「うに」「このわた」とともに日本三大珍味とされる、長崎の名物は?

日本三大珍味の3つは何かと聞かれても、とっさに思い浮かばない人が多いのではないでしょうか。「越前うに」と「尾張このわた」と並んで長崎の名物としても有名な残りの1つの珍味をご紹介します。

高級食材の「からすみ」

からすみはボラの卵巣を塩漬けにした後に、天日で干して乾燥させたものです。ボラ以外では、サワラやサバを使ったものもあります。漢字では「唐墨」と書き、カラスミの形状が中国(唐)から伝わった墨の形に似ていたことから付けられたというのが定説になっています。

昔は長崎県の野母崎(のもざき)半島や五島列島のボラの卵が最高級とされていました。戦後になって冷凍技術が発達すると、天然のボラの世界最大の漁場であるオーストラリア東海岸のものが高品質として輸入されるようになり、オーストラリア産のもので作られたものは国産のボラより、ややお求めやすくなっています。

からすみのおいしい食べ方

ねっとりとしていて塩味が強く独特の風味のあるからすみは、お酒の肴にぴったりです。一番シンプルな食べ方は薄くスライスしてそのままいただきます。これだけでも日本酒がすすんでしまいますが、同じように薄切りにした大根にからすみを挟むと、最高の酒のお供メニューになります。

薄くスライスしたからすみを表面の色が少し変わるくらい軽く炙ると香ばしさが加わって、また違ったおいしさです。注意したいのは、火を通す場合は長い時間加熱をしないこと。火を入れ過ぎるとパサつく原因となり、味も風味も落ちてしまいます。パスタやリゾットなどに入れる時は、一番最後に入れるようにしましょう。お酒のおつまみとして堪能した後は、ご飯の上にからすみを載せお茶をかけて、からすみ茶漬けに。お酒の〆としても楽しめます。

サラダにオリーブオイルをかけて、その上からからすみをおろし金ですりおろすと風味の良いドレッシング代わりなります。濃厚な味わいと香りを持つからすみは様々な食材とも相性がよく、少量加えるだけでワンランク上の一品に仕上がります。

からすみの製造方法

からすみは、ひとつひとつ丁寧に手作業で作られます。ボラの卵巣を膜を傷つけないように取り出して、血抜きの作業をします。血抜きがうまくいかないと、ボラ独特の臭みがしてしまうので慎重に行います。その後、ボラの大きさにもよりますが3~6日間ほど塩漬けし、塩が卵巣の中まで入ったら取り出して塩抜きをし、天日で1ヶ月弱ほど乾燥されると、ようやく完成です。

からすみの歴史

からすみが初めて作られたのは今から二千年以上前も昔のこと。現在のレバノンのあたりにいたフェニキア人が考案したと言われています。冷蔵保存ができない時代に生鮮食品などを保存する技術として塩付け、天日干しが考えだされ、作られたようです。その後、地中海沿岸の地域全体に広がっていき、現在のイタリア、スペイン、トルコ、フランスでも作られ、アジア方面に伝わりました。

日本におけるからすみの歴史は安土・桃山時代の頃に、中国から長崎に伝わったのが始まりだったようです。江戸時代の初め頃になると日本でも造られるようになりました。中国から伝わった時はサワラの卵で作られていましたが、長崎半島の先端部に位置する野母崎地方で多く獲れていたボラの卵で製造されるようになったことで、長崎の名産品として発展し有名になっていきました。

様々な国で食べられるからすみ

からすみは台湾では烏魚子(オーヒージー)と言います。日本統治時代には生産量の2/3を日本へ輸出していました。現在では気軽に買える値段で販売され、日本より安価で上質なものが買えるのでお土産としても人気です。

イタリアではからすみはbottarga(ボッタルガ)と言い、日本のものと比ベてより乾燥されていて塩気も強いので、薄くスライスしたり、おろし器等で粉末状にして使われます。パスタやカナッペ、リゾットなどでアクセントとして楽しまれています。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 「うに」「このわた」とともに日本三大珍味とされる、長崎の名物は?

A. からすみ