徳島県美馬市には、100年以上にわたって地元で作り続けられている和菓子があります。名前を知っていても、由来まで知っている人は多くありません。剣山への参拝土産として生まれ、餡づくりにも当時らしい工夫が込められています。この記事では、誕生のきっかけや長く親しまれてきた理由を紹介します。
「ぶどう饅頭」100年の歴史と名前の由来|誕生のきっかけ
剣山は、四国を代表する霊峰として、古くから多くの参拝者を集めてきた場所です。今からおよそ100年前にあたる大正時代にも、剣山信仰は各地に根づいており、夏になると麓の集落は参拝客でにぎわいを見せていました。剣山の玄関口にあたる徳島県美馬市穴吹町も、参拝客が数多く行き交う土地のひとつでした。遠方から訪れる人々に、喜んでもらえる土産物を用意したいと考えたのが、西川芳太郎です。剣山への信仰と「武道」を掛け合わせ、「ぶどう饅頭」という名前が付けられました。
大正三年、創業者の西川芳太郎は、徳島県美馬市穴吹町に小さな菓子店を開業したのが始まりです。参拝に訪れる人々を笑顔にできるお菓子を作りたいと、芳太郎は試行錯誤を重ねていきました。饅頭でありながら、ぶどうの粒を思わせる愛らしい形に仕上げたのも、芳太郎ならではの工夫です。しかし、味の決め手となる餡のレシピは、この時点ではまだ固まっていませんでした。
味の決め手となったのは、森永製菓の創業者である森永太一郎との交流でした。森永太一郎との交流をきっかけに、芳太郎は餡にミルクを取り入れる発想を得ます。これは当時としては珍しい工夫でした。ハイカラな味として評判を呼び、饅頭は多くの人に受け入れられ、後に阿波の名物として広く知られるようになりました。
「ぶどう饅頭」が愛され続ける理由とは
餡は、白いんげん豆をベースにミルクを加え、まろやかな甘さに仕上げています。和菓子の伝統的な餡と、洋風のミルクを組み合わせた甘さは、当時としてはとても新しいものでした。なめらかな口当たりとコクのある風味は、子どもから年配の方まで幅広く好まれています。
見た目は、串に刺さったぶどうの房を思わせる、饅頭には珍しい形をしています。ひとつずつが丸くつながった姿は、初めて目にする人の記憶に残りやすい形です。商品には、幸運のお守りとして親しまれる「日乃出幸運券」が添えられており、お菓子と一緒に楽しい驚きを届けています。
こうしたユニークな発想は宣伝手法にも活かされ、四国放送の開局と同時に、いち早くスポンサーとして名乗りを上げました。テレビから流れるCMソングは、今も語り継がれるほど印象深いものです。セスナ機からチラシをまく販促や、文字を集めると一箱もらえる企画など、当時としては型破りな宣伝を次々と行い、県民の記憶に強く残りました。
「ぶどう饅頭」を楽しむ食べ方とアレンジ
ぶどう饅頭は、袋を開けてそのまま食べるのが基本の楽しみ方です。1本ずつ個包装になっているので、外出先でも手軽に口にできます。ひと粒がぶどうの実ほどの大きさで、食べやすいサイズです。
定番の他に、季節限定フレーバーが登場するのも魅力です。時期によってラインアップが変わるため、訪れるたびに違った味に出会えます。ぶどう饅頭を使った関連商品が並ぶこともあり、選ぶ楽しさがあります。
また、自宅でできる手軽なアレンジとして、冷蔵庫で冷やしてから食べると、餡の甘さが引き締まり、ひと味違うおいしさが感じられるでしょう。時間をおいて皮がやや硬くなった状態を、あえて選んで味わう人もいます。定番の食べ方に飽きたときは、保存状態を変えて食感の違いを楽しんでみるのもおすすめです。
「ぶどう饅頭」の購入方法と販売店舗
ぶどう饅頭は、徳島県美馬市穴吹町にある直営の本店で購入できます。道の駅貞光ゆうゆう館など、県内の物産販売所でも、取り扱われていることがあります。時期によっては、店頭に季節限定のフレーバーが並ぶのも見逃せないポイントです。本店以外で探すなら、徳島阿波おどり空港の売店や、駅のキヨスクでも取り扱われているので、移動の合間に手に入れやすい商品です。
店舗まで足を運べない場合は、公式オンラインショップから注文できます。また、楽天市場やYahoo!ショッピングなどの通販サイトでも購入可能です。まとめ買いで送料がお得になる場合もあり、お取り寄せにも便利です。
ぶどう饅頭は、剣山への参拝土産として生まれ、100年以上にわたり徳島で作られ続けてきました。ミルクを加えた餡の甘さやユニークな見た目、季節限定フレーバーなど、楽しみ方も豊富です。直営店や通販でも購入できるので、機会があれば一度味わってみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q.徳島銘菓『日乃出本店』が100年以上販売している饅頭の名前は?
A.ぶどう饅頭









