香川県のうどん屋『山越うどん』から広まったとされているうどんの種類とは?

香川県の讃岐うどんは全国的にもとても人気です。そのため、大手のチェーン店でも食べることができます。しかし、やはり香川県で食べる讃岐うどんの味は格別でしょう。

シンプルで日本人が大好きな味

釜玉うどんとは「釜揚げ」と「玉子」を合わせて省略した名前であり、要するに釜で茹であげたうどんに生卵をかけたもののことです。まさにシンプルイズベストと言える料理であり、白いご飯に生卵のように、日本人にはお馴染みの皆が大好きな味と言えるでしょう。香川県のうどんなので、分類上はもちろん讃岐うどんです。この釜球うどんはシンプルななかにも、作り方に特徴があります。それは、茹でたあとに冷水でうどんを締めないことです。そのため、茹で汁の味も少し入りますし、なにより温度が高いため、玉子が半熟状になるのが特徴です。これに生醤油やツユで好みの味付けにしていきます。

もしかすると、釜玉うどんに対して「まかない料理のようだ」という感想を持つ人もいるかもしれません。これは当たらずとも遠からずと言えます。元はお店のメニューになかったものの、常連客のリクエストによって誕生したレシピだからです。あまりにシンプルすぎるため、お店で出すには少し抵抗があったのかもしれません。しかし、うどんを水で締めなくていいという簡単さから、実は一般家庭ではすでに釜玉うどんはあったといいます。

このように、豊富な種類を持つうどん文化は、2016年の総務省の家計調査において、うどん・そばの消費量で他県を大きく引き離してトップである香川県ならではと言えるかもしれません。1世帯当たりの消費金額は年間1万2343円の香川県に対して、全国平均は6128円です。香川県においては、驚くほどうどんの値段が安いことを考えてみると、実際の消費量は金額以上に差が開いていると言えるのです。「引っ越しうどん」「年明けうどん」など、何かにつけてうどんを食べる香川県民にとって、釜玉うどんの誕生はもはや必然とも言えます。ちなみに、初風呂は風呂に入りながらうどんを食べるというのはどこからともなく拡散した嘘のようですが、声高に否定しないほどうどんを愛しているのが香川県民なのです。

釜玉うどんの元祖は「山越うどん」

自然発生的に香川県で食されていた釜玉うどんですが、お店において釜玉うどんの元祖といわれているのが「山越うどん」です。実は、山越うどんはもともと卸業者でした。つまり、近所のお店にうどんを届けるのが仕事で、飲食業ではなかったのです。また、当時は少人数の家族経営であり、規模も大きくありませんでした。

そんななか、近所の人が山越うどんを訪れ「一玉ちょうだい」ということが繰り返されるうち、うどんだけ玉売りするのも申し訳ないということで、出汁を提供するようになっていきました。やがて、ネギが添えられるようになり、しょうがを使ってバリエーションを付けてみるなどのサービスをしているうちに、いつの間にかお店として営業するようになったといいます。

そうしたなか、やがて常連の客から「釜玉うどん」の注文が相次ぐうち一般メニューとなります。そして、今や釜玉うどん発祥のお店として、おおげさに言えば聖地のように取り上げられる人気店となりました。平成3年の製麺所ブームを経たのち、店舗の規模も拡大し、広々とした日本庭園のなかの食卓で多くの人が山越うどんの釜玉うどんを食べています。

ディープな讃岐うどんの世界

讃岐うどんは定期的にブームとなっています。日本人はうどん、そば、ラーメンなどの麺類が大好きで、雑誌やテレビでこれらの料理の特集を見ない日はないといっても過言ではありませんから、これも納得できます。また、日本人は麺自体のおいしさを楽しむ国民などといわれています。この点でいうと、讃岐うどんは特に麺そのもののおいしさを味わえる食べ物のひとつと言えるでしょう。

ユースケ・サンタマリアさんが主演で、全編を香川県で撮影した映画「UDON」のなかにおいて「うどんはのどごし」といって、一口も噛まずに飲み込み、むせ返るという人物が登場します。「通」ぶった讃岐うどんブームに乗っかった人のエピソードを元にした演出です。それはやりすぎですが、釜玉うどんのように具材は極シンプルにして、うどんそのものを楽しむというのは本流と言えるのです。

作家の村上春樹さんも讃岐うどんブームの立役者の一人として知られています。「辺境・近境」というエッセイには、香川県のさぬきうどん紀行が書かれているので興味のある人は読んでみてはどうでしょうか。実際、このエッセイをバイブルとして、香川県に讃岐うどんを食べて回る旅をする人も多いのです。

釜玉うどん・山越うどんをはじめとした讃岐うどんをとことん味わう旅

香川県には「山越うどん」をはじめとした有名な讃岐うどんのお店がたくさんあります。とはいっても、駅の近くにあるというわけではなく、山を越えて谷を下りといったようなかなり個性的な経路になっていることで知られています。そのため、讃岐うどんの名店を食べ歩く旅では、普通の観光地とは違った魅力を持つ風景や人とのふれあいなどに、大きな魅力を感じている人も多いようです。香川県によると、訪問者の目的の第一位は「うどんを食べるため」とのことです。同じく香川県によると「うどんだけじゃない」そうですが、やはり山越うどんの釜玉うどんをはじめとした讃岐うどんを味わうことを旅の中心にしてもいいかもしれません。

こんぴら参りと釜玉うどん・山越うどんを組み合わせた旅

香川県の楽しみ方は人それぞれですが、個性的な讃岐うどんのお店巡りをするのでなければ、車で行くかレンタカーを借りるほうがよいでしょう。たとえば、山越うどんでは近くに1000年以上の歴史を持つ八坂神社があります。そして、山越うどんから10Kmほどの場所には「こんぴらさん」の愛称で知られる金刀比羅宮にも行けるのです。御本宮まで785段、奥社までで行くと1368段という階段は見上げると圧倒されます。

江戸時代の人々にとって金刀比羅宮は「こんぴら参り」として一生に一度は参りたい憧れの神社でした。そんな金刀比羅宮にぜひ行ってみてはどうでしょうか。「足腰がきつくなりそう」「上りきれるか心配」と思う人もいるでしょうが、階段を上るうちに自然と笑顔になってくるともいわれるのが金刀比羅宮の階段です。参道横に並ぶお店では、参拝客のために「杖」の無料貸出も行っています。少し足腰が心配な年齢の人がいるなどしたなら、遠慮なく杖を貸してもらいましょう。

電車で行くのであれば、大正時代に建てられたレトロな外観が美しいJR琴平駅を起点にして、こんぴら参りと釜玉うどん・山越うどんを味わうことを組み合わせるのも一般的です。「こんぴら温泉郷」や金刀比羅宮の御神酒ともなっている「金陵(きんりょう)」の資料館へのアクセスも良好です。そして、うどん好きにはたまらない、讃岐うどんの手打ち体験ができる「中野うどん学校」もあります。香川県の魅力を凝縮して楽しめるスポットと言えるでしょう。もちろん、車での訪問にも適しています。JR琴平駅近くには町営の駐車場が用意されているので、一旦そこに車を置き、この辺りの観光を十分に楽しめるのです。

釜玉うどんやこんぴら参りなど香川県を満喫しよう!

香川県といえばうどんというイメージのとおり、讃岐うどんを目当てに旅行に訪れる人は多いようです。その讃岐うどんの人気メニューのひとつが釜玉うどんです。元祖といわれているのは山越うどんというお店なので、ぜひ一度味わってみてはどうでしょうか。また、この山越うどんの近くには金刀比羅宮などの観光名所も多いのが魅力です。車や電車によるアクセスも良好なので、釜玉うどんを味わい、香川県の観光スポットを回ることができます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 香川県のうどん屋『山越うどん』から広まったとされているうどんの種類は?

A. 釜玉うどん

Q. 次のうち、香川県仲多度郡に鎮座する神社はどれ?

A. 金刀比羅宮

Q. 香川県「JR琴平駅」の駅舎が建てられたのはいつ?

A.大正