岐阜県飛騨地方で作られてきた、初夏を代表する郷土寿司といえば?

岐阜県飛騨地方ではある郷土料理が初夏を告げます。岐阜県飛騨地方だけなく、東濃や中濃地域でも盛んに作られるこのお寿司、ある葉を用いる点以外、作り方はさまざまで地域ごとに異なるそうです。ここでは岐阜県飛騨地方に伝わるこの郷土料理についてまとめてみました。

飛騨地方に初夏を告げる朴葉の香り

岐阜県飛騨地方では初夏になると朴葉寿司が盛んに作られます。旧暦の端午の節句に作られるため、季節を告げる風物詩になっています。春から夏にかけて朴葉の葉がたくさん採れます。朴葉寿司は採れたばかりの朴葉を利用して作ります。具は鮭の切り身、筍、茗荷、椎茸、紅生姜などをご飯とともに朴葉で包んで作ります。

郷土料理のため、家庭ごとに具が色々とバリエーションがあり、様々な具のバリエーションが存在しますが、酢に浸した鮭を使うことはほぼ共通しています。家庭ごとに違った朴葉寿司ですが、地域のイベントで持ち寄って、色々食べ比べて楽しむのも、初夏の飛騨地方で見られる光景です。

朴葉寿司に用いられる魚は鮭とされていますが、岐阜県飛騨地方は深い山の中。戦後、国道の改良や高速道路の開通により流通がよくなる以前は、鮭はとても手に入るようなものでした。もともと飛騨地方では鱒を使っていたのではないでしょうか。今でも鱒を使っているご家庭もあります。もっとも、鮭も鱒も同じ種類で、海に出て行って再び帰ってくるものを鮭、そうでないもの鱒ということなので、味に差がないのかもしれません。

野良仕事の合間のご馳走

朴葉寿司は飛騨地方では初夏の郷土料理といわれています。春から夏は朴葉の採集に適したシーズンという理由だけではありません。春から夏にかけて、飛騨地方では農繁期に当たります。田植えや養蚕の飼育といった作業に忙殺される合間に、簡単に携帯できて、手も汚さず食べる事の出来る朴葉寿司は作業中の弁当として作られました。朴葉の香りに包まれたお寿司は、野良仕事の合間に食べられたご馳走だったのです。

朴葉寿司を包む朴の葉は殺菌作用があるといわれています。岐阜県飛騨地方では自生していたり、農地の片隅に植えてあったりと、割と生えている木です。朴葉寿司に使う朴の葉は若く柔らかい葉を使います。朴葉自体は食べることができませんが、食品に移った香りを楽しみます。朴葉は落ち葉になっても火に強いため、味噌と食材を朴葉にのせて火にかける朴葉味噌や朴葉焼きも郷土料理して有名です。またお盆の時期になると搗き立ての餅を朴葉で包んだ朴葉餅にも使います。古くから葉が大きいのを利用して食器代わりにも使っていました。

岐阜県内でも違う朴葉寿司

ここまで岐阜県飛騨地方の郷土料理の朴葉寿司を見てきました。朴葉寿司は岐阜県が発祥だといわれていますが、他の地域の朴葉寿司と飛騨地方の朴葉寿司は何が異なるのでしょうか。岐阜県でも朴葉寿司を作る地域として、他に東濃・中濃地方があります。両者とも農業や林業が盛ん地域で、朴葉を使うという共通点を除いては作り方そのもが大きく異なります。

飛騨地方の朴葉寿司は、炊きたてのご飯に刻んだ具と酢に浸した鮭を混ぜ、それを朴葉で包んでしばらく置いておきます。酢がご飯全体に広がったら食べ頃になった時に頂きます。
一方東濃や中濃地域では、ご飯ではなく予め用意しておいた酢飯を用いるのが一般的です。酢飯と具を朴葉にのせて作ります。具には主に山の幸をが多く使われ、海からの距離を象徴しています。地域による朴葉寿司の違いは、酢飯か白ごはんかの違い以外は大差なく、もともと家庭で作られる郷土料理なので、厳密にはさらにバリエーションや違いがあります。

岐阜県飛騨地方の初夏の風物詩。郷土料理、朴葉寿司を食してみよ

岐阜県飛騨地方で、初夏に採れる若い朴葉を使って作られる郷土料理の朴葉寿司は、もともとは「葉の香りでご飯を食べるもの」だったそうです。朴葉寿司は飛騨地方のお店や道の駅などで簡単に購入できるほか、通販で取寄せもできますので、食べてみてください。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 岐阜県飛騨地方で作られてきた、初夏を代表する郷土寿司といえば?

A. 朴葉寿司