たらの芽は、春の訪れを伝える食材として人気が高く、山菜の王様とも呼ばれています。独特の触感と香り、ほのかな苦みを味わえます。そのたらの芽の生産量で全国1位の座に君臨するのは何県でしょうか。
たらの芽は栄養も豊富なスーパー山菜
たらの芽は、ウコギ科であるたらの木の新芽です。ほのかな苦味や香りは、春の訪れを伝える食材として人気があります。山菜採りのシーズンになるとたくさんの人が山に足を運びます。山形県はたらの芽の生産量で全国第1位を誇りますが、その理由は、ふかし栽培という促成栽培法を使って出荷しているからです。たらの木から伸びた穂木を切り取り、さらに駒木と呼ばれるサイズにカットします。それをビニールハウスに並べ、人工的な春のなかで育てていくのです。促成をスタートさせてから1ヶ月ほどで若芽が成長し、パック詰めされます。県内の産直所や道の駅、スーパー各店で購入できるほか、通販でも買い求めることができます。
カリウムを多く含んでいるため、ナトリウムを体外に排出する働きがあります。高血圧の人には嬉しい食材ですし、ほかにも健胃、強壮、強精作用が期待できます。マグネシウム、リン、鉄分などのミネラルを含み、β-カロテンも豊富です。定番の食べ方はてんぷらですが、あえ物、おひたしやパスタの具としても活躍しています。なかでも人気なのはベーコン巻きです。たらの芽の木皮部分を取り、茹で、冷水でしめます。ベーコンで巻き、爪楊枝で止め、フライパンでカラ焼きすれば出来上がりです。
山に足を向ければたらの芽採りが楽しめる
山形県自慢のふかし栽培で育てられたたらの芽は店頭販売されています。しかし、そもそも山菜ですから、実際に山に生えています。この天然のたらの芽を採ってみたいと思う人も多いはずです。ハウス栽培されているものは2月から3月になると売られます。それに比べると、野生のたらの芽は1ヶ月ほど遅く旬を迎えます。たらの木は、その独特の形状はもちろん、枝に棘があるため簡単に見分けることができます。林道や斜面の付近に生えていることが多いことも特徴のひとつです。ただ、注意しなければならないのは、高い部分の芽を採ろうとして枝を切ったり折ったりすると木が枯れてしまうことです。また、すべての芽を採ってしまうと翌年は芽をつけることができません。
側芽を残し、頂芽だけを採ることがマナーです。また、棘で手を傷つけないように革製の手袋をはめると採取しやすくなります。たらの芽は保存に向かない山菜のため、1日か2日以内に食さない場合は冷凍保存がおすすめです。水洗いしたあと、塩を入れたお湯で下茹でし、灰汁を抜くために冷水にさらします。水気を取ったらアルミホイルで小分けにし、冷凍すればオーケーです。
山形県は銘酒と名産の宝庫
たらの芽は春の食卓を彩る定番の山菜ですが、なんといっても日本酒に合います。山形県には全国でも有数の銘酒が揃っています。個性豊かな酒蔵がしのぎを削り、良質なコメ、水、空気がミックスされた絶好の環境のなかで腕を磨いてきたのです。とくに鳥海山、朝日岳、月山の異なる山系から注がれる豊かな水の美味さは格別です。東北という日本酒のメッカのなかにあって、吟醸酒の出荷割合が高く、4割のシェアを占めるほどです。
もちろん、日本酒に合うのはたらの芽ばかりでありません。山形県民の味といえば芋煮です。元祖B級グルメと評する人もいますが、山形県民にとって芋煮は何にも代えがたいソウルフードです。人が集まったとき、人を集めたいとき、いつでも活躍してくれる味なのです。さらに、山形は夏の暑さも有名です。夏バテしないよう、食が進むためにいろいろな工夫がなされています。夏野菜を刻んで醤油であえたダシは冷ややっことの相性が抜群です。幻の枝豆と言われる、だだちゃ豆も忘れてはなりません。
春の訪れを先取りできる山形県のたらの芽
たらの芽ファンは全国にいますが、山形県のたらの芽シーズンは山の環境が整う1ヶ月ほどまえからスタートします。ふかし栽培という独特の方法で育てられ、店頭に並ぶからです。待ち遠しい春を一足早く感じることができる名産物です。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 平成20年、たらの芽の生産量1位の都道府県は?
山形県