滋賀県の特産「丁稚羊羹」。これ、何と読む?

丁稚羊羹は関西で食べられている和菓子ですが、滋賀県の特産としても知られています。一般的な羊羹との違いがわからないという方のために、ここでは丁稚羊羹の由来や、作り方などについて紹介します。

丁稚羊羹の名前の由来

丁稚羊羹(でっちようかん)の名前の由来には諸説あります。一般的に知られているものは、丁稚が奉公先から帰省する際に、郷里へのお土産として持ち帰ったという説で、丁稚でも買える手軽な羊羹という意味だとされています。丁稚とは、江戸時代から昭和の初めまで、仕事やしつけを身につけるために商家や職人の元で働いた年少者のことで、当時、このような働き方を丁稚奉公と言いました。郷里に帰ることができるのは年に2回、正月と盆の1日だけで、その際にお土産として持ち帰ることが多かったとされています。滋賀県は近江商人という言葉があるとおり、昔から商業の盛んな土地で、また京都や大阪のような商業都市にも近かったことから、子どもを丁稚奉公や女中に出す習慣があったようです。この他にも、丁稚が里帰りを終えて奉公先に戻る際に土産として買ったという説や、小豆の出汁をよく練ることを、「でっちる」と表現することに由来すると言う説があります。小豆や砂糖、寒天を煮詰めて作る練り羊羹が高級菓子だったのに対し、小豆の出汁のようなものを小麦粉などで捏ねて作った羊羹が庶民の菓子であったことに、まだ半人前な丁稚をなぞらえたとも言われています。

丁稚羊羹と一般的な羊羹の作り方の違い

一般的に羊羹といえば練り羊羹を思い出す人が多いかもしれませんが、作り方は水に溶かして火にかけた寒天に、小豆を主原料とした餡と砂糖を混ぜて、練りながら煮詰めて固めます。砂糖が多いため日持ちがいいのが特徴で、非常食にもなります。これに対し、寒天と餡、砂糖を少なめにして煮詰めずに型に流し入れて作るのが水羊羹です。練り羊羹に比べると水分が多いため柔らかいのが特徴で、主に夏に冷やして食べることが多いですが、最近では通年化が進んでいるようです。丁稚羊羹は蒸し羊羹と同じ作り方をします。寒天の代わりに小麦粉や澱粉を使用し、小豆の量を減らした餡や砂糖を加えてよく捏ねたものを竹皮に包んで蒸して固めます。練り羊羹と違って、もちもちとした食感が特徴で竹の皮で包んであるため携帯しやすく、当時は庶民の間でよく知られた菓子でした。現在は滋賀県で丁稚羊羹と言えば竹の皮に包まれた蒸し羊羹のことをいいますが、地域によっては、冬に食べる水羊羹をいうところもあります。

丁稚羊羹以外にもいろいろある滋賀の特産品

丁稚羊羹は、当時は丁稚奉公に出た年少者でも求めることができる庶民的なお菓子と知られていましたが、現在は滋賀の特産の一つとして道の駅などでもよく見かけます。練り羊羹が持つ小豆の風味や口当たりとは異なりますが、蒸して作った羊羹独特のもっちりとした食感と柔らかさ、竹の皮の素朴な香りに風情があり、定番のお土産の一つでもあります。食べる時は竹の皮から出してもいいですし、そのまま切れば、出先でも手を汚さずに食べることができます。好みにもよりますが、蛋白であっさりとした味なので、煎茶などと一緒だと多目に食べることもできそうです。滋賀県にはこの他にもお土産にしたい特産品がいくつもあります。日本そばの発祥地とされる地域で採れたそば粉で作ったそばや、米粉から作った皮で餡を包んだ糸切り餅、ゆばや、湖に住む魚を使ったなれ寿司などいろいろです。世界的に有名な近江牛も特産の一つで、他にも琵琶湖や自然の恵みがもたらす多くの美食があります。

歴史と伝統の宝庫・滋賀県

滋賀県は古くは近江の国と呼ばれ、幾度も歴史の舞台に登場した地でもあります。これを機に実際に滋賀県を訪れ、美食を楽しみながら歴史と文化にふれる旅をしてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 滋賀や京都のお菓子「丁稚羊羹」。何と読む?

A.でっちようかん