山梨県の郷土料理で小麦を使ったものでは、ほうとうが有名です。これに似た料理に「おつけだんご」というものがあり、一部地域ではおふくろの味として親しまれています。今回は、このおつけだんごがどのような料理なのかを紹介します。
おつけだんごってどんな料理?
おつけだんごは山梨県大月市の郷土料理で、昔は忙しい農作業中の昼食に作られていたといわれています。ほうとうと同様に汁物ですが、ほうとうは幅広の太麺が一般的であるのに対して、おつけだんごは小麦で作っただんごを汁に入れただんご汁です。味噌汁にだんご入れる作り方が基本となるものの、醤油味に仕立てることもあれば塩味で食べられることもあり、さらにカレー味などにアレンジする家庭もあります。具材は基本的に季節の地元産野菜が入ります。ほうとうも同じですが、小麦を水だけで練り、塩は入れません。塩が入っていないことによって、うどんのような硬い歯ごたえはなく、すいとんとちぎりほうとうの間くらいの程よい柔らかさが楽しめます。
作り方は至って簡単です。まず煮干などでだしを取り、旬の野菜や好みの野菜や肉などを入れて煮込みます。2人分であれば、小麦粉150gと水100ccを混ぜ、スプーンですくってだんご状にして汁の中に落としていきます。だんごに火が通るまでクツクツ煮て、味噌を溶き入れたら完成です。味噌でなくても、先述したように醤油や塩、カレーなど、味付けは自由です。冬は根菜を中心にした味噌仕立てで、夏は夏野菜を使ったカレー仕立てにすると美味しいかもしれませんね。
おつけだんごという名前の由来は諸説あり、「大月のだんご汁」が訛ったという説や、お味噌汁を指す「おみおつけ」の中にだんごを入れたからという説、「(おみ)おつけの中のだんご」を指しているという説などが伝えられています。大月市は桃太郎伝説が残る町なので、桃太郎のきびだんごをイメージした可能性も否定できません。
大月市では2006年より有志が集まり、「大月市おつけだんごの会」を発足しました。以降、おつけだんごを名物料理としてPRし、町おこしに貢献しています。「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」に2008年から2014年まで出場し、おつけだんごを大いにアピールしてきました。また、公認キャラクターに「おつたろう」がいます。白いだんごを模した顔に緑のお椀を帽子代わりにして被り、頭に桃太郎のはちまきを締めています。
昔風のチョッキを着て、腰におつけだんごの材料が入っているという巾着を付けて、全国を旅しているそうです。ゆるキャラは全国に数多いるため、残念ながらまだまだおつたろうの認知度は低いです。しかし、2014年にはおつたろうの衣装を着たメンバーが東京マラソンに出場するなど、色々な機会を活かしてPR活動に勤しんでいます。
外の地域に宣伝する一方で、地元でもおつけだんごの周知を図っています。洋食化が進んだためか、郷土料理といっても若い世代の家庭を中心に作られる機会が減っており、それどころか料理自体を知らない人もいるからです。これに危機感を感じた大月市おつけだんごの会は、小中学校の給食に出したり、家庭科の調理実習で作ったりするよう市に働きかけました。さらに毎春、会のメンバーが小学校に出向いて、会の活動やおつけだんごの歴史などを解説するなど、地道に郷土料理を伝える活動を続けています。
おつけだんごは家庭料理ですが、市内10店舗ほどの飲食店がメニューに載せており、食べられる店は大月駅前にある「古民家麺処かつら」や大月インター近くの「いなだや」や「竹馬」などが挙げられます。商工会でMAPを配布しているということなので、それを見て店を選ぶと楽でしょう。
大月市は富士山の撮影スポットとして人気
大月市は富士山が最も綺麗に見える町といわれ、甲斐市との堺にある大蔵高丸の山頂は、撮影スポットとして人気があります。登山後におつけだんごを食べれば、きっと疲れが取れますよ。ほうとうと食べ比べてみるのも面白いかもしれません。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 山梨県大月市の名物「おつけだんご」は、どのような料理?
A.だんご汁