焼きそばは、もはや国民食の1つとも言えるB級グルメ。その焼きそばを卵で固めて食べるという何とも魅惑的なメニューが、和歌山県御坊市にあります。今回は今や和歌山を代表するB級グルメの定番となった、この料理をご紹介しましょう。
「やきそば、卵でせちごうて」
「せち焼き」は昭和30年頃、御坊市にある「やました」の初代店主が、お客さんから「やきそば、卵でせちごうて」というリクエストを受けて生まれたメニューです。当時、お店は高校の近くにあったため、お腹を空かせた学生さんが焼きそばを卵でボリュームアップしたかったかもしれませんね。このリクエストに応えるべく店主が試行錯誤して作ったのが始まりだそうです。ちなみに「せちがう」とは、御坊弁で「無茶苦茶にする」「いじめる」といった意味があり、「せち焼き」の語源はここから来ているそうです。
「焼きそば」でも「お好み焼き」ともちょっと違う「せち焼き」
せち焼きは一見お好み焼きですが小麦粉を使っていないため、お好み焼きとは違う味・食感を味わえます。焼き上がりすぐはトロトロの半熟状が、熱い鉄板の上でだんだんと火が通っていき、半熟から固焼きへと変わっていく食感の変化を楽しめるのです。ごはんとしてはもちろんですが、ビールにもぴったり。ソースが焦げたところもたまりません。テレビなどのメディアに取り上げられ話題となり、地元民だけではなく県外からも多くの人が、この味を求めて訪れる和歌山のご当地グルメです。
せち焼きを作ってみよう
せち焼きは卵で固めるのが少々コツがいるかもしれませんが、簡単に作ることができます。
材料は1人分で、キャベツ100グラム、玉ねぎ50グラム、豚こま肉80グラム、卵2個、中華蒸しめん1玉。調味料として、塩・コショウ各少々、ウスターソース大さじ3、お好み焼きソース・マヨネーズ・青のり各適量
キャベツと玉ねぎは千切りにします。フライパンに油を引いて豚肉を炒め、火が通ったらキャベツと玉ねぎを入れて炒めます。キャベツがしんなりとしてきたら、塩・コショウをし、ほぐした中華めんを入れ、ウスターソースを加えて軽く味をつけます。こうしてできた焼きそばをドーナツ状にし、中央の穴に卵を割り入れて、かき混ぜます。これが「せちごう」ことですね。全体を混ぜたら、半熟の状態でお好み焼きのように円状の形に整えて少し焼いて固めます。裏返して、また少し焼いて器に盛り、お好みでお好み焼きソース、マヨネーズ、青のりをかけて出来上がり。
豊かな自然囲まれた和歌山県・御坊市
和歌山県の海岸線のほぼ中央に位置する御坊市。北部には白馬山脈、中央部には清流豊かな日高川が流れており、海に山、川の豊かな自然に恵まれた町です。
御坊市は「花のまち ごぼう」とも呼ばれるほど盛んに花の栽培が行われ、可憐な「スターチス(リモニウム)」は全国屈指の出荷量を誇っています。日高川河口にあるハマボウ群生地では、例年7月になると御坊市の天然記念物にも指定されているハマボウの黄色い花が咲き誇ります。ハマボウは日本の湿地海岸に分布する落葉低木のアオイ科の植物ですが、近畿での自生地は和歌山県だけしかありません。日高川河口は和歌山で最大であり、かつ全国でも五指に入る規模の群生地で、直径7~8センチの華やかで黄色い大きな花に南国情緒を感じられます。
また、温暖な気候に恵まれたいるので1年を通してメロンやみかんイチゴなど、果物狩りができる観光農園にて季節の味も堪能できます。そして、御坊市には熊野三山へ続く参詣道「熊野古道 紀伊路」が市内を通っており、本願寺日高別院を中心に形成された町である「寺内町」は、江戸時代から明治、大正、昭和へと時代の移り変わりが色濃く残る町並みで、歴史を感じながらの散策を楽しむことができます。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 和歌山県御坊市の『やました』が発祥とされる、焼そばを卵だけで固めてお好み焼き状にまとめた料理は?
A. せち焼き