ソース焼きそばがベースの、新潟県独特の麺料理をご紹介します。名前を聞くと、焼きそば料理とは思えないと、驚くかもしれません。いったいどんな料理なのでしょうか。
「イタリアン」誕生の歴史
新潟県の新潟市や長岡市でこよなく愛されるB級グルメ「イタリアン」。それは、いわゆるソース焼きそばにトマトソース、もしくはミートソースをかけたというちょっと不思議な食べ物です。でも、もちもちした焼きそばの麺に、トマトの味は意外と合っているんですよ。
このイタリアンを考案したのは、現在新潟県に広くチェーン展開をしている「みかづき」の前身である甘味喫茶「三日月」の店主・三日月晴三さんです。1959年、ある商業セミナーに参加した三日月さんは、同じセミナーに参加していた東京の甘味処の店主に店に誘われてソース焼きそばを振る舞われました。そこで、甘味処で軽食を出すスタイルに触れた三日月さんは、トマトソースをかけてフォークでスパゲティのように食べるという変わった特徴の焼きそばを開発。「イタリアン」と名付けて売り出したのです。ソース焼きそばを振る舞われてそこからなぜイタリアンになったのか、ちょっと不思議に思える経緯ではありますが、他にはない発想で作られたオンリーワンの料理だったからこそ、今でも愛される存在になったのかもしれません。
三日月さんが参加した商業セミナーに、同じ新潟県の長岡市で長岡饅頭本舗を経営する木村政雄さんがいました。同郷の三日月さんと木村さんはセミナーで意気投合し、その後も親交が続きます。木村さんも、饅頭屋を軽食屋に転業する計画をもっており、三日月さんが「イタリアン」を開発したことを知って、自身の店でもイタリアンを出すことにしました。それが、現在長岡市で展開している「フレンド」です。フレンドではイタリアンの他に餃子なども提供されています。
進化する「イタリアン」のバリエーション
イタリアンが評判になり、甘味喫茶「三日月」は、ひらがなの「みかづき」へと社名を変更して今に至ります。イタリアンを主力メニューとした「みかづき」はファストフードのような業態をとり、現在でも学生でも気軽に食べられるお手頃な価格でイタリアンを販売しています。そして、時代の変化とともにイタリアンにはバリエーションが増えました。
ツナを加えたトマトソースをかけた「トマトツナイタリアン」、ボロネーゼ風のミートソースをかけた「ボロニア風イタリアン」は、そのベースに焼きそばがあるとはいえまだ「イタリアン」として理解できます。しかし、ミートソースのかわりにカレーをかけた「カレーイタリアン」、ホワイトソースをかけた「ホワイトイタリアン」に至っては、すでに「イタリアン」と名付けていいものかどうか疑問。もはやイタリアンは、やきそばになにかかけてあったらイタリアンという概念になっているようです。
一方のフレンドでは、イタリアンのソースは「みかづき」のものとは違った風味に変化。トマトの風味が強い「みかづき」とは違い、ひき肉の味が引き立つミートソースになっています。また、イタリアンと前後して導入した餃子とのセットなども販売しています。フレンドでもバリエーションとしてカレーイタリアンや、オムレツイタリアンなども登場しています。
新潟の「イタリアン」を食べるには?
イタリアンは「みかづき」もしくはフレンドの店舗で食べられます。「みかづき」は、JR新潟駅から北西方面に徒歩10分ほどの万代シテイバスセンターの店舗が県外からの訪問者には行きやすいです。フレンドは、JR長岡駅の駅ビル・CoCoLo長岡にある店舗が行きやすいと思われます。
「みかづき」では、冷凍イタリアンの通販も行っているので、新潟に行かずにイタリアンを食べたいというときは利用してみるのもいいですね。他に、表参道にある新潟県のアンテナショップ「新潟館ネスパス」では、「イタリアン焼きそば」という冷凍食品が販売されています。
新潟のご当地B級グルメをぜひ味わってみてください
新潟生まれの変わった焼きそば「イタリアン」。新潟に行ったときは話のタネに「みかづき」やフレンドに立ち寄って、一度たべてみてはいかがでしょうか?もしかしたら、一度食べたらやみつきになってしまうかもしれませんよ?
ザ・ご当地検定の問題
Q. 新潟市の麺料理「イタリアン」で使われる麺は、どんな麺?
A.中華麺
Q. ソース焼きそばに、トマトソースやホワイトソースをかけたような、新潟県独特の麺料理は?
A.イタリアン
Q. 新潟市の『みかづき』、長岡市の『フレンド』で名物となっている新潟県のご当地グルメといえば?
A.イタリアン