子どもの駄菓子のイメージが強いあのお菓子を、美しい和菓子に昇華させたお店が富山県高岡市にあるんです。 大人も虜にする駄菓子…、いったいどんなおかしなのでしょうか。その秘密に迫ります。
老舗和菓子店の職人の手仕事と厳選された地元産原材料が作り出す「高岡ラムネ」
そのお菓子は「高岡ラムネ」と呼ばれ、富山県の「大野屋」という和菓子屋さんで販売されています。 高岡ラムネは原材料から違います。一般的なラムネは、砂糖と片栗粉やコーンスターチを混ぜ合わせて作るものが一般的ですが、高岡ラムネは地元富山県産コシヒカリの米粉を使用。香料を一切使わず、ショウガやイチゴ、高岡の国吉リンゴや氷見産の稲積梅など、地元の素材を中心とした厳選された国産材料を使っています。これにより、ふんわりと口当たりがよく素材の風味を活かしたラムネを作ることができるのです。
また、こちらのラムネは、専用の木型を使って和菓子職人が一つ一つ手作業で作っています。木型を使った菓子は落雁に使われることが多いですが、富山県西部や金沢市では昔から「金華糖」という和菓子作りにも使われてきました。木型からスムーズに抜く作業は力の加減が難しく、高い技術が必要とされます。こうした老舗和菓子店の技と伝統がこの小さなラムネにも息づいています。
指先に乗るほどの小さなお菓子ですが、そのデザインも繊細です。古くからの吉祥文様である「貝尽くし」や、隠れ蓑・米俵・宝珠・打ち出の小槌・鯛・梅・さかずき・七宝・はまぐり・巴紋など福徳を招く宝物を集めた「宝尽くし」、日本の四季を彩る花々、桜、梅紫陽花、朝顔、撫子、桔梗、菖蒲、牡丹、楓、菊をていねいに型どった「花尽くし」など、縁起のよい文様が丁寧に形作られています。その他、期間限定で四季折々の景色をうつした商品もあります。可愛らしく繊細なラムネはまさに小さな宝石のようです。
万葉のふるさと富山県高岡市
富山県高岡市は奈良や飛鳥と並ぶ万葉ゆかりの地として知られています。万葉集の代表的歌人「大伴家持」は越中国の国府がある高岡の地に赴任し、約5年間を過ごしました。その間に数多くの優れた歌を詠み、その多くが万葉集に納められています。万葉集には家持の歌が473首納められていますが、そのうちの223首はここ高岡の地で読まれたものです。家持にとって、この地の豊かな自然や人々との交流が詩情をかき立てる原動力であったことは間違いないでしょう。
日本で初めて万葉集をテーマとした専門施設として平成2年に開館した「高岡市万葉歴史館」では、万葉集に関する展示やセミナーなどが行われています。また、10月に行われる「高岡万葉まつり」では万葉集全20巻を連続三昼夜にわたりリレー方式で朗唱する朗唱会や茶会などが行われ、高岡市を代表する一大イベントとなっています。
こだわりの菓子作り大野屋
万葉ロマンの薫り高い高岡を代表するお菓子「高岡ラムネ」は、地元の老舗和菓子店の「大野屋」で販売されています。伝統的な文様を使用しながらもカラフルなパッケージの中には、繊細なラムネ菓子が10個入っています。日本文化を楽しみながら若い女性にも手を取ってもらえる可愛らしさから、お土産としても人気です。
伝統と新しさを兼ね備えたアートのような高岡ラムネは、クールジャパン政策のもと“世界にまだ知られていない、日本が誇るべきすぐれた地方産品”を発掘し海外に広く伝えていく経済産業省のプロジェクト「The Wonder 500」にも選ばれています。これからも目が離せません。
食べてみたいけど、富山まではなかなか行くことができない、という方。東京日本橋にある富山県のアンテナショップ「日本橋富山館」でも取り扱っています。お近くの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
懐かしさと新しさと
ふと口にしたお菓子の味や匂いが、子どもころの思い出を引き出すことがあります。ラムネにはそんな懐かしさが溢れています。伝統と新しい感覚が共に息づく老舗和菓子店のこだわりの「高岡ラムネ」は、大人にこそ味わって欲しい逸品です。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 富山県の『大野屋』が製造し人気のお菓子といえば?
A.高岡ラムネ
Q. 富山県にある、日本で初めて万葉集をテーマとした専門施設「高岡市万葉歴史館」が開館したのはいつ?
A.平成2年