静岡県伊豆のめでたい席で食べられるお寿司とは?

日本の各地には、そのそれぞれの土地に合わせて様々な郷土料理が存在しています。お祝い事などの席で出される特別な料理も多くあり、静岡県伊豆にもめでたい席に欠かせないお寿司があります。今回はそのお寿司の由来や魅力などを紹介します。

「げんなり寿司」の由来

「げんなり寿司」は、静岡県伊豆にある漁村である稲取で作られている郷土料理のことです。押し寿司の一種であり、基本的には5種類の押し寿司を合わせて1セットで販売しています。結婚式や七五三をはじめ、成人式に上棟式、船下ろしなどといっためでたい席に作られて食べられる郷土料理です。お祝いの日に、身内で作って食べるほか、近所や親せきに配って食べる風習が、静岡県伊豆の稲取にはあります。「げんなり寿司」の名前の由来は、その大きさにあるとされています。「げんなり寿司」は通常作られる押し寿司よりも、ひとつひとつの大きさが圧倒的に大きいです。

寿司一貫におよそ茶碗2杯分、場合によってはご飯1合分を使用して作られることもあり、これが5貫一組で提供されるため、食べきれない人もいるほど大きいです。その大きさと量から、食べきれたとしても「げんなり」してしまうということから、「げんなり寿司」という名前がつけられたとされています。「げんなり」とは、静岡県伊豆の稲取地方の方言です。うんざりに近いニュアンスがあり、疲れたり、飽きたりして、ある物事を続けることが難しくなった状態のことを指して使います。つまり、「げんなり寿司」とは、食べているとおなかがいっぱいになってしまってもう食べることができなくなる寿司という意味で使われます。

あるいは、食べる前からその大きさにげんなりしてしまうという意味から「げんなり寿司」となったという由来もあります。このほか、めでたい席で食べれば、げんなりするほどのしあわせをもたらしてくれるということから「げんなり寿司」と名付けられたという話も有名です。なお、「げんなり寿司」の語源を、「げん(縁起)が成る」が由来となっているという説もありますが、この地方における方言や言葉つかいから、後からのこぎつけではないかという話もあります。

「げんなり寿司」の魅力

「げんなり寿司」の魅力は、様々あります。ひとつは、やはり名前の由来ともなっている「げんなり」してしまうほどの量・大きさでしょう。ひとつひとつが非常に大きく、食べ応えがあり、だれであっても満足する量です。また、味に関しても魅力はたくさんあります。「げんなり寿司」は、押し寿司であり、すし飯を木枠に入れて四角形に形成して具をのせて完成します。しっかりと詰まったご飯は食べ応えがあります。

上に乗せる具はおおよそ5種類で、稲取の名産でもあるキンメダイを使った紅白のそぼろが一貫ずつ、すし飯の大きさに合わせて切ったマグロの赤身が一貫(場合によってはしめ鰺)、すし飯にかぶさる程度の肉厚で大きなシイタケの煮つけが一貫、卵焼きが一貫の計5種類です。酢飯は、甘めに味付けされているほか、各寿司の中には千切りして味付けをしたニンジンを挟んでいます。この千切りニンジンも、甘く炊かれているものが基本です。酢飯も千切りニンジンも、どちらもほんのりとあまく、派手な味付けをすることはありませんが、じんわりと素朴な甘さが口の中に広がります。

「げんなり寿司」は、あくまでこの5種類1セットが基本ですが、飲食店などで出されるものの中には、より派手に飾り付けているものも存在しています。いずれにしても、味はほんのりと甘く味わい深く美味であり、あくまでげんなりするのはその大きさと量だけです。

めでたい席で食べられる「げんなり寿司」

「げんなり寿司」は、静岡県伊豆において伝統的に作られている押し寿司の一種です。5種類の寿司がそれぞれげんなりするほどの大きさではありますが、ほんのりとした味わいがおいしいです。飲食店でも提供されているので、ぜひ食べてください。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 次のうち、静岡県伊豆のめでたい席で食べられるお寿司の名前は?

A.げんなり寿司