うどんにあずきを絡めて作る、埼玉県秩父市の郷土料理とは?

自然豊かな山並みが美しい埼玉県秩父市の郷土料理をご紹介します。甘く煮たあずきにうどんを絡めて食べる、おしるこのような料理です。秩父地方に伝わる特徴あるうどん料理についてくわしく紹介していきます。

おやつ感覚で食べられて、やさしい甘みがほっとする味わい

埼玉県の秩父地方はうどんの名産地として知られています。上質な小麦ときれいな水で作る秩父のうどんは風味とこしがあり、秩父市内や長瀞町にある名店には、おいしいうどんを求めて多くの観光客が訪れています。埼玉県は古くから稲作がさかんで、その合間をぬった裏作として小麦を栽培し、日常的にうどんを主食とする文化が根付いていました。そのため、埼玉県には地域色豊かなうどんを使った郷土料理がたくさんあります。なかでも埼玉県秩父市に伝わるねじは、甘く煮たあずきを、茹でたうどんに絡めて食べるユニークなもので、うどん好きの間でも知る人ぞ知る珍しい郷土料理なのです。

ねじという変わった名前の由来は、煮たあずきに絡まったうどんがネジの形に似ているから、あるいは茹でたうどんがらせん状にねじれているからと言われていますが、真相は定かではありません。地元では昔から8月16日の送り盆で食べられてきたそうです。煮たあずきは甘さ抑えめで、おしるこのようなサラっとした仕上がりです。うどんは、ほうとうやきしめんのような薄く平たい形状が特徴で、平たい麺があずきとよく絡んで優しい甘さ。おやつや食後のデザートにもぴったりです。

ねじは地域によっては「あずきほうとう」と呼ばれることもあります。ほうとうはうどんとは異なり、麺を打つときに塩を一切使わないのが特徴なので、うどんを使うねじは厳密にはほうとうではないのですが、形が似ていることからそのように呼ばれるようになりました。ほうとうといえば山梨県が有名ですが、山梨県にもあずきほうとうと呼ばれる料理があるそうです。

ねじをルーツとするあずきすくいが登場

東秩父村には、ねじをルーツにした郷土料理「あずきすくい」があります。あずきすくいは、味と調理方法はねじとほぼ同じですが、麺の形に特徴があります。あずきすくいの麺は、平たい形状ではなく農作業で使う「箕」を模した形をしています。箕とは、竹の皮などを編んで作る浅い籠のようなもので、穀物のふるい分けに使われています。あずきすくいは、箕が穀物をすくうように、ふっくら煮えたあずきを麺ですくいながらいただきます。箕の形で調理された麺は、よりモチモチと食べ応えのある食感となり、見た目もよりスイーツ感が強くなります。東秩父村にはあずきすくいを提供する店が7店舗あるそうです。

ねじは自宅でも簡単に作れる

うどんとあずきあんの組み合わせは一見するとユニークですが、ねじはおしるこや団子に親しんできた日本人には馴染み深い味といえます。自然の素材を使い、やさしい甘さに仕上げたねじは、自宅でも簡単に作ることができます。余計なものが入っていないので、小さなお子さんにもおすすめです。あずき250gを洗い、ひたひたの水と一緒に鍋に入れ火にかけ、沸騰したら湯を捨て再び水を加え、砂糖150gと塩小さじ1杯を加え、やわらかくなるまで煮ればあんの完成です。

麺は、小麦粉300gに塩小さじ2杯を入れて混ぜ合わせ、150ccの水を加えながらこねていきます。こねた生地を麺棒で延ばし、食べやすい大きさ(幅1cm長さ8cm程度)に切って熱湯でゆでます。ゆでた麺は湯を切り、熱いままあずきあんと絡めましょう。市販のあずきあんを使う場合は、甘さが強すぎるので、水で薄めながら味を調整してください。

手軽に食べられてきた庶民のおやつ

秩父地方には農作業の合間などに食べる「小昼食」と呼ばれる郷土料理がたくさんあり、ねじもそのひとつです。秩父地方はあずきも栽培しています。地元で採れた食材で作れる庶民のおやつとして、ねじは愛され、伝えられてきたのです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. うどんにあずきを絡めて作る、埼玉県秩父市の郷土料理は?

A.ねじ