「カツオのたたき」には、その発祥地に由来した別の名前があることをご存じでしょうか?
「カツオのたたき」は、別名「土佐造り」とも…?!
脂が乗り身のしまったカツオのたたき。残暑などにポン酢でさっぱり食べれば疲れが吹き飛ぶ美味しいメニューです。表面を炙ったり焼き目をつけたりすることで、カツオの刺身の旨味も鮮やかさもさらに引き立ち、爽やかな薬味をあわせることで、香りが鼻に抜ける…。最近では「塩たたき」といって塩のみの味付けにする食べ方もツウなんだそうです。
そんなカツオのたたきが、高知の名物ということはご存じのとおりですが、高知県(土佐)から由来した「土佐造り」という別名もありました。
高知の人々から始まり、いまや全国各地で食べられているこのカツオのたたき「土佐造り」についてご紹介します。
「カツオのたたき」と「土佐造り」の違い…!?
先ほど「土佐造り」は「カツオのたたき」の別名…と紹介したものの、調べていくうちに明確に別物として分けていることもどうやらあるようです。それは…
・本場「高知」で作られるもののみが「土佐造り」とされる例。
・土佐ではもともとポン酢ではなく醤油で食べていたことから、ポン酢で食べるものを「カツオのたたき」、醤油で食べるものを「土佐造り」とされる例。
・カツオの節を炙った後、冷水でしめるのが「カツオのたたき」、冷さずそのまま切っていくものが「土佐造り」とされる例。
地元の人や料理人の方々にこういったこだわりがしっかりとあるようです。となれば、安易に「カツオのたたき」=「土佐造り」と同一視してはいけない気がしてきました。以降では、大きくとらえて「カツオのたたき」としてお話を進めていきます。
「カツオのたたき」の起源は…?!
「カツオのたたき」は、調理の途中でカツオを包丁の側面で叩くことから名が付いた、とされていますが、ではどのくらい前から食べられていて、どういった起源があるのでしょうか。
実はこれにも所説あり…
・元々、地元の漁師の間で食べられていたまかない料理だった説。
・鰹節を作るときに残った部分を皮付きのまま串に刺して焼いたとする説。
・土佐藩主が食中毒防止にカツオの刺身を禁じたため、表面のみを焼いて焼き魚として食べられた説。
・カツオの皮下に居る寄生虫などを殺すための説。
・明治時代、高知に訪れた西洋人がクジラの肉を生焼きにしてビフテキ代わりにした調理法をカツオに応用した説。
などなど。古くからこの地方で頻繁に食べられていたからこそ、複数の由縁が残っているのかも知れません。
「カツオのたたき」にチャレンジ!!
一般的なカツオのたたきを作ってみましょう。
・新鮮なカツオの節を皮目を中心に表面だけ手早く炙る。
料亭などでは炙りに稲藁が使われるそうですが、家庭で作る際は多めの油を引いたフライパンを強火にして煙が上がったら表面だけを焼く。
・氷水や冷水で冷やす。
(ここで冷やさないものを「土佐造り」とされる例もある。)
・水気を切って厚さ1cm程度に切り重ねにし、やや多めの粗塩をまぶし包丁の背で叩いてなじませる。(この時に手指や木の棒で軽くたたくことから「たたき」と呼ばれる説もある。)
・ポン酢やタレをなじませ、薬味で盛り付ける。
・冷蔵庫で一時間ほど寝かせて出来上がり。
薬味には、玉ねぎ、ねぎ、みょうが、大葉、カイワレ、もみじおろし、おろししょうが、にんにくスライスなどを使用します。
ポン酢や醤油のほか、三杯酢、土佐酢、生姜醤油を使用したり、また塩のみ、ゆず果汁のみでいただくこともあるようです。
残暑の疲れた胃も元気を取り戻す「カツオのたたき」をご家庭でも召し上がってみてはいかがでしょうか。
また高知県では旬になると、炙りの際に落ちた脂で火が散るほど新鮮なカツオを使った「土佐造り」が食べられるそうです。春先の「初鰹」の旬、晩夏の「戻り鰹」の旬に、ご当地で本場こだわりの「土佐造り」を堪能するのもいかがでしょうか。
ザ・ご当地検定の問題
Q.カツオのたたきの別名を、その発祥地とされる場所から何という?
A.土佐造り