アジやサンマなどの生魚を味噌・ネギなどとともに包丁で叩いて作る千葉県の郷土料理とは?

千葉県のなかでも房総半島の南部に位置する南房総市周辺には、有名な郷土料理があります。漁師町ならではのグルメを気軽に味わうことができ、しかもそれほど高価なものではありません。ほかにも、その郷土料理をアレンジしたさんが焼きをはじめ、漁業が盛んな地域としてさまざまな魚介類のグルメを味わうことができます。南房総市周辺は温暖な地域であることから花の美しい観光スポットが点在しているほか、海の眺めも堪能できるエリアです。

もともとは漁師飯だった

千葉県の南房総市は漁業の盛んなエリアであり、なめろうは漁に出ている漁師たちが船上で作って食べていたのがはじまりだといわれています。漁師たちは獲れたてのアジやサンマ、イワシなどの魚をさばき、薬味や味付けの味噌などと一緒に粘りが出るまで包丁でたたいたものを船上で食べていたのです。魚のおいしさをよく知る漁師ならではの新鮮な魚をシンプルに味わえる料理で「皿までなめてしまうほどおいしい」というのが「なめろう」という名前の由来だともいわれています。

その地元ならではの郷土料理を全国の人にも知ってもらい、地域の活性化につなげようと2009年10月29日に発足したのが「南房総なめろう研究会」です。南房総なめろう研究会のおもてなし宣言では、南房総の伝統を守りながら地域の誇りであるなめろうの魅力を伝え、地域の人や観光客に提供することを謳っています。

さんが焼きも南房総の郷土料理

南房総なめろう研究会がなめろうと同じように南房総の郷土料理としてアピールしているのが「さんが焼き」です。漁師が船上で作って食べるなめろうも、たくさん魚が獲れてなめろうを多く作ると余ることもありますよね。そんな余ったなめろうを、漁が終わったあと家に持ち帰ってアレンジして食べていました。アワビやホタテなどの貝殻の上に大葉の葉を敷き、なめろうを乗せて網の上などで焼いて作ったのがさんが焼きです。さんが焼きは提供するお店によっては網の上で焼かず、なめろうを大葉に包むようにして形を整え、フライパンで焼いて作ることもあります。

南房総でなめろうが食べられるお店

南房総市千倉町にある「大徳家」は1969年に創業し、すでに営業をはじめて150年以上続いている老舗店です。寿司と地魚料理を提供するお店で、創業時からなめろうを提供していました。もともと漁師飯だったなめろうをお店で提供したのは大徳家が初めてだといわれており、店長は南房総なめろう研究会の会長を務めています。150年以上脈々と伝えられてきた伝統の味は、メニューには載っていません。しかし、誰もが知る郷土料理として、注文すれば食べることが可能です。地元で獲れた新鮮な魚を使い、たたきの技で旨みが限界まで引き出されたなめろうを味わうことができます。

ほかにも、南房総なめろう研究会には20以上の店舗が参加しており、さまざまな形でなめろうを提供しています。南房総は鯨料理も有名で、市内でも和田町は鯨料理のお店が点在している地域です。そのなかでも「くじら料理の店ぴーまん」では、鯨のなめろうが提供されています。また、なめろうや、さんが焼きを少し変わったイタリアンで味わうことのできるお店が南房総市の白浜にあるオドーリ・キッチンです。シェフは南房総市に隣接する館山市の出身で、2019年4月には日本テレビの番組「満天☆青空レストラン」に出演されました。地元の食材を使うことを心がけており、南房総の新鮮な食材をイタリアンとしておいしく味わうことができるお店です。

ほかにも、店主が自ら漁に出て魚を捕ってくる「活魚料理網元」のように新鮮な魚介類を堪能できるお店もあります。また、イセエビやハマグリなど魚介類のダシを生かしたラーメンが食べられる「房州らーめん」でも、なめろうらーめんやさんがつけ麺など、地元の味を取り入れたメニューが人気です。気軽に立ち寄れる「道の駅ちくら潮風王国」にも、市場から新鮮な地魚が直送される「旬膳 はな房」があります。旬膳 はな房では太平洋が一望できるロケーションで、なめろうをはじめとする魚料理を味わうことが可能です。

なめろうが味わえるのはレストランなどのお店だけではありません。宿泊施設でも地元ならではの料理として提供されています。たとえば「癒しめぐりの宿夢みさき」には、オーシャンビューの和風露天風呂や洋風露天風呂があり、地魚や全国の生産者から届く厳選食材を使った料理が自慢です。おしゃれな盛り付けで見た目も楽しめるなめろう料理を「旬のなめろう料理付き宿泊プラン」で楽しむことができます。また、先代が網元だったという「グルメ派の宿政右エ門」も海の幸にはこだわりを持つ宿です。なめろうが骨せんべいに載せて提供されており「地魚なめろう磯ご膳宿泊プラン」で地魚を堪能することができます。

なめろうやさんが焼きが食べられる南房総はこんなところ

南房総市周辺は、千葉県の中でも房総半島の南部に位置しており、いち早く春を感じられる地域です。1月から2月にかけてはすでに梅の花が咲き始め、3月末から4月になるころには桜が見頃になります。そのあともローズマリーやスターチス、アジサイなど次々と春から初夏にかけて花が咲き誇り、見どころが満載です。まだ寒い12月や1月でも、ペニジウムやストック、菜の花、ポピーなどさまざまな花が見られ、キンセンカの花の栽培については日本一の生産量を誇るほど花の栽培で有名です。

千倉や白浜、和田などには太平洋を臨む場所で露地栽培が行われており、早春には華やかな風景を見せてくれます。「白浜フラワーパーク」や「フローラルビレッジ名倉」など、四季折々に美しい花が咲くスポットが豊富です。また「道の駅南房パラダイス」には「アロハガーデンたてやま」という動植物園を併設されています。ほかにも「道の駅ローズマリー公園」や「道の駅とみうら枇杷倶楽部」など、季節の花を見られる道の駅が点在しているエリアです。

南房総市の西側は東京湾の入口、東側は太平洋に面しており、海の眺めが美しいエリアでもあります。房総半島の南端にある「野島埼灯台」は造られてからすでに150年の歴史を持っている灯台です。白亜の八角形の灯台で、目前に広がる太平洋の雄大な景色とともに観光スポットになっています。また、南房総市は「森林セラピー基地」の認定も受けており、海のアクティビティやサイクリング、ウォーキングなどをしながら南房総を堪能できるヘルスツーリズムも人気です。

家でも簡単に作れる!なめろうレシピ

なめろうの地元である南房総のお店では、さまざまなこだわりや伝統の技を駆使してなめろうを提供しています。ただ、なめろうの作り方はいたってシンプルなものです。アジやサンマ、イワシなど旬の魚をおろして刻みます。そこに、ネギやショウガ、大葉などお好みの薬味と味噌をのせて、粘りが出るまで包丁でたたくだけです。粘りが出て包丁が重く感じるようになり、まな板にくっつくぐらいになったら出来上がり。そこから大葉の葉になめろうをのせ、包むようにしてフライパンで焼いて火を通すとさんが焼きとして味わうことができます。

海の恵みを気軽に味わえる郷土料理のなめろう!南房総ならではの自然とともに

もともとは漁師が船の上で作って食べていた料理が、地元の人に愛される郷土料理となり、いまや日本各地にも名前が知られるようになったなめろう。自宅でも簡単に作れる手軽さがありますが、地元で味わうなめろうはまた格別なものでしょう。房総半島の美しい海の眺めや、早春から美しい花が咲き誇る風景を見せてくれるのが千葉県の南房総市周辺の見どころです。観光スポットを巡りながら、なめろうをはじめとした美味しい海の幸を味わいにでかけてみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. アジやサンマなどの生魚を味噌・ネギなどとともに包丁で叩いて作る千葉県の郷土料理は?

A.なめろう

Q. 千葉県名物の「なめろう」はもともとどんな人たちが食べていた料理?

A.漁師

Q. 150年の歴史がある、千葉県の房総半島南端にある灯台は?

A. 野島埼灯台

Q. 千葉県南房総市にある、リゾート観光地は?

A. 白浜フラワーパーク