茨城県水戸市のご当地ラーメン「水戸藩ラーメン」の麺に練り込まれているのは何の粉?

茨城県水戸市で食べることができる「水戸藩らーめん」。あるご当地野菜を麺に練り込むというアイデアで人気のご当地ラーメンです。江戸時代に、あの水戸黄門が食したとされるラーメンですが、一体どのようなものなのでしょうか?

水戸黄門が食したラーメンを再現

茨城県水戸市と言えば、水戸黄門でお馴染みの水戸光圀公が藩主であった土地です。江戸時代、水戸光圀公は「大日本史」を製作するために中国から儒教学者の朱舜水(しゅしゅんすい)を招きました。その時に現在のラーメンの作り方も教わったと言われています。朱舜水から教えられた麺は小麦粉とレンコンの粉で作ったものでした。水戸光圀公はこれを大変気に入り、自分で作っては周りの者に振る舞っていたそうです。

茨城県水戸市では水戸光圀公が愛したラーメンを再現しようと、地元の製麺業者、料理研究家、料理店の人たちが協力し合って水戸藩らーめんを完成させました。その特徴は、何といってもレンコンの粉を使った麺です。実は茨城県ではレンコン生産量が日本一なのです。一般的な中華麺と比べると色が少し茶色がかっており、もちもちしています。そしてラーメンと一緒に必ず提供されるのが「五辛(ごしん)」と呼ばれる香辛料です。ニラ、にんにく、生姜、ねぎ、らっきょうの五種類の香辛料で「五臓の気を発する」食べ物として必ず水戸藩らーめんに添えられています。

水戸藩らーめんを食べることができるお店はいくつかあります。水戸藩らーめんを提供する場合は、レンコンの粉を練り込んだ麺を使う、五辛を添えるといった決まりはありますが、スープはそれぞれのお店で個性を楽しむことができます。例えば、茨城大学前に店を構える「大興飯店」ではスープに赤穂の天塩をブレンドしており、濃い目の味が特徴です。また一緒に提供する五辛は五種類すべてを混ぜて一つのお皿で提供しています。一方、同じく茨城大学周辺で店を構える「宝珍楼」では鶏と豚をベースに、煮干しのダシで作った醤油ダレをブレンドしてスープを作っています。このおかげであっさりとした和風の仕上がりになっています。こちらの五辛は五つのお皿に分けて提供しています。具はチャーシューの他に青梗菜、椎茸、タケノコ、クコの実などの食材を使用するお店が多いようです。

水戸藩らーめんの要を担う川崎製麺所

水戸藩らーめんの特徴であるレンコンの粉を練り込む麺は、水戸藩らーめんの加盟店として認められていないと使用できないそうです。そんな重要な麺を一手に引き受けているのが「川崎製麺所」です。昭和二十三年創業で、町おこしとしての水戸藩らーめん開発に携わった製麺屋でもあります。実は川崎製麺所では水戸藩らーめんのセットを通信販売も行っています。レンコンの粉を練り込んだ麺はもちろんですが、気になる五辛とスープも一緒に入っています。こちらのスープはあっさりしょうゆ味で、夏季には限定で冷やしつけ麺タイプの水戸藩らーめんも販売しています。なお、川崎製麺所のホームページでは、水戸藩らーめんを食べることができるお店もご紹介しています。

実は水戸黄門はグルメだった?

水戸光圀公は平均寿命が一般的に五十歳と言われていた時代に、七十三歳まで生きました。医食同源に基づいて一汁三菜の食事を心がけ、季節のものをよく食べていたそうです。旬の食べ物は栄養価も高いので長生きに繋がったのかもしれません。水戸光圀公は非常にグルメで好奇心旺盛であったと言われています。当時珍しかった、牛乳や牛肉、現在のハムやチーズにあたるものなども積極的に食していました。また食材の産地にこだわったり、自らうどんを朝早くから打つなど、食に対する好奇心はとどまることを知らなかったようです。グルメだった水戸光圀公のおかげで水戸市にご当地ラーメンが生まれたのです。

時代を超えて愛されるレンコンの名所茨城県

現在レンコンの生産量が日本一の茨城県。しかし、すでに江戸時代から水戸光圀公がこの地に根付かせていたのですね。今やご当地グルメとなった水戸藩らーめん。再現に精を尽くした人たちのおかげで、時代を超えた逸品を味わうことができます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 茨城県水戸市のご当地ラーメン「水戸藩ラーメン」の麺に練り込まれているのは何の粉?

A.レンコン