鍋で滑らかになるまで加熱し、仕上げにじろあめを入れます。あとはお好みで生姜やレモン汁を入れれば、じろ甘酒の完成です。

『半沢直樹』の大好物じろあめで「倍返し」

『半沢直樹』は石川県金沢市出身。実はじろあめが大好きなんです。ドラマ中では上戸彩さん演じる妻、花が金沢で買ったお土産を披露するシーンがあります。その中にあったじろあめを手にし「これ、大好きなんだよね~!」と嬉しそうにする『半沢直樹』の姿がありました。「金沢どうだった?」とテーブルの上に並べられたお土産を手に取って妻、花の話に耳を傾けるシーンも。地元の人たちはそのシーンで並べられたお土産が、あまりにも名産品ばかりで盛り上がっていたそうです。

実はじろあめを販売しているお店では、ドラマの中で取り扱われるのを知らなかったのだそう。放送を見てじろあめが出ているのを知り、テレビ局に確認の電話をしたというエピソードがあるそうです。それ以来、ドラマの影響でお店のポップにも『半沢直樹』の文字が取り上げられ、あっという間に地元ではもちろん、全国的にも有名なあめになったのです。ドラマの撮影現場でもたくさん並ぶ金沢のお土産を前に、出演者やスタッフが大興奮。どれを開けようか盛り上がっていたそうですよ。昔からの伝統を受け継いできた地元の人たちの努力が、まさに幸せの「倍返し」となって返ってきたのです。

古都金沢の伝統を「じろあめ」で味わう

金沢は観光地としても知名度が高く、古くからの名産品もたくさんあります。その中でもじろあめは200年近くも前から変わることなく作られている伝統菓子なのです。現在でも余計なものは入れないというこだわりを、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか?

ザ・ご当地検定の問題

Q. 石川県のおみやげ「じろあめ」の人気に火がつくきっかけとなったドラマといえば?

A. 半沢直樹